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「消極的」の裏側を覗く

昨晩のW杯において日本代表が見せた姿勢が「消極的だ」「つまらない」「フェアじゃない」と批判されています。

キックオフ時点では「日本は引き分けでも決勝トーナメント進出」だった条件が、先に失点した事で「追いつかねばならない」に変わり、その後同グループのコロンビアがセネガル相手に先制点を奪った事で「負けても1点差、イエローカードを貰わなければ決勝T進出」になり、最後は日本がひたすらパスを回して攻めずにそのままゲームを終えたという展開。

これ、個人的な見解を言わせてもらえば、全然アリです。だってルールに則っているから。ただ、立場と人によって意見が分かれるだろうなというのも理解できます。この見解に正解は無い。

日本で巻き起こっているのは「つまらない」とか「消極的」との理由からですが、まず「つまらない」のは、目の前の試合だけを見ているから。グループリーグは3試合トータルでの勝ち点ゲームだと考えれば、むしろ僕は必然とすら思うし、他の会場の進行を気にしながら日本の試合を見るなんて、こんなに楽しい事はありません。むしろ1度で2度美味しい。

「セネガルが同点に追いついていたらバッシングもの」との声もありますが、結果としてセネガルは追い付いていませんよね。スポーツは結果論。どうせあれで攻めに行ってカウンターで失点して決勝T逃したら、「ボール回しておけば良かった」という批判が渦巻いたんでしょう。

「消極的」との声にも疑問があります。だって、残り10分以上あるのに点を取りに行かない勇気って凄くないですか?
私はセネガル対コロンビアもチャンネルを変えながら見ていましたが、セネガルの猛攻は凄かったです。「これ本当に大丈夫か?」と思ってました。もしセネガルが同点に追いついたら、西野監督始め日本代表はとんでもない猛バッシングに晒された事でしょう。そのリスクを背負いながらパスを回して時間を稼ぐ行為というのは、見えない敵と戦っているのと同じです。彼らは、時間を潰しながらリスクとも戦っていたのです。

それに、グループリーグだからこそ出来た戦術な訳で、決勝トーナメントに進んだら決着がつくまで戦わねばならない訳だし、まずはその舞台に上がらなければ話にもならない。飽きやすい日本人の国民性からいって、昨日敗退していたら来週にはサッカーが話題にも上らなくなる。その意味で、逃げ切って戦いの場を継続させた事は大いに評価されるべきだと思いますね。

ちなみに、ブラジルやアルゼンチンが同じ立場なら、絶対に同じ事をしてると思います。むしろサッカー先進国なら当たり前。私は、昨晩で日本は先進国への第一歩を踏み出したとすら思っています。

Twitterで「時間を潰せばそれでよかったのに潰しきれなかったドーハからとうとう潰しきったボルゴグラードまで25年」というツイートを見かけましたが、まさにその通り。ドーハの時は「なぜあそこで時間を稼がなかった」「だから日本サッカーは未熟」という声が多かったのをよく覚えています。それが今回パスを回して時間稼ぎしたらこれも批判。

あれを「フェアじゃない」と言うなら「消極的に見える試合をしたらチームにイエローカード提示」とかルールを改正すれば良いと思いますが、何をもって「消極的」と判断するのか。私には昨日の日本が消極的には見えなかったし、そこは人それぞれの捉え方だから、ルール改正は現実的ではありません。それならネイマールを始めとする選手個々のダイビングをもっと何とかするべきでしょう。

もちろん、普段あまりサッカーを見ない人がいきなりあれを見たらフラストレーションを溜めるのはよく分かります。そこで周りにいるサッカーファンがそれを否定するのではなく、上手に状況を説明してあげれば良いと思うんです。
ポーランド戦のあの内容でも関係なく渋谷で騒いでる連中は論外として、にわかが居なければファン層拡大には発展しないから、私はにわかファンは絶対に必要だと思っています。そんな彼らに分かりやすく説明してあげて、それでも「あれじゃつまらん!」と思うならその人は見なければいいだけの話。

決勝トーナメント1回戦の相手はベルギー。個人的には優勝候補と思って居る国ですし、勝てる図が浮かばないのですが、それでも日本代表には、決勝トーナメントでしっかり気持ちを前面に出した戦いを見せて貰いたいと思っています。

頑張れ日本代表!!

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