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超巨大生物「ホッカイドウ」、全人類を蹂躙す

 2019年10月21日月曜日午前3時13分、スコットランドは一夜、否、わずか9分にして、上陸した巨大生物によって殲滅せられた。
 この場合の殲滅とは過剰な表現ではない。すなわち2019年当時のスコットランドにいた住人5426886名と観光に来ていた2611名合計5429497名が全員、死亡したのである。

 スコットランドを除く英国、そして他の国の、「あの振動」による被害も甚大なものだったがしかし、今は先に、最初の被害地について記しておきたい。

 国連軍の動きは早かった。
 4時26分、太陽が顔を出すと同時に偵察用ヘリ15機をスコットランドに送ったのである。
 以下の、基地と偵察ヘリとの通信音声はあまりにも有名であるが、あえて記しておこう。


 ──状況はどうだ?
 ──ありません
 ──ありません、とは?
 ──そ、存在していないのです
 ──存在していない、とは?
 ──た、建物も人間も、山も川も…… (罵倒語)! 存在していません! スコットランドは消滅しています! まるで箒で掃いたみたいに! 何もかも無くなっています!


 隊員の「箒で掃いたみたいに」という表現は、状態を完璧に表現していた。
 巨大生物はノルウェー側から上陸し、アイスランド側へと通過したのである。
 口から放射能を吐いたのではない。背中から炎を飛ばしたのでもない。ただそれは「通過」しただけだった。

 すなわちこういうことだ。
 国土約80000k㎡のスコットランドは、「80000k㎡を越える大きさを持つ巨大生物が横切った」がために、それだけで消滅したのである。


 巨大生物が後々、日本のとある地名で呼ばれることになる理由はここにある。
 面積83450k㎡。スコットランドを少し越える大きさ。
 そして後日、衛生写真によって撮られた「背中」の部分が、そこに似ていたため。


 5年に渡り地球を、陸地を、人類を蹂躙し尽くしたその巨大生物は、19年の暮れにはこう呼ばれていた。
「ホッカイドウ」と。




【続く】
 

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