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三体を図解した

三体は中国のSF小説。とんでもないベストセラーになり、ゲームオブスローンズのスタッフがNetflixで映像化することも決まっている。

それを読んだ。読んで、感動した結果、図解することにした。この「俯瞰で把握して整理して表示したい欲望」には当てはまる言葉がまだなくて、仮に図解欲と呼んでいる。

わからなさが面白い時に、図解したくなる。複雑なストーリーや科学知識や登場人物の多さなど、わからなければわからないほど、そしてそれを図によって理解できた時ほど興奮する。きっとそのせいで物理学を専攻したのだと思う。

三体は、簡単にいうと、宇宙人が攻めてきた時に何が起こるか、を、なるべくリアリティを保ったまま思考実験しまくって、結果とんでもないところにまで話が拡散してしまう物語だ。

シン・エヴァンゲリオンとゲームオブスローンズとインターステラーをマトリックスとファイナルファンタジーで割ったような物語だ。逆に分かりにくくなった。

完全なネタバレを含むので、注意してください。

三体の1巻目。まだ話の構造はシンプルだ。中国の紅岸基地で、宇宙に向けてメッセージを送ったら返事が来てしまった。三つの太陽がある三体という世界だ。返事は、滅ぼしにいくぞ、ただし450年後に。というものだ。物理的には時間がかかるが、とんでもない科学技術を持ってるので、智子という多次元物体?を送り込まれて、すべてを監視される&素粒子実験を邪魔されて基礎研究が全く進まない、という方法で人類の弱体化を狙われる。えぐい。基礎研究を封じる、という発想がすごい。その上、地球人の信奉者を集めた組織を使って、迎え入れる準備までさせている。ようやく解読できた三体人のメッセージは「お前たちは虫けらだ」というものだった。虫が下等であるという概念を持っているのだろうか。(それとも地球人の文化と価値観と言語的な癖にあわせての言葉なのか)

最も評価が高く、わかりやすく面白かったのが、三体Ⅱ黒暗森林だ。動きがすべて監視されてしまうのだったら、何人かのメンバーに莫大な予算と権限を渡して、その頭脳の中だけで作戦を進行させるという「面壁計画」。それを見破る三体の手先。結果、宇宙においてはその座標を知られることが致命的という理論に気づいて、三体の座標を人質に交渉し、技術を提供してもらうことに成功する。ようやく平和が訪れたかに見えた。

はっきり言って、マトリックスレボリューションズ並みのインフレ具合がすごい。スケール、時間、理論、すべてが桁違いのSFになってしまっていて、想像力が追いつかない。それが三体Ⅲ死神永生である。

三体世界に友人の脳を送り、星をプレゼントされ、地球を支配され、三体世界が消滅し、太陽系が消滅し、光速を超えて1800万年の時を超え、宇宙が膨張し続けるのを防ぎ、新たな宇宙の誕生のために、安全な立方体を出て質量を宇宙に返還する。何を言っているのか分からないと思うが、そういう話なのだ。

特に最終巻は概念を想像するのが難しかった。4次元のかけらや、低次元化。曲率ドライブによる光速への加速の描写。時間真空に捕まってしまった時の恐ろしさ。それらすべてを理解できなくても、楽しめてしまう悔しさがある。

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