人はみな、蝶だった。ひらひら陽気に舞って、花の蜜を味わう。今よりずっと自由で、可憐で、かつ絢爛で豪奢で、そういった生き方をしていた。いつしか人が地を駆け回った。蝶を捕まえて、ピン留めしたり、鱗粉を剥ぎ取って遊び始めた。みんな大慌てで、次から次へ、人になった。残ったものは蛾だった。

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