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【Shake it off. vol.058】 どうしても惹かれるあの女性(ヒト)/002

002/Miigaa

彼女との出会いによって世界をもっと知りたくなったし、私が思っている以上に世界は広く、そしてとってもとっても優しさに溢れているということを学んだように思う。
出会いは2015年、今から6年前の今頃だったと記憶している。当時ひょんなことから約半年間一緒に仕事をし、それ以来私たちは定期的に連絡を取り合い、6年経った今も会えばキャッチアップが毎度止まらない。彼女はモンゴル人で日本に留学経験もあり日本語もとっても流暢。且つ子供を日本で産み、子育てしながら昨年大学院を卒業した本当にタフでエネルギッシュで美しき強さを兼ね備えた素敵な人だ。一緒に働いた約半年の間、互いの国のカルチャーの話や女性の働き方、生き方なんかの結構深い話をしてきた。(あの時の私の質問攻めが日本語の上達に繋がったわ!と最近になって打ち明けられた)

中でも印象深く残っているのが“日本って色で例えると何色?”という素朴な質問をした時のこと。彼女はちょっと考えて“ピンク色”と笑顔で答えた。




私にはモノクロームだったもの


修学旅行でグアムとハワイを訪れたことはあったが、それ以降は海外への旅はもちろん、海外の友人もいないし接点も全くと言って良いほどなかった。そして学生の頃から英語が特に大の苦手で若干トラウマっぽくもなっていたと今なら思う。のにも関わらず、聴く音楽は洋楽だし海外ドラマが大好きなティーンエイジャーでもあったし(gossipgirlにのめり込むほどハマった10代だった)、女子達がジャニーズの話で盛り上がっている傍らでGOSSIPSやGLITTER、CSを読み漁りどんどん海外セレブにハマりそして憧れていった。全くもって、のにも関わらずだ。

彼女と出会った当時25歳の私も上記と然程変わらず、やっぱり聴く音楽は洋楽だったし男性アイドルより海外の女性セレブが好きでファッションもカルチャーも表現なんかもそこから学んでいた。でもやっぱり海外の友人もいないし接点すらない日々だった。だから彼女との出会いが私の人生において本当に大きくって、こんなにも開けていくなんて想像もしていなかった。

さて話を私がした素朴な質問に戻す。日本に生まれ日本で育った私から見た日本は、色が無いように目に映っていた。色も無ければ匂いも無い、無味無臭な感じがどうしてもして。あとは冷たい感じとかそんなどちらかと言えばネガティブなイメージが浮かんでいた。だからこそ彼女に聞きたくなったのだ、“日本って色で例えると何色?”と。そしたら“ピンク色”なんて言うから、ビックリしたのと同時になんだか涙が出そうになってしまったじゃないか。続けて“だって日本には桜がある。桜のピンク色が、私には日本の色に感じる”そう笑顔で答えてくれた。




井の中の私、大海も井も知らず


他にも色んな話をしてきたのにこのちょっとした会話が今でも強く残っているのは、他でもない私がどれだけ偏った考えをしてきたかを思い知らされたし、知らないことが多すぎるということ。日本に生まれ日本で育ち今も日本で生活をしている私より彼女の方が日本をしっかり見て感じて、そして味わっているようだったからだ。それからも日本のことを質問してくれる彼女に対して知らないことが多すぎてしっかり答えられないことが往々にしてあった。本当にやるせなく何にも知らないんだな、ということを突きつけられた。この苦い経験があったからこそ私は英語で日本について書かれた本を読んでみたり、それまでは海外のカルチャーばかり目がいっていたものを日本にグッと迫って自分なりに調べてみたりしたし、彼女との出会いをきっかけに様々な異文化コミュニティーに自分から参加するようになって、日本にいながら外国人の友人が一気に増えた。彼ら彼女らは私にそれはそれは色んなことを教えてくれた。(例えば日本なのに日本人が一人もいないBARに連れて行ってくれ、大人数のフランス人に囲まれて英語とフランス語が飛び交う場にポンっと投げ込まれたりなんかもした笑)
今考えるととっても良い経験だったし、それもこれも2015年の夏に彼女と出会っていなかったらもっと自国を知って伝えたい、様々なカルチャーに触れたいしもっと知りたい、世界中の人たちとお喋りしたい!なんて夢にも思わなかっただろう。




ただただカッコいい


彼女と私の話を現代に戻そう。前よりは会う頻度は少なくなってしまっていたけど、会えばお喋りが止まらないのは変わらずで、変化と言えば当時は話さなかった家族の話をするようになったことだろうか。そう、モンゴル人の旦那様と可愛らしい息子と共に、彼女は私たちの結婚式にも参列してくれた。“日本の結婚式、初めて参列するよ!”と嬉しそうに言ってくれたのを覚えている。何年か前のChristmasにはホームパーティーを開いてくれて夫と私も招待し、モンゴル料理を振る舞ってくれたっけ。(私は彼女が作るボーズという蒸し餃子が大好きだ)

そんな家庭的な一面と、自分の夢や目標に向けて自ら突き進む本当に強い精神性に私は同じ女性として憧れるし、感化されるのだ。冒頭で触れたが彼女はモンゴルではなく日本で子供を産んでいる。もちろん旦那様はいたが他の家族はいないそんな中で日本で産む選択をし、また子育てをしながらも大学院を卒業した。この芯の強さがお世辞抜きで美しくって、ただただカッコいいのだ。人を惹きつけるって正にこういうことをいうのだろうと彼女のそばでいつも思うのだ。

来年には今より遠くに引っ越しをするかもしれないということを昨日教えてくれた。寂しいけどまだ時間はあるし時間は作るものだ、まだまだ思い出を作る時間はある。

そして桜の時期が来る度にこれが日本のカラーだ、と彼女の言葉を思い出す。今では私が感じていたモノクロームな世界が一気にピンク色になり、冷たさより温かさを日々日本にいながら感じている。






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