故、夏

例えばその個体は私に、首を絞めてくれ、と言う 生命活動の終了に近づく行為だ、と思う 構造を多少勉強していたので、私は気道を塞がないように耳の下に指を当てていく 徐々に力を強めていく それは多少悦に入ったような表情を行う 冷静な気分になっていく 一体何が彼女の幸せに繋がったんだろうか もし私がここに体重をかけることを辞めなかったら 「見たことないような怖い顔してる」「多分冷静に思考しているだけで別に止められないわけじゃないですよ」と言って手を離す 脳に血液が回っていくようだ 感覚を確か知っている 視界が赤と黒にぼやけて見えなくなる 耳鳴りがする

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