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早紀❺

16倍の後、ライトニング当たり無しで連勝と連敗を重ね3ドルにベットアップした。3ドルでは微妙に揉み合い5勝5敗。これもライトニング当たりが来ない。せっかくライトニングカードを引いてもバンカーに勝ちが流れる…。いきなりの失敗デビューかと思った矢先の9ドル初戦で8倍当たりが炸裂した。数字がカタカタと上がっていく。気持ち良い!電車でスマホゲームしてる輩には味わう事のできない楽しさと快感、そして安堵…。

このベット法は危ない。ハマっている時に当たれば大きいがリスクも大きい。ただ、ライトニングバカラを楽しむ事に特化したベット法だと言える。常勝からは最もかけ離れたベット法だった。その後また1ドルから始め、トータル65ドル稼いだところでヤメ。結果を詩月とマダラに報告。マダラが銀行出金までしとけと念を押してきたが、どうせまた入金するんだしと思い無視した。

翌日、仕事をしながら考える事はライトニングバカラで8倍と2倍のカードは来ても、8倍と5倍のカードの組み合わせはなかなか来ないなとか、ライトニングカードが5枚出るとしばらく4枚や5枚が続く事多いなとかそんな事ばかりだ。そして、無駄に性欲も強くなってる。そういえば4日間パチンコ屋には打つ目的では行ってない。久々に行きたくなった。

仕事が終わって車を走らせ来たホールは、私の好きな台を末長く使ってくれている。1/99で当たると、50回の時短。そこで当たれば10回のSTと90回の時短が付くタイプ。出玉は少なくてもいい。楽しんで、マイナスなら男を漁ればいいだけだ。私は性欲も満たしたい。景品カウンター近くのお目当て台に座り、1万円が消えかけた時、ごっそり特殊景品を手に持つ40前後の男がいた。「すみませーん。駅まで送ってもらえますか?」から車に乗り込めばこっちのもの。股間に手を伸ばし、それを咥え、今日は欲張らず「跨ぎ料金」だけ稼げれば良かった。男も我慢できない様子。これでパチンコの負け分がチャラになった。

性欲も満たし、コンビニで弁当を買い家でやる事がある。勿論ライトニングバカラだ。腰までのお風呂にゆっくり浸かり予算を考える…。500ドル。今回は500ドルにしよう。お金ならある。貯金の1/100だ。初期ベットは10ドル未満だとつまらない。せめて10ドルは欲しい。10ドル10回、30ドル10回、その後は破産覚悟で50ドルベット…。多分これが焼けるって事なのだろう。風呂に浸かりながら考え方をリセットする。スタートは5ドルだ。このベット法と資金でライトニング当たりを1回は味わいたいのであれば5ドル10回、10ドルを10回、20ドルを10回。これで負けならスロットでも構わない。

風呂から上がり、薄汚れた股を念入りに洗う。そろそろ女を売るのも痛い年齢だ。鏡に映る身体には自信がある。顔面偏差値も悪くないだろう。ただ、20代のそれとは違う。詩月と比べて私はもう…。

ビールとコンビニ弁当を食べながらテレビをつけると「虹ゅー」なるガールズグループが出ていた。いくら若く見えるから、いくら顔面偏差値が高いからといえど、35にもなる女が同じ様なガールズグループを作ってテレビに出られるだろうか?あり得ない。狭いアパートでこんな物を頬張りながらビールを飲む35の自分が情けなくなり涙が滲んだ。

一息ついて勝負を始める…。鏡を見なくても赤ら顔なのは分かる。酒を飲みながらギャンブルができるのがオンカジのいいとこでもあり悪いとこでもある。ライトニングカードが5枚出た場面からスタート。5ドル10回はライトニング当たり無しの4勝しかできず10ドルへ。この10ドルでライトニングが当たらずともプレイヤーの連勝が決まりプラスとなったのでまた5ドルへ。たった2倍のライトニング当たりを1回獲ったものの、連敗が多くまた10ドルへ。ここで♠️の8に2倍と❤️の10に5倍のライトニングカードが来てプラスが確定する。まぁ、今日はこれがピークだろうと思いやめておけばよかった。そこからはひたすら負けを繰り返し結果的には300ドル以上の負け。スロットの1ドルベットでハワイアンを回す。楽しい…。デモで散々遊んでいる。パチンカスの私にとってこのスロットは最高だ。違和感演出も豊富。ここでボーナスが当たり、ルーレット演出でまさかの赤7!からの411ドルゲットで今日の結果はマイナス8ドル。今日の私はこれで満足。わざわざプラスにして終わろうとは思わなかった。

今日の反省点はベットアップを単純に倍にするだけだとライトニングバカラの手数料の関係で難しいという事。次回は1000ドルの勝負をしてみたい。5ドル10回、15ドル10回、45ドル10回。資金1000ドルならお釣りがくるし、45ドル10回でも気持ちに余裕がある。

翌日、1000ドル全てを溶かす。45ドル10回を失敗し、そこでライトニングバカラをやめたところまでは正解だった。どうして2ドルでムンプリなんか回してしまったかなぁ…。オンカジ3日目にして大敗。この大敗の報告はマダラにはする。何かしらのアドバイスを受けた方がいい。だが、詩月にはしたくなかった。常に私がマウントを取っていたいからだ…。マダラは私を笑う。「今までその股でしこたま稼いだんだ。運良く肝炎やHIVにもなってない。1000ドルくらいどうって事ないじゃないか」どうやら身体を売って稼いできた女が転ぶ事が嬉しくて仕方ない様子だ。受け入れる。今は受け入れる。どうしてもバカラで常勝したい。「お前、バカラで勝ちたいならライトニングは諦めるんだな。バカラで動画配信してる奴でライトニングバカラやってるのいないだろ?無理なんだよ。あれは勝つためにやるもんじゃないんだ。脳汁を出す事に特化したゲームなんだから」

私は何がしたかったんだろう。気持ちよくなりたかったから?稼ぎたかったから?1000ドル負けなければこんな事考えなかっただろう。「今度会って教えてやるよ。まぁ、勝てる勝てないは別としてだ。俺のバカラを教えたる!少し仕事で忙しいから、しばらく待ってくれ。それまでデモゲームでもしてな」

マダラと会うまでは、詩月と休みの度に食事に出かけた。スロットの話はよくするが勝ってる話は滅多に聞かない。そこがいい。私のストレスにならないそこが良かった。そして、1ヶ月以上の日が経ちマダラと飲みに行く日が決まった。

☆フィクションです。年末に❺を書こうと思っていたのですが、この小説に少し肉付けしたく書いてしまいました。そして、次回の❻ですが、最終話で100円頂かないかわりに、これだけ訳ありで500円だけ頂こうと考えています。小説と少し面白いベット法のセットで500円ならそこまで目くじら立てる必要も無いでしょう。万超えのバカラnoteと比べれば…。

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