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最近の記事

院試体験記(京大理学研究科物理専攻)

本記事の目的 この体験記では、京都大学大学院理学研究科物理専攻の院試を受けたときのことを書き記します。先に結論から書くと、私は第二志望合格でした。私はこの結果に大満足という感じなのですが、それはそれとして思い返すと特に戦略の部分で失敗が多かったと感じます。そこでこの文章では、院試がどんな感じだったのかをこれから受験する人のために公開できる範囲で公開し、また私のとった戦略の反省と本来どうすべきだったかを記すことを目的とします。  最初に書いておくと、私の感覚として、院試は希望

    • 【短編小説】死後の世界は永遠に

      「なんてことだ。まさか死後の世界が実在するなんて」  ここが死後の世界だとようやく認める気になって、私はそんな独り言を言った。現世に置いてきた彼らとの賭けは負けだな、なんてくだらない記憶を思い出していた。  少し時を戻そう。私は理想的な老後を送っていた。家族にも好かれ、同じく老後の友人も多い。結局年金はほぼもらえず、少し貯金が少ないことだけをささやかな悩みとしていた、至って平凡な老人だ。  しかしどんな人にも死は平等に訪れる。例に漏れず迫る死の気配を私もなんとなく察し

      • 【短編小説】inlonely

         僕は昔から人付き合いが苦手だった。子供の頃から学校では多くの時間を一人で過ごしてきた。だから趣味も読書やピアノみたいな、一人で黙々とすることばかりだった。  いつからだったのかはわからない。本当に小さいときは平気でみんなと遊んでいた気がする。でも気がつけば人と話すことに躊躇するようになっていた。対人恐怖症の一種かとも思ったが、発表や話し合いの場面では一応人並みにこなせてはいた。ただ人と目的のない会話を交わすことは避けるようになっていた。  そんな状況でも話しかけてくれる人も

        • 【短編小説】通り道

           これは俺が高校生の時に体験した話だ。と言っても実際何かを見たとか感じたとかじゃないんだけどな。まああんまり期待しないで聞いてほしい。  俺が通っていた高校では変な噂があった。北側の一番奥の階段に何かが取り憑いてるって噂だ。夏なのに冷たい風を感じたとか、階段の下の誰も居ないはずの物置から声が聞こえたとか、さらには黒い人影を見たなんて話もあった。  だが結局ほとんどが又聞きだったから、噂に尾ひれがついているだけだろうと俺は考えていた。一方で「火のない所に煙は立たない」ってい

        院試体験記(京大理学研究科物理専攻)

          【短編小説】脳機能拡張デバイスヒト装着実験

           生物の構造は複雑なものだ。一方で普段はその複雑さを感じさせないほどの安定した仕組みを体内に持っている。その仕組みは遺伝子によって連綿と受け継がれ、変化し、やがて我々人間を形成するに至った。  定義にもよるが、医療行為というものは古くから行われていた。そして現代医学は昔の人類がほとんど到達できなかったほどの年数、多くの人を生かし続けることに成功した。しかし長寿化した人類には肉体の老朽化という壁が立ちはだかった。細胞分裂を繰り返すほど小さなエラーが積み重なり、いずれ大きな欠落を

          【短編小説】脳機能拡張デバイスヒト装着実験

          大学のスタートを失敗した話(友達づくりが不安な人へ)

          はじめに 皆さんは人間関係をうまく構築できていますか?私はできていません。  原因は色々とあると思いますが、結局大学入学直後の初動を失敗したということに尽きるなと最近では考えています。私のような陰の人間にとって友達というものをつくるのは非常に難しいです。そういう人にこそ取り返しがつかなくなる前に交友関係を作って欲しいという願いの下、(半ば自分の失敗談として)この文章を書こうと思いました。  というわけで私の実際の失敗を踏まえながらどうすれば良かったかを書いていこうと思います。

          大学のスタートを失敗した話(友達づくりが不安な人へ)

          生きる意味について

          はじめに 突然ですが皆さんは「生きる意味」について考えたことがありますか?  私はあります。そして生きる意味はないと結論づけました。  じゃあなぜまだ私が生きているのかとか、どうしてその結論に至ったのかとか、疑問はあるかとは思いますが順を追って説明していきます。  一度本文章の目的を整理してから本題に入ることにします。  中心として論じたいのは総合的な「意味」についてです。ここでいう意味というのは理由や価値にも近いです。生きる意味みたいな大きなもの以外にも我々の周りには多く

          生きる意味について

          物理学実験のノウハウ

          【注意】本文は京都大学理学部の物理学実験について言及したものです。2021年度前期の内容なので変更等の可能性を加味して読んでいただければ幸いです。 本文の目的物理学実験はレポートが重い。しかし色々と慣れたことで最初の半分くらいの時間で書き上げられるようになった。そこで私が詰まったところを公開しておくことで今後の履修者のためかつ私のための備忘録とするのが目的である。 あくまで私が詰まったところですのでオフィスソフト等に慣れている人にとってはいらない情報かもしれません。また論文

          物理学実験のノウハウ

          基幹講座物理学電磁気学Ⅰの誤植

          前書きタイトルの書籍において誤植がいくつか見つかったので主に備忘録のために、半ば後で学ぶ方のために書き残すことにした。パッと探した限りでは同様の趣旨のページは見当たらなかったので書かせていただく。 筆者は読み進めている途中ということもあり、かつ誤植と断言しきれていないところもあるので、他に気づいた誤植がある方はぜひ伝えていただきたいです。(筆者のツイッターアカウント@quarter_doubleもしくは本記事コメントにて) 初学者が記したものですので誤りが含まれる可能性もご了

          基幹講座物理学電磁気学Ⅰの誤植

          学問をする理由

          初めに初めに述べておくと、私はこの疑問を持たない方が幸せだったのではないかと思うことがある。それほどに根深い問題だからだ。もし自分が学問をする理由に疑問を抱いているのであればもしかするとこの文章で少しは答えにつながるかもしれない。一方でもし疑問を抱かずできるのであれば、この文章は毒にしかならない可能性もある。脅すようになってしまうが実際自分の中でこの問題が解決するまで苦しんだことを考えると必要な忠告だろうと思い最初に書くことにした。では本編に入ります。 懐疑への導入私にとっ

          学問をする理由