「禍話」とわたし または逆噴射小説大賞2019ライナーノーツ・序章
こんにちは。noteでは人が死んだり、人がおかしくなったり、人がおかしくなって死んだりする話ばかり書いているドントです。
今回は『逆噴射小説大賞2019』の投稿作品について、参加者の皆さんがセルフ解説してる記事を読んで「いいな。やりたいなこれ」と思ったので、自分もやってみることにしました。俺はすぐマネッコする。
ただその前フリ、前段階として、私が「逆噴射小説大賞2019」という舟に乗るまでにやっていたこと、すなわち「 #禍話 」の「リライト」なるものを説明せにゃならんと思いました。
先に書いておくとこの「禍話リライト」が、「逆噴射小説大賞」参加への呼び水となったのであります。
そんなわけで、この記事では大賞応募作品ライナーノートの【序章】と付記しつつ、かつ宣伝として
おたくのnoteにズラズラーッと並んでいる 「 #禍話リライト 」 ってこれ、なんなの?
というナゾにお応えしていきたいと思います。
(ロゴは自作です)
noteをやっている人にはちぃと馴染みが薄い、かもしれませんが、「ツイキャス」なるTwitterのアカウントがあれば誰でもできる生放送サイトというのがあります。
日常のことをゴニョゴニョ話したりゲーム実況をしたりなんだりかんだりと、それはもうたくさんの人が様々な物事を配信しているサイトです。
2017年のはじめ、映画ライターをしている加藤よしきさん(HiGH&LOWやアクション映画のレビューでおなじみの方もおいででしょう)のTwitterアカウントを介して遭遇したのが、「禍話」という怖い話のツイキャス(※音声のみ放送)でありました。
↓ツイキャス
↑Twitterの公式アカウント
これが……とんでもなかったんですねぇ。
この「禍話」、九州某所に住む加藤さんの先輩にして親友「かぁなっき」さんが現在過去、自分で体験したり人から聞いたりして集め倒した怖い話を 完全無料 で、2019年11月現在までで通算120回超、累計2000話くらい語っているのです(現在も更新中)。
語られる話は生ぬるいもんではなく、どれもこれも怖い……そして厭ァな、禍々しいやつばっかりで(なのでタイトルが禍話)、しかも洒落怖みたいに救い主が現れてテヤーッと解決したり古老が解説してくれたりなんてことがまずない。宙ぶらりん、投げっぱなしのヘル恐怖。
ただ、ごくたまにですが、
「アニメ版『つよきす』の出来についてランボー(CVささきいさお)が嘆く」
「自分よりカブトムシ獲りが上手い俳優に嫉妬して襲撃を企てる哀川翔と、それを止める中野英雄」
「ジェット・リーはそんなこと言わない」
などのモノマネや、
「道端で外国人が困っている様子だったので話しかけたら宗教の勧誘だったので『ノーサンキュー、アイムデビル』で切り抜けた」
「50分のランタイムのうち後半30分、ずーーーーーっと池が映ってるだけの、あまりにひどい心霊投稿映像DVDがある」
とかの笑い話なども挟み込まれたりと(後者は私も観ました。マジでほば池だけの30分でした)、あくまで語り口は「部活の先輩が部室で駄弁ってる」くらいの軽妙さなのですが、だけどやっぱり、ほとんどの話は実に凶悪。
怖い話好きの私の前に「禍話」は、まさに新世紀に現れた新星としてきらびやかに降臨したわけであります。もう夢中になってしまった。
あまりにズッポリハマってしまったため、かぁなっきさんご本人から許可をもらってタイトルを勝手につけた全話アーカイブ(随時更新中)を作ってしまったほど。
……で。
この「禍話」、ツイキャスも無料な上になんと「青空怪談」、つまり著作権フリーなのであります。すごーい。
「この放送、青空怪談なんですよ。他のトコで話してもらったり、文章にしてもらったりして全然OKなんで。
ただ……話すか書くかする時はちゃんと“怖く”してくれないと、なんか起こるんじゃないかな~~~???(脅迫)」
そんなことをかぁなっきさんはちょいちょい言うておられました。
「文章にしても全然OK」
なるほど。
それでは書いてみようではありませんか。
めっちゃ怖いのでもっとみんなに広めていきたい。
でもはじめての人は「これ、どれから聞いたらいいの???」と困惑しちゃうかもしれない。
じゃあ俺が選んだとっておきの怖い話を「リライト」して読んでもらって、コレはこの回に収録されてまんねん、聴いてみたらどないだす? と誘導してみよう。
これをきっかけにアーカイブや生放送を聞く人が増えるかもしれないぞ。
「怖い話を聴くのは苦手だけど、読むのなら好き」という人にもアピールできる。
ついでに俺個人としては、文章を書くことの修行というかリハビリをすることもできる(もちろんご本家には敬意を払い、キッチリ怖くせねばならない)
最終的にはこの素晴らしき「禍話」がみんなに認知され聴かれ読まれ、かぁなっきさんが有名になり、いろいろあって後楽園ホール(キャパ2000人)で禍話ライブをした翌日、祟りの感染爆発で日本壊滅。俺は満足げな笑みを浮かべながらこと切れる。
これは……いいことづくめやんな?
そんなわけで2018年夏、最初に書いたのがコレでした。
はい怖い。なんなんですかねこれ。
ネタバレしきらない程度に書いておくと、
「誰もいない真っ暗な夜の森の地面に、アイスの棒がたくさん刺さっている」
このビジュアルイメージだけで並大抵の怖い話ではないことがわかっていただけると思います。
……もしも怖くなかったら、99%は私の文章力のせい、あとの1%は好みの問題、であります。ちょいと他のも読んでみてください。
なんせ1500話だの2000話だのあるしおっかねぇ話、書きがいのある材料には事欠かない。
年が改まって2019年、「夜中の砂場で金を無心してくる先輩が待っているけど様子がおかしい話」を皮切りに月に数本のペースでリライトを(当時はlivedoorブログに)上げて、
「禍話」の宣伝
&
文章武者修行
の二本柱でやってきた(今もやっている)わけなのでした。
幸運なことに映画クラスタの 人間食べ食べカエルさん にも何話かご紹介いただき、他の方の手による #禍話リライト もモリモリ増加。ご本家のツイキャスのフォロワー・リスナーもどんどん増えて、「後楽園じゃなく横アリ(キャパ17000人)押さえとくか……」といち禍話ファンとしてほくそ笑む毎日であります。
ところで、「禍話」は実話怪談。リライト=書き改めではありますが、『新耳袋』や『超怖い話』シリーズのような「実話怪談」の先達の文章フォーマットがあったため、私はそれに従って書いていました。
1.頭から終わりまで全部「小説」のようにはしない
2.あくまで「こんな話を聞いた」との聞き書きスタイル
3.ただし読み物なので、それにふさわしい程度の編集・補強は行う
かぁなっきさんが関わっちゃった「例の家」では一人称を使ったり、あえて語りをほぼそのまんま書き起こした「隙間の石像」など例外もありますが、その他の話では「~だそうである」「~らしい」「~だという」などの聞き書き表現を適宜、使っております。
※注 これは私が勝手に己に課しているルールであり、他の禍話リライターの方々にも適用されるものでは一切ありません。俺が俺にだけ課した俺ルールです。リライトは自由に楽しく怖くやりましょう
そのようにして現在までに二十六話、短くは800字、長くは16000字(長いな)とコツコツやってきた「禍話リライト」でありますが、上記の俺ルールで自分を縛りながら書いてきたことで、気づかぬうちにフツフツと、何かが溜まっていたのでありました。
──ほいでのぅ、そこにやって来たんが、「小説冒頭800文字だけコンテスト」こと「逆噴射小説大賞2019」だったのじゃと。
☆逆噴射小説大賞・投稿終了日後に更新された、
逆噴射小説大賞2019ライナーノート【本編】選挙と海と生首とBL、あとはでっかい怪獣の話
につづく…………
なお、こちらが応募作一覧です。
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