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「ケーキの切れない非行少年たち」を読んで

「ケーキの切れない非行少年たち」という本のタイトルを聞いたことはあるでしょうか。

著者の宮口幸治氏は童精神科医として少年院に勤務しており、本の内容も自身が関わった子どもの事例がたくさん出てきます。

今回は、本の紹介をする記事としたいと思います。


まずタイトルにある「ケーキの切れない」という言葉について。

「ここに丸いケーキがあります。3人で食べるとしたらどうやって切りますか?皆が平等になるように切ってください」

という問題に対し、粗暴な言動が目立っていた少年はかなり苦戦します。
(実際に書いたものを著者が再現した図が以下のページに掲載されています)

この出来事が、「ケーキのきれない非行少年」という言葉が生まれたきっかけになります。

小学校低学年の子どもたちや知的障がいをもつ子どもにも、時々見られるので、この図自体は問題ではないとした上で、

問題なのは、犯罪を犯した中高生がこのような切り方をしていることで、
彼らに被害者の気持ちを考えさせて、反省させる矯正教育をしても意味がないのではないかと述べています。

この問いを出発点に、次の章では、
非行少年に共通する特徴を5つ挙げ、一つ一つに解説を加えています。

(特徴)
・認知機能(見たり聞いたりす想像する力)の弱さ
・感情統制の弱さ
・融通の利かなさ
・不適切な自己評価
・対人スキルの乏しさ
・身体的不器用さ

そして、これらの特徴がなかなか気付かれない実情も併せて指摘しています。


著者は学校教育に対し、「社会面(対人スキルや感情コントロール、問題解決力)」を育てる系統だった支援が全くないことに危機感を抱いています。


学校でも近年取り入れられている、「物事の考え方」を変える「ソーシャルスキルトレーニング」の一辺倒にならず、その土台となる「考える力」を育てる「コグトレ(認知トレーニング)」の必要性を指摘し、まとめとしています。


「なぜ事件を起こすような少年になったのか?」と批判するばかりではなく、

「どうしたら事件を防げたか」
「再発防止のためにはどのような支援ができるか」
「同じようなリスクをもった子どもや少年はいないか?」

という視点で書かれているのが本書の特徴のように思います。

「知的なハンディが原因で犯罪を起こすことがないようにしたい。
そのためには何が必要か」

という著者の思いを感じます。

このマガジンの筆者としては、
「自分が見えているものを相手も同じように見えているとは限らない」
という認識はしっかり持っておこうと思わせられる内容でした。

学校の先生、保護者の方など・・子どもとどういう形で関わっているかで感じることはさまざまなように思います。

関心を持たれた方はぜひ一度読んでみてください。



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