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【星新一】ショートショートの結末からあらすじを予想するクイズをしてみよう!!!!


この記事では星新一のいくつかの作品のネタバレをします!それでもいいよという方だけお読みください。

こんにちは。わからん都です。

皆さん、星新一はお好きでしょうか。

星新一は作家で、ショートショートと呼ばれる短編の小説を得意としており、生涯で1000編を超える作品を書いたそうです。彼の影響力は凄まじく、日経「星新一賞」や、「星新一ショートショート・コンテスト」といった公募文学賞があるほど。

僕が星新一と出会ったのは1年ほど前でしょうか。もともとSFチックな話が好きで試しに彼のショートショート作品を読んでみたら、彼の世界観に一瞬で魅了された記憶があります。


そして、そんなショートショートの特徴と言えば、やはり意外な結末。これの有無で読後感が大きく変わります。その思いもしない結末に僕たちは感動したり、衝撃を受けたりするわけです。

その「意外な結末」部分を読んで、あらすじを予想しよう、という試みです。


Q. なんであらすじから結末を予想しないの?

A. あらすじから結末を予想するより、結末部分からあらすじを予想するほうがヒントが多くて簡単だからだよ。

Q. 本当は?

A. 結末の予想なんてもうやりつくされてるからだよ。


ということで、始めていきましょう。

なお、あらすじを予想するのは僕ではなく、僕の2人の友人です。やっぱり、持つべきはショートショートのあらすじを予想してくれる友ですね。




メンバー紹介


友人A(画像左)
星新一作品は未読。学力、運動能力、身長などすべてが平均値。

友人B(画像右)
同じく星新一作品は未読。声がやたらデカい。


クイズをする


僕:今日はよろしくね。

B:星新一のクイズをするんだっけ?

A:僕は何をするかすら言われてないんだけど。

僕:今から、星新一のショートショート作品の結末からあらすじを予想するクイズをします。

A:あらすじから結末を予想するんじゃなくて?

僕:うん。

B:思ってたより数倍きしょいクイズだった。

僕:まあまあ……。じゃあルールを説明するね。

僕:問題は全3問です。まず、結末を見せます。そこからあらすじを予想して、手元にある紙にあらすじを書いてください。もちろん、互いの答案を見てはいけません。そして、2人とも回答し終わったら僕が採点します。1問につき3点満点で、採点基準は

僕:こんな感じ。そして、3問終わった時点での点数が多い方の勝ち。理解した?

B:理解はした。

A:むずかしそ~

僕:じゃあさっそく問題出すよ。言い忘れてたけど、引用した部分であらすじをなんとなく予想できるだけの十分なヒントを出したいから、多くの人が思う結末部分よりちょっと長くなってるかもしれない。


この記事を読んでいる皆さんも、ぜひ予想してみてください。

1問目 作品名「おーい でてこーい」


穴は、捨てたいものは、なんでも引き受けてくれた。穴は、都会の汚れを洗い流してくれ、海や空が以前にくらべて、いくらか澄んできたように見えた。
 その空をめざして、新しいビルが、つぎつぎと作られていった。

 ある日、建築中のビルの高い鉄骨の上でひと仕事を終えた作業員が、ひと休みしていた。彼は頭の上で、
「おーい、でてこーい。」
と叫ぶ声を聞いた。しかし、見上げた空には、なにもなかった。青空がひろがっているだけだった。彼は、気のせいかな、と思った。そして、もとの姿勢にもどった時、声のした方角から、小さな石ころが彼をかすめて落ちていった。
 しかし彼は、ますます美しくなってゆく都会のスカイラインをぼんやり眺めていたので、それには気がつかなかった。

星新一 2004年 おーい でてこーい 理論社


僕:……以上です。


A,B:難しすぎるだろ!!!!!!!


僕:ごめん、難易度調整間違えた。でも考えればわかる。はず。

A:うーん……いややっぱり難しい。ヒントをくれ。

僕:ヒントねえ……。「穴は、捨てたいものは、なんでも引き受けてくれた。」と、その周辺を読もう、くらいかなあ。

B:うーむ……。

A:あー……ちょっとわかってきたかも。

B:うーん……??

僕はこのとき、難易度の設定を間違えたような気がしていて、まともなクイズになるのかどうかかなり心配していました。頼む!なんとかなってくれ!

A:……書けた!

B:うお、早いな。……俺も書けた。

僕:じゃあ回答を確認しようか。


2人とも最初なのでこのクイズに慣れていなさそうです。悩みながら書いた回答はどんなものになっているのでしょうか。


友人Aの回答



僕:字が汚いし筆圧が薄い。


僕:あと読点の位置がキモい。

A:それは許して

僕:まあいいや。……どこから考えてこんな予想になったの?

A:なんとなく、穴が一度受け取ってまた返す、みたいなはたらきがありそうだったから。

僕:なるほどね。


友人Bの回答



僕,A:…………???????


A:全く意味が分からない。

僕:あと、読点が多すぎる。

僕:……どこからこう予想したの?

B:結末の後半は作業員の話で、空から色々落ちてくるから、作業員は引力を操れるのかなあって。

僕:あー、なるほどね。つまり作業員は引力を操れる能力者なのか。

A:そうだとしても言ってることがまだわかんないな


答え合わせ


僕:じゃあ先に得点を発表するね。

僕:Aは……2点!!!

A:よし!!!!

僕:Bは……0点です。

B:まあそんな気はしてた。

僕:そして、正答例がこんな感じです。

僕:この人々が捨てたゴミが空から降ってくるようになる、っていうのがオチね。

B:へー。おもしろ!

僕:Aは「とても深い穴」の要素が抜けていたから減点した。でも、あの引用した部分からこんなところまでなかなか想像を広げられないから、かなり良かったんじゃないかな。

A:やったぜ

B:俺は?

僕:論外です。


1問目の得点はこうなりました。あと2問あるので、どちらが勝つかまだわかりませんね。では、2問目に入りましょう。


 

2問目 「椅子」


 やわらかく、ふっくらとした、どことなく温かみを含んだ感触が伝わってきた。ずっと求めつづけていた、なにかに似た感触。
 それを思い出そうとつとめ、やっとわかった。そして、彼があんなになった原因は、やはりこの椅子にあったのだ。
 母親のひざに抱かれている感触だった。幼いころの、遠い記憶の雲に包まれてはいるが、それはたしかに、あらゆるいやなことから守られ、すべてを忘れさせる母親のひざの上にいるのと同じだった。
 目をつぶり、それを味わった。
「社長。なにか楽しそうですね。ところで、そろそろ会議の時間ですが」
 秘書の声が聞こえてきた。いまとなっては、もう会議なんかどうでもいい。なにがどうなろうと、この椅子から離れることなど、できるものか。

星新一 2010年 うらめしや 理論社


B:ふーん、わかったわ

僕:絶対間違えてるぞコイツ。

A:ヒントくれ~~

僕:ヒントは、「彼があんなになった原因は、やはりこの椅子にあったのだ。」「それはたしかに、あらゆるいやなことから守られ、すべてを忘れさせる母親のひざの上にいるのと同じだった。」この部分かなあ。

A:なるほどね。

僕:まあ、Bはヒントを聞かずにもう書き始められておられますが

B:絶対いける。

A:どこから湧いて出た自信なんだ


……どうでもいいことなんですが、AとBの回答を見るために彼らのまわりをうろついていたところ、この行動がテスト中先生が教室内をぐるぐるするあれと同じだと気づいて、かなり興奮しました。とても気持ちよかったのでおすすめです。


B:書けた!

A:うーん……ベタなのしか思いつかない……

B:Aがまだ時間かかりそうなので、彼女の話をしてもいいですか?

僕:もちろんダメです。

B:えーーーー

A:うーん……書けた。

Aはかなり悩んだ様子。2人は、どのように回答したのでしょうか。


友人Aの回答


僕:だから字が汚いって。

B:まあでも、それっぽくはある。

A:悩んだけど、合ってる気がする。

僕:なるほどなるほど……。たしかに、さっき出したヒントと矛盾しなさそうな回答になってるね。

A:母親について触れられていたから、こうじゃないかなあと思った。


友人Bの回答



僕:最悪かい。

A:ちょっとツッコミ所が多すぎるな。

僕:ちなみになんだけど、「図る」じゃなくて「諮る」だよ。

B:恥ずかしっっ

僕:この内容を自信満々に書いたの怖すぎる。

B:早く答え合わせしましょう!!!

僕:あ、逃げた。


答え合わせ


僕:じゃあ点数を発表します。

僕:友人Aは……0点

A:え!?!?!?

僕:友人Bは……0点!!!

B:え!?!?!?!?!?嘘!?!?!?

A:Bはそんなに驚く資格はないと思う。

僕:正答例はこんな感じです。


A:あー、なるほど。

僕:2人とも「母親」のことばかり考えてしまって、「彼があんなになった原因は、やはりこの椅子にあったのだ。」について書けていなかったのが良くなかったかな。

B:この話面白そうだったしちゃんと読みたかったなー。

2問目で得点は変わりませんでした。次の3問目で勝敗が決まります。



3問目 ある夜の物語


 おれの望みは、世界の破滅だ。それを言えばかなえてくれるかもしれない。しかし、その決意は急激にうすれていた。破滅させようという世界のなかに、サンタクロースをここに回してくれた人が含まれている……。
 決意はにぶり、彼の心のなかの強固なものが崩れさっていった。男は言う。
「妙な気分だ。こんな心境では、望みの物などきめられない。しばらく考えさせてくれ。」
「しかし、クリスマス・イブも、もうまもなく時間ぎれです。来年あらためて出直しましょうか。」
「そうだな。いや、来年はべつな人のところへ行ってくれ。おれの考えは変った。あなたがここに出現してくれたことだけで満足だ。さよなら。」
「さよなら……。」
 サンタクロースは消えた。
(中略)
サンタクロースは、もしかしたら、きょう最も楽しさを味わったのは自分ではないかと思った。

星新一 2004年 おーい でてこーい 理論社


B:なるほど……。

僕:これはね、3点とれるよ。

A:ヒントくれ~

僕:そうだな……「破滅させようという世界のなかに、サンタクロースをここに回してくれた人が含まれている」ここかな。ここにすべてが詰まってるといっても過言じゃないと思う。

A:なるほどねえ。

B:ヒントを聞いてもいまいちわからない……。

僕:でも何かを書いてはいるじゃん。

B:適当に書いてます。

僕:0点です。

A:真面目に書け。

(3分後)

B:……よし、書けた。

A:書けた。これは合ってるでしょ!

僕:じゃあ回答を見てみようか。


2人ともほぼ同時に書き上げました。両者とも、最後の回答はどんなものになっているのでしょうか。


友人Aの回答



僕:「プレゼントをたのできた」て。

B:世界の破滅を望む人をそう言ってるんだろうけど、「サンタにでてきた人」っていう微妙にない日本語を使わないで

僕:あと、サンタの活動を仕事だと思ってて、サボれるとうれしいって考えてるのかなり嫌だな。


友人Bの回答



僕,A:……?????????


僕:本当に意味がわからない。

A:「具現化した未来」ってなに?

B:「世界の破滅のために……」の部分。

A:あー……なるほど。

僕:わかった?

A:全くわからない。

僕:「その男を止めようとサンタクロースを派遣し」ってあるから、ここでのサンタクロースは刺客なんだ。

A:猟奇的すぎる。

僕:結局、このあらすじはどういうことなの?

B:えーとね、つまり、男を止めたというこの未来が、男の善と悪の意思をもって具現化したのよ。

僕,A:…...?


何を言ってるか訳が分からなくて怖いので、早く答え合わせをしましょう。


答え合わせ


僕:……ということで答え合わせをします。

A:妙に緊張するな~。

僕:友人Aは……1点!!

A:よし!!!!

僕:友人Bはもちろん、0点です。

B:え~~。

僕:正答例はこんな感じ。

A:ループ的な話なのね。

B:まあたしかに2点くらいはとれたかも。

僕:Aは「誰かがほかの人のところにサンタを訪れさせた」というところが合っていたから1点にした。



そして、3問終わって得点はこのようになりました。

ということで、優勝は友人A!!!!おめでとう!!!!!!!


僕:やってみてどうだった?

A:まあ難しかったなー。断片的な情報から全体像を掴むのが意外と大変だった。星新一の作品が面白そうだから、読んでみようかなという気になった。

B:自分の言ってることが全然伝わらなくて悲しかった。

僕:知らんがな




ということで、ショートショートの結末からあらすじを予想するクイズをしてみました。

1問目を出した時は難しくなりすぎたような気もしましたが、いい具合の難易度に落ち着いて良かったです。また、純粋にクイズが楽しかったです。

ただ、こんなクイズをするくらいならその時間でちゃんと作品を読んだ方が100倍良いに決まってるので、皆さんはこんなことをしなくていいです。

それでは。


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