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園田天光光 日本初女性代議士

やり抜く意志が肚をつくる

「肚なんていうものは、最初からできるものじゃないし、
 つけようと思ってできるものでもない。
 結局は一つひとつの積み重ねです。」

戦後初の衆議院選挙で女性として初当選、その原動力となったのが、〝生き残された者〟の、やむにやまれぬ思いと復興へのエネルギーでした。生死の瀬戸際を潜り抜けた体験は、人々の願いを一心に背負って先頭に立つという行動へ天光光先生を駆り立てます。そしてその勇気、気力の人生は、恩師中村天風先生との出会いにより、さらなる積極人生に変わります。胆力で生き抜いてこられた半生を語っていただきました。
(取材 平成20年5月23日 明治記念館にて)
※所属や肩書きは、季刊『道』に掲載当時のものです。

<本インタビューを収録『命の伝言』>


乗り越える意志が気力となり、勇気となる

―― 先生はご著書『女は胆力』のなかで「胆力さえあれば必ず道が拓ける」と書かれておられます。そして「品格の前にまず肚」と。そのような先生の生き方、ものの見方、考え方に至るお話を、ぜひお聞かせください。

 肚なんていうものは、最初からできるものじゃないし、つけようと思ってできるものでもない。結局は一つひとつの積み重ねです。それには自分が「ここのところはこう切り抜けよう」という「意志」がなければだめですね。まず「意志」だと思う。しっかり粘り強く「意志」を持っていけばね、それが自分の気力になり勇気になる。そういうものが重なっていくうちに、その基礎が自分の意志になる。そして、知らず知らずのうちに、それが肝のなかに入り胆力となっていくんじゃないかしら。

 私の場合は、意志を持つことは子供の頃から父親の教訓で、「ぶつかった現実を乗り越えていきたい」という意志のかたまりが、気力となり勇気となった。ですから「意志」をしっかり持つことがいちばん大事なことなのです。

―― ひとつを乗り越えたエネルギーが、次を乗り越える意志となっていった。

 そう。逃げていたらなんにもならないと思うのね。やっぱり恩師中村天風先生が言われるように、何事にも逃げて消極的な態度じゃだめなのね。積極人生を生きる、つまりすべて積極的に物事を考え、積極的な自分をつくっていかなくては。そのなかから胆力というものが生まれてくるもんじゃないかしら。

中村天風先生に学んだ積極人生

―― 先生は天風会の中村天風先生にお会いになる前からずっとそのような生き方をされていたのでしょうか。

 いやいや、中村先生にお会いするまでは本当に消極人生を歩いていました。

 私は神経過敏症という病気を持っていたの。もう人の言うことが気になって気になってしかたがない。人の心の中ばかり探ろうとして、自分の心っていうものを見ようとしなかった。悪いことばっかり考えて、こうしたらああなるんじゃないかしらとマイナスのことばかり考えていたのね。本当に神経質で太ることができなかった。「あなたの病気は太らなきゃ治りません」と言われてね。ところが太りたいと思っている時はなかなか太らないものなのよ。

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