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【短編】ビジュアル系バンドが、心霊スポットで、熱々のおでんを食べて、呪われる話【三題噺】

 ビジュアル系アマチュアロックバンド・艶夜華~adeyaka~は、いま危機に直面していた。
 結成して2年目、もはや崖っぷちとも言ってよかった。


 86回。


 これが彼らの新曲の、1週間の再生回数である。


「なぁ、こんなにいい曲なのに、なんで伸びないんだろうな?」
 ボーカルのkyoが、動画の再生回数を見て誰に向かってとでもなく呟いた。 
 八畳の和室、kyoの自宅アパートである。整頓されているにもかかわらず、音楽機材と生活用品がみっしりと詰まっており、簡単に移動できない。
「世間に、センスがないのさ」
 窓際に座ったnightはギターの弦を手入れしながら言い放ったものの、顔は外に向けていた。常にクールでいたかったので、つらそうな顔を見せたくなかったのだ。
「kyoのボーカルも脂のってたし、今回のは自信あったのになぁ」ベースのblueは唸る。「何が足りないんだろう?」
 しばらくの痛々しい沈黙ののち、ドラムのvalleyがのんびりとした声で言った

「その86回のうちさぁ、たぶん50回くらいは俺たちが再生してるよねぇ」

 八畳間に、さらなる重苦しい沈黙が流れた。

 動画サイトに上げた新曲「神様の言葉」、再生数86回。
 ひとつ前の曲「滅せよ鬼、掲げよ刃」は202回──だがこれは、4人が示し合わせて、「もうこの際、時流におもねろうか」と作った曲で、満足していなかった。後悔すらしていた。
 狭い部屋であぐらをかいてパソコンに向かいながら、kyoは動画サイトの公式チャンネルを流していく。
 その前の「心のときめき」は71回、その前の「海の広さに」が81回、90回、58回、64回…………

 月に1曲のペースを維持し、かっこいい静止写真を無料サイトから厳選し、トップページのアーティスト写真も、アマチュアながらそれなりのモノに仕上がっている。そのはずだった。


 実際彼らの音楽は、悪くはなかった。
 

 ただ、時代がよくなかった。
 今やインターネットでは、アマチュアの新曲も伝説の名曲も一緒に並んでしまう。埋もれやすい。

 さらに言うなら、セールスのセンスが壊滅的であった。

 安定した実力があるにも関わらず、「俺たちの容姿は平凡にすぎる」と彼らはまず考えた。
 そこで何故か、ビジュアル系が選択された。
 メイクをしてみると平々凡々たる顔が美麗に“なってしまった”のも不運だった。
 そのようなビジュアルで、バンド名がそれにふさわしく艶夜華~adeyaka~とつけたのに、曲名が「神様の言葉」「心のときめき」「海の広さに」である。
 どれも穏やかでなごやかなラブソングや人生応援歌であった。
 見た目を強くした分、音楽は落ち着いたものをと考えたわけだが、いかんせん、地味にすぎた。

「俺、考えたんだけどさ」
 kyoは3人に体を向けた。
「もしかしたら、音楽やビジュアルだけじゃ、ダメな時代になってるのかもしれない。
 もっと別の方面の動画を作って、ひとまず名前を、艶夜華~adeyaka~って名前を、売るべきなんじゃないだろうか?」

 

 これは言うまでもなく、完全な間違いである。


 セルフプロデュースのセンスが絶望的なkyoだったが、他の3人も負けじとひどかった。
「そうかも、しれないね……」nightがポロン、とギターを弾いて同意した。かっこよく見えるがその実、特に何も考えていない。
「京太郎くんすごいよ! それだよ!」素直なblueが頷く。
「んー、よくわかんないけどさ、やるからには手伝うよ」マイペースなvalleyがドラムスティックを回しつつ言った。


 かくて艶夜華~adeyaka~の4人は狭さに苦労しつつパソコンの前に集まり、次の動画の作戦会議を開始した。
 しかし出てくる案は「風呂でメシを喰う」「おかしをたくさん食べる」「映画レビュー」などばかりである。圧倒的、ひたすら圧倒的なセンスのなさであった。


 では、どうするのか。


 ビジュアル系バンドが挑戦したら面白いものについて全員で首をひねって考えたが、アイデアが浮かばない。
 30分後、kyoが頭を抱えながら立ち上がって叫ぶように言った。
「あーっもう! よしみんな! くじ引きやるぞ!」
「くじ引きぃ?」


 と言っても、紙を用意したわけではなかった。


 まず、動画サイトの「人気動画ランキング」を開く。
 次に、マウスを握った者が目を閉じて、それを上下にめったやたらに動かす。
 そしてクリックする。
 再生された動画を、「名前を売るための動画」のテーマにする。 

 
 言い出したkyoが、マウスを握った。
 皆が見守る中、彼はマウスを乱雑に動かす。
「ぬぅーっ……これだ!!」

 カチリ、とクリックして再生されたのは──



「九州最強怨念スポット 犬鳴トンネルに挑む 前編」



 心霊スポットへの突撃動画だった。
「わあっ! やだよぉ俺! オバケこわいもん!」blueがkyoの肩を揺らした。
「そ、そうだよな、ビジュアル系が、し、心霊スポットに行くとか、ちょっと、ほら、キワモノ過ぎるっていうか」
 kyoが気弱に同意するのを、nightが制した。
「いや、これは面白いかもしれないぞ」
 nightはかっこよく顎に手を当てる。
「考えてもみろ、今まで体を張った美青年系バンドはいても、こういう動画を作ったバンドはいたか?」
「いや、いないと思うけど……」blueが小さく返事する。
「じゃあチャンスじゃないか? スキマ産業ってやつだよ。幸いなことに二人、怖がりがいるじゃあないか。面白いものが撮れるんじゃないだろうか?」
「でもさぁー」valleyが間延びした声で口を挟む。「ビジュアル系バンドが、心霊スポットに突撃した、だけじゃあ、なんかこう、もう一味ほしくない? 薄味じゃないかな?」
「そんなこと言うなら谷口、お前ちょっとやってみろよ、くじ引き」kyoが顔をしかめる。
「本名で呼ばないでよ……わかったよ、一回やってみるよ……」

 valleyは目を閉じてマウスを握り、クレヨンで紙に落書きする子供のようにグリグリと上下左右にぶん回した。
「はいっ、これ!」


 valleyが選んだ動画は、昔のバラエティの映像だった。

 アッツアツのおでんが、タレントの口の中に放り込まれる。
 タレントは悲鳴を上げながら倒れ、スタジオが笑いの渦に巻き込まれた。

 
 心霊スポットと、おでん──


 心霊スポットで、アッツアツのおでんを食べる──


「これだ」
「これだな」
「うんっ! これっきゃないよ!」
「面白そうだなぁ」


 4人はきらきらとした顔を見合わせて、大きく頷くのだった。


 もしかすると既にこの時、艶夜華~adeyaka~は、何かに魅入られていたのかもしれない…………



「でもさぁ、おでんを食べるからにはさぁ、普通の場所じゃ面白くないよなぁ」
「そうだ、ヨーロッパ的なお墓の並ぶ場所がいいだろう。ミスマッチで面白い」
「外人墓地かな。いい心霊スポット、あるといいね」
「よしわかった。都内、心霊スポット、外人墓地、検索…………」

 そのような流れで決まった収録場所が、緑川外人墓地であった。

 戦後間もなく作られ、都心周辺で亡くなった外国人が多く眠るこの墓地には、母国に骨を埋められなかった人々の無念が今も漂っている、と、オカルトサイトに書いてあった。 

 夜このそばを通ると、白いドレスを引きずった女性が中をさまよっているとか。
 古いスーツを着た老人がとぼとぼと歩いているとか。
 肝だめしがてらに侵入した若者たちが痩せ細った少女に追い回されたとか。
 興味本意で大学生が軍靴の音を聞いて立ち止まると、片足のない黒人兵士が横切っていったとか。 
 そのような体験談は枚挙にいとまがない、ここは都下最強のスポットのひとつだ、と、オカルトサイトに書いてあった。


「心霊スポットでおでんを食べる動画を通じて、バンドを知ってもらう」

 この本末転倒なアイデアに4人が小指の先ばかりだけ残していた違和感が、この最強の心霊スポットの発見により霧となって消えた。
 これはすごい場所だ。
 俺たちにもついに運が向いてきたんだ。

「いつ行く」kyoが横を向くと、nightもkyoの方を向いていた。目が合った。
「善は急げと言うぞ。それに皆、明日はバイトがあるだろ」
 後ろにいたblueとvalleyを見る。彼らは黙って首を縦に振る。
「今夜だ。今夜、やろう」
 kyoはおごそかに言った。

 5秒後、kyoはスマホで緑川外人墓地の場所を調べ、車で行けるルートを検索していた。
 nightは押し入れを開けて動画撮影用のカメラと三脚、それにライトを取り出した。
 動画サイトに上げた1曲目(再生回数102回)、2曲目(再生回数89回)をPV風に撮った時以来の出番である。
 blueはメイク用具と鏡を出し、メンバーそれぞれが使うものを振り分けている。
 V系のメイクはしばらくしていなかった。半年前のライブぶりだ。それも小さな箱での、内輪な詰め合わせ的ライブである。客席にはこの後に出てくるバンドと、この前に演奏したバンドしかいなかった。
 valleyはアパートを出て車を飛ばした。スーパーで肉と野菜とレンジでチンするご飯、それにおでんの具各種を買い、素早く戻ってきて、エプロンをつけて狭い台所に立った。

 15分ほど経った。
「墓地、ここから飛ばして最短で20分だ」kyoが言う。
「9時には撮影をはじめたいな」nightはバッテリーを確認している。
「衣装はどうしよう?」blueは尋ねた。「メイク道具は揃えたよ。衣装も出す?」
「うん、そうしてくれ」
「そっちの方が派手でいいだろう」 
 2人が答えた直後に、
「はいっ、チャーハンできたよぉ。おでんは今煮込んでる」 
 valleyが4人分の皿を器用に持ってテーブルの上に置いた。
「さすが中華料理屋だ」nightがvalleyの肩を叩く。
「料理人は仮の姿だってば。俺はドラムスだ」
「さぁ早く食べちまおう」kyoがレンゲを取った。
「メイクに30分、衣裳とヘアセットに30分。9時で撮影するにはギリギリってとこだ」
「じゃあ、ここからはもう無駄口無しだね」blueもレンゲを取る。 
 kyoは、みんなの顔を見回した。
「そうだ。ノンストップでやる。動画を撮って一発逆転、名前を売って、そしてみんなに俺たち、艶夜華~adeyaka~の音楽を届けるんだ。……じゃあみんな、今夜は気合入れていくぞ!!」
 おう、と3人がkyoに向かって頷いた。
「いただきます!」
「いただきます!!!」

 半年前のライブ以来の、かけ声だった。



 それから1時間半ほど経った、夜の9時少し前。
 4人は緑川外人墓地へ向かう車の中にいた。

 4人にはプロデュースのセンスもなかったが、動画制作のノウハウもなかった。
 元より音楽だけが好きな4人である。そんなものはない。思い立ったが吉日と機材をまとめて車を飛ばしてきたので、検索して勉強する暇もなかった。
 動画サイトに上げた1曲目2曲目のPVは、blueが勤める美容室の撮影と編集のできる先輩に頼み込み作ってもらった代物である。カメラの持ち主のnightですら基本的な操作を知っているのみであった。 

 その問題に気づいたのは、助手席にいたkyoだった。
「なぁ……こういう動画ってさ、どこから撮りはじめたらいいんだろうな?」
 valleyがハンドルを握る車の中、緑川外人墓地まであと10分のところだ。
「そうだな、考えてなかったな」カメラをいじりながら後部座席のnightが言う。「よくわからないから、今から回そう」

 とりあえず、そのようなことになった。



「………………」
「………………」
「あ、ここ、左」
「左?」
「うん」
「うん、ここをちょっと行く」
「うん」
「そこほら、コンビニあるでしょ」
「うん」
「そこを曲がって、もうすぐだから」
「うん」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「あー、あれ?」
「違う違う、あれ普通のお墓じゃん」
「あーそうだ」
「もうちょい先」
「うん」
「白い柵が見えてくるから」
「うん」



 シルバーに染めて立てた髪に、厚めにファンデを塗った顔面、唇を薄赤く塗り、アイラインを濃くした顔の助手席の男が、黄色い髪に付けまつげ、額から顎にかけて黄色い稲妻を走らせている運転手に、淡々と道を指示している。
 双方、そして後ろの2人も黒い着流しである。
 これが艶夜華~adeyaka~4人の、共通衣装だった。

 nightの隣にいたblueが声をかける。保温と味を染ませるため、おでんの入った鍋を毛布に包んで抱えている。
「ねぇ、これ、回してていいの?」
「いいんじゃないかな」
 そう答えたが、nightは深いことは考えていない。
 青い髪に青い口紅を塗ったblueはいいのかなぁ、いいのかなぁ、と一人小さく言いながら腕を組む。
 黒い長髪の先だけを赤く染めたnightは、「まあ素材ってやつだね」と気のない返事をするのであった。

 カメラは理由もなく、全てを撮影していた。

 到着した緑川外人墓地には、門はなかった。彼らはのんべんだらりと撮影しながら堂々と中に入った。
 俺撮ってるからさ、の一言で、nightが最後尾となった。カメラを持ち照明を照らしながら墓地の中を進む3人を追っていく。

「暗いなぁ」
「暗いよぉ」
「暗いねぇ」
「あっ、9時だ」
「9時かぁ」
「撮影はじめないとなぁ」

 nightは配信する素材だと言うのにおそろしく無意味な言葉しか言わない3人を漫然と撮る。自分も「暗いな」と呟きつつ、なんとなくレンズを左右に振っているばかりだ。


 ところが、しかし。
 nightがダラダラと撮影していた外人墓地内の映像。
 そこには、無数の霊が捉えられていたのである。

 墓の影、木の後ろ、足元から暗がりの中にまで、白い影や黒い姿、ものによってはクッキリと映っていた。
 黒人に白人、ラテン系からアジア系まであらゆる人種がいたが、どの霊も一様に、恨めしそうにレンズを見やっている。
 折悪しくこの日、13日の金曜日であった。キリスト教には忌日にあたる。
 そんな日に外人墓地に侵入することはつまり、仏滅の日に、鬼門の方角に向けて、位牌や卒塔婆を破壊するようなものであった。
 いつにも増して侵入者に敏感になっていた外国人の霊たちはその怒りを抑えることなく、ゆっくりとゆっくりと彼らに近づいていく。


 ところが、しかし。
 ぼんやりカメラを持っていたnightは、その集い来る数々の霊体に、まったく気づかなかったのである。
 1メートル先の墓石の影から飛び出た白人女の顔にすら気づかなかった。
 それは、前を行く3人も同様だった。

 nightの掲げるライトから一番遠いkyoは歩くのに精一杯だったし、怖いので前方のただ一点しか見ていなかった。
 その後ろのblueはボーカリストに輪をかけて怖がりだったので、kyoの背中にしがみつき赤く刺繍されている「艶夜華」の文字だけを幾度も読んでいた。
 そのまた後ろのvalleyは、たいそう鷹揚な性格であった。細かいことはあまり気にしないタイプである。
「おや、今なんかいたかもしれないな」「あれっ、今のはおじいさんだったかもしれない」
 それらを「まぁ、いいか」で済ませていた。

 彼ら4人はつゆとも知らなかったが、緑川外人墓地に集まる多数の霊魂たちは、彼らを確実にとり囲みはじめていた。
 
  外国人の亡霊たちが音が立つほどに集まってきている。
 だが4人はそれに気づかぬまま、墓地のど真ん中に到着した。 
 そこはちょうど休憩スペースのようになっていて、石造りの椅子とテーブルがしつらえてある。
「もうさ、ここでいいよな?」kyoは少し震えていた。
「こ、ここにしようよ。俺こわいよ。な、なんか変な空気になってきたし」メイクのせいでより青く見える顔のblueはもっと怯えている。
「そうか。じゃあここにしよう。ちょうど墓地の真ん中あたりだ。谷口、鍋とカセットコンロ出してくれるか?」
「だから本名はやめろってば……お前も本名で呼ぶぞ内藤」
「お前、よせって」
「内藤だから、night」
「お前だって谷口でvalleyだろ」
「ケンカしてる場合じゃないよっ」blueがせっつく。「なんかどんどん気持ち悪くなってきてるよここ!」

 本人は気づいていないが、blueにはいわゆる「霊感」があった。 
 彼はそういうものを感応する力がまるっきりない3人とは違い、緑川外人墓地の中央に集合しつつある無数の霊の気配を肌で察知していたのである。

 だが──

「なんだよお前、そんなに怖いのかぁ? 困ったなぁ」3人の中で一番おおらかで鈍感なvalleyはカセットコンロを石のテーブルに置き鍋を設置しつつ言う。
「いや。怖がってもらった方が面白いものが撮れる」とnightが同調した。「kyoと一緒にせいぜい怖がってくれ」
 そう言われてblueは不愉快になった。反発心が沸いた。
「べ、別に怖くないし! 暗くて不気味ってだけで! 怖くないぞ!」
 心と肌身では確かに感じている危険な気配を押し込めて、強がってしまった。

 そんなやりとりの間にも、カセットコンロに火が入れられ、さめかけていたおでんがグツグツ煮えはじめた。

「煮えたよ。はい、箸と皿も並べたよ」
「よし。じゃあまずはkyo、お前が動画の説明をしてくれ。鍋のあっち側に回って……」
「わかった」

 妖艶なメイクを施し、黒に身を包んだkyoが、鍋の後ろに立った。
 カセットコンロにかけられたおでんが湯気を立てている。 
 外人墓地の中央部に、おいしそうな匂いが立ちこめる。
 nightがカメラを覗き、その後ろでvalleyは腕組みをし、blueは背を丸めながら不安そうに左右を見回している。

 kyoはよし、とばかりに腹を据えて、説明をはじめた。
 ライブのMCで培ったトーク力を、ここで発揮させるのである。



 ──はいっ、こんにちは。ビジュアル系ロックバンド、艶夜華~adeyaka~の、kyoです! 
 えー、いつもは曲を上げているわけですが、今日は、えー、あれですね、ちょっと趣向を変えてみることにしました!
 題して…………えーと、そのー、「艶夜華~adeyaka~の……チャレンジ動画」! イェイッ!!(拍手)
 えー、そのチャレンジ動画、その第一弾なんですが、あのー、チャレンジ、挑戦ということでね! 
 その~、強めの挑戦を! やってみたいと思います! はいっ! これはね、第一弾なので、うん。
 えー、ここ、ここね、ここらへんしか照らしてなくて、あのー、暗くてよくわかんないかと思うんですが、どこだかわかりますか? 
 なんとここ、都内有数の心霊スポット、緑川外人墓地なんですね! 有名な! 心霊スポットなんです!! 有名なんですよ~!!
 えー、そして、僕の目の前に、はい、今すっげー湯気が出てるのがわかるかと思うんですが、ここにはですね、ハイッ!
 見てください! なんとここに! 煮えたぎる熱々のおでんがあります! 煮えてます!! 超煮えてます!! 
 えー、そんなわけでですね、今回のチャレンジ動画では、心霊スポットで! この熱々のおでんを! 食べてみたいと……



 ここまで語ってみてようやく、kyoは思った。


 なんだこれ。


 ビジュアル系のバンドが、
 メイクと衣装で決めて、
 夜の心霊スポットで、
 熱々のおでんを食べる
 その様子を動画で撮影する。


 なんだこれ。


「俺たちの曲をもっと聴いてもらいたい」が、どうして「心霊スポットで熱々のおでんを食べる」になるのか。
 言い出したのは自分だったはずだが、まったく意味がわからない。
 どうしてこうなってしまったのか。

「なぁ」kyoはおずおずと切り出した。「おかしくないか?」
「だよね? おかしいよね!? 変だよここ!」blueが食いつくように叫ぶ。
「いやそうじゃなくて、この動画……なんで俺たちさ、こんなの撮ってんだろうな?」


「ええっ」


 カメラのそばの3人が一斉に驚きの声を上げた。


「お前、ここまできてそんなこと言うのか?」とnightが言えば、「今さらちゃぶ台をひっくり返すようなこと言うなよぉ」valleyが苦言を呈する。
 怯えているblueは「いいから京ちゃん! いいからそういうの! 早く進めて食べて帰ろう!」と手をあおぐようにして先を促す。
「本当、そういうのはいいからさ、まず試しに、kyoが一回食べてみてくれよ」
 nightが鍋を指さした。
「なんで俺なんだよ」
「ボーカルだろ」
「おでんとボーカルは関係ないだろ」
「お前、リーダーだろ?」
 言われてkyoはぐっ、と詰まった。そう言われると弱い。 
「どういう風に映るのかテスト撮影も兼ねてさ、一度食べてみてくれよ、二品くらい」
「わかったよ……でもな!」kyoはレンズと他のメンバーを交互ににらんだ。
「テストのあとはお前らも食べるんだからな! 食べろよお前らも!」
「あー、わかったわかった、食べる食べる」
「食べるよぉ。お前を一人にはしないからさぁ」
 blueはさっきより背を丸めて、無言でこくこく頷いた。肌を撫でるような気味の悪さが秒を追うごとに増しているのだ。


 kyoは露骨に嫌な顔で、鍋の中から箸で大根とハンペンを取った。
「ほら、いただきます、って言ってくれよ」
 指示を出すnightの指が画面に映りこむ。
「はいっ……じゃあ大根、いただきまーす……」

 拭えぬ疑問と熱々の大根に気をとられていたkyoは、3人の異変を見過ごした。

 nightも、blueも、valleyも、それに同時に気づいた。

 ライトが照らすkyoの真後ろ、外人墓地の光の奥、闇の先からぬっ、と現れたものがある。

 白い影であった。

 純白のドレスのような輪郭が風もないのにゆらゆらと揺れ、ぼんやりと定かではない。
 両腕を曖昧に開いて、誰かを抱きすくめようとしているようだった。
 表情はわからない。
 顔にぼっこりと、大きな黒い穴が開いていたからである。

 これが、彼ら艶夜華~adeyaka~が今夜、最初に目にした霊だった。
 その精神破壊力は抜群であった。真の恐怖に直面した3人は声も出せず、今まさにおでんを口に入れようとしていたkyoを見ていたのはカメラのレンズだけであった。
 顔面のない白い影の左右から、ガリガリにやつれた白人の少女とボロボロのスーツを来た黒人の老人が現れた。
 その背後からもまた、白や黒や灰色の影がずるずると、数えきれないほどに迫ってきていた。

「あ」
 blueの喉からようやくそれだけ音が漏れたのと、kyoが大根を口に入れたのは、ほぼ同時だった。 

「熱ゥッ! アフッ! ハフッハッ! ムァッ! 熱ゥ!」

 ダシをよく吸い90度越えた大根の熱さは、kyoの予想を超越していた。
 適当に面白いリアクションをとればテスト撮影は終わるだろうと考えていた彼の甘い目論見は粉砕された。
 意識したリアクションをとれるような温度ではなかった。

「ハーッ! ハッハッ! ふはっ! ムァッ! ムーッ! ムーッ! ンンーッ!」

 口から吐き出したい思いに捕らわれたがしかし、幼少期から厳格に育てられていた彼の無意識がそれを許さなかった。

「あふい! あふい! あふい! ムアッフ! ムグーッ! ンンーッ!」

 口の中で暴れ回る大根の熱と戦いながらkyoは、カメラ脇の仲間たちに視線で助けを求めた。
 彼は驚いた。誰も大根に苦しむ彼のことを見ていなかったのである。
 ふざけるなよ、リーダーの俺ががんばって食べてるのにお前ら、一体何を、と振り向いた瞬間、kyoは見てしまった。


 広がる緑川外人墓地の暗がり、その視野の端から端までみっしりと、この世の者ではない存在が迫ってきていた。


 はっきりと見える姿から煙のようなもの、首のない者も手足のない者もいる。おそろしいほどの多様性がそこにはあった。
 顔のわかる者の表情にはすべて、憤怒と怨嗟がどす黒く深く浮かんでいる。
 彼らと彼女らがいかなる存在であるのか、どんな思いでここに現れているのか。
 それをkyoは数秒で理解した。 

 だが、口内の熱さを忘れられたのは、その数秒間だけだった。
 kyoは口内の大根の熱と迫り来る亡霊たちに、挟み撃ちの形となった。
 熱さと恐怖が彼の脳を圧迫し、口から湯気とともにこのような言葉が断続的に発された。

「熱ゥアーッ! フハッアーッ! ムグーッ! ハァーッ来ないでぇ!」

 あとずさりしたkyoは石の椅子につまづいてステン、と転んだ。その拍子に腰が抜けて立てなくなった。

「熱い! アツイィ! 熱い熱い怖い! ンフーッ! ごめんなさい!」

 ボーカリストの混線した絶叫にやられたように、blueがその場にへたりこんだ。
「もうだめだ」 
 それだけ言って背中向きに倒れそうになった体を、太い腕が支えた。
「青山っ、大丈夫かぁっ」
 それはvalleyだった。
 blueは涙を流しながら首を横に降った。
「しぬ」
「死ぬな青山ぁ!」
 そう発奮するvalleyの腕も震えていた。いかに彼でも、見渡す限り現れた霊魂のおぞましさには度肝を抜かれていた。
 その脇をかすめて逃げようとする男があった。nightだった。
 意識した行動ではない。死の危険を察知した本能が、彼の足を動かしめたのである。
「こらぁ内藤ッ!」valleyは逃げる黒い和服の裾を掴んだ。「逃げるな!」
 そのまま力任せに引き寄せられたnightは「でもほら、一回帰って寝た方がいいよ、夜だし」とわけのわからないことを言った。 
 valleyはその横顔を思いきり張り倒した。
「馬鹿野郎ッ! 仲間を置いて逃げる気かッ!」

 仲間──

 そう怒鳴られたnightの心に、今までの艶夜華~adeyaka~の活動、苦労、美しい思い出が走馬灯のように過ぎていく。

 だがそれはそれ、これはこれであった。

「でもさ谷口くん、このままだとみんなとり憑かれて死ぬと思うんだよ」
 正論である。
 それに対してvalleyは、このように答えた。
「馬鹿野郎ッ! 俺たちは死ぬときは一緒だぁ!!」
 nightの背をばしんと叩いてから、カメラの脇にぶん投げる。そして腹の底から、こう叫んだ。
「撮れ! 撮ってやれ! 京太郎がおでんと幽霊に立ち向かう姿を! 撮ってやれよ!!」

 実はvalleyが一番、恐怖によっておかしくなっていたのである。 


 大根が一向に冷めないkyoはまだハフゥッ! コワイッ! と腰を抜かして転げ回っていた。

「よぉし! 熱いか! 怖いか! 京太郎! 俺が助けてやるからなぁ!」
 
 valleyは無理矢理blueを立たせてその足でテーブルへと向かった。
「ほらあっ京太郎! おでんだぞ!!」
 皿に取ったハンペンではなく、煮立った鍋の中から三角のコンニャクを箸で取り出した。
 味がよく染みるよう表面に細かく切れ込みの入った灰色のコンニャクは、具材の中で一番の熱を有していた。
 valleyが料理人として蓄積してきた経験が、無意識のうちに最も熱い品を選ばせたのである。

 kyoは首を横に振ってイヤイヤしたものの、ドラマーの太い腕は彼の首根っこを掴んで離さなかった。
 コンニャクが唇に触れた途端、ボーカリストは「ビャッ」とこの世ならざる悲鳴を上げて後方に転がった。
 口紅が溶けて広がり、タラコ唇のようになった。
「よぅし熱かったな、熱かったな京太郎! ごめんな! 俺も食べるからな!」
 迫り来る霊魂の群れに向けて、valleyは絶叫する。
「見てろよお前ら! これが艶夜華~adeyaka~だ!!」
 大きな口を開けて、コンニャクを口内に押し込んだ。
 
「アフェッ! アフッ! ムゥンッ!! ムァーッ」

 七転八倒する男が、2人に増えた。

 nightは先ほどvalleyにぶちかまされたパワーそのままに、ほぼ惰性で撮影を続けていた。
 頭が回らないまま三脚からカメラを外し、転げ回るボーカルとドラム、迫り寄ってくる無数の霊を交互に撮り続ける。

 blueは残された三脚に寄りかかり、頭の中に響く声に苦しんでいた。
 干渉を受けやすい彼の頭に、霊からの声が濁流のように流れ込んで来る。 
 数えきれぬほどの声が入り雑じり重なりあうせいで理解できなかったものの、自分たちに向けられた負の感情の強さだけは感じとれた。
「ごめんねみんな……俺、なにもできなくて……ベースも下手で、ごめんね……」
 泣きながら言いつのった。
「みんな死んじゃっても、俺たち仲間だから、ずっと一緒だよ……」


 4人のいるテーブルの周りに、数百の霊体が押し寄せてくる── 
 彼らの生命は、もはや風前の灯火のように思われた。


 その時だった。


「クスッ」


 吹き出す声が聞こえた。
 4人の笑いではなかった。

 霊の群れの先頭にいた、痩せぎすの白人の女の子が口に手を当てて、楽しそうに笑ったのだった。

「え?」
 nightはカメラを、その少女に向けた。

「ププッ!」
 その動きにつられるように、少女がまた笑う。
 怨霊特有の不気味な笑いではなく、子供らしい無邪気なものだった。

 それが引き金のようになって、少女を中心に笑いの渦が広まっていった。
 墓地を満たしていた禍禍しい空気が軽くなっていく。


 ──読者諸氏におかれては、考えていただきたい。


 ペアルックのようなキモノを着て、
 どこの何だか分類不可のメイクをした人間が、
 今にも倒れそうになりながら泣きじゃくったり、
 知らない食物を口に入れてそのあたりを転げ回ったり、
 生まれてから死後まで聞いたことのない珍奇な絶叫を響かせているのである。


 怨念と憤激に凝り固まった外国人の霊も、この未知の異様な様子に、自然と心がほぐれてしまった。
 その感情の変化が、一人の少女の霊の笑いによって大きな流れとなり、一挙にこの緑川外国墓地を、ホッコリさせてしまった。


 ワッハッハ……
 ワッハッハッハッハ……


 刺すような冷たい排除の雰囲気が、春めいたやさしい温かさに変わっていく。


 よたよたと歩いて撮影者の肩につかまったblueが呟いた。
「笑ってる……」 
「俺にも、見える……みんな笑ってる……」
 nightは小さく答えた。


 kyoとvalleyは大根とコンニャクがまだ冷めず、地べたで悶絶している。
 その姿がまた、彼らの笑いを誘った。


 ワッハッハ……
 ワッハッハッハッハ……


 音もなくスッ、と、最初に笑っていた少女の霊が消えた。
 それを合図に次々と、姿や影が消えていく。


「あっ……えっ……? 聞こえる……」
 blueが頭を抱えた。nightは思わずカメラを彼に向けた。
「どうした」
「幽霊の声……聞こえる……」
「なんて言ってるんだ?」

 blueが答えるのと、kyoとvalleyがおでんの熱さに打ち勝つのと、最初に現れた霊が顔の穴から穏やかな笑い声を立てつつ消えるのは、ほとんど同時だった。


「It was funって…………『楽しかった』、だって…………」



 この動画は、最初の一日で1万回再生された。
 観たのはオカルト好きだけではない。不馴れなnightが苦労を重ねて編集した動画のその「絶妙のダメさ」が、異様な味と笑いを生んでいた。おそろしい霊と、インパクトのある笑いと、スルメのような味わいが同居する奇跡の動画であった。

「幽霊が映っている」
「4人がみんなおかしい」
「編集もクセになる」

 恐怖と笑いと珍味が合わさったこれは、SNSを中心に爆発的に広まった。
 CMなどの入っていない非営利動画だったことも吉と出た。ただしこれは、そういう広告システムを彼らが知らなかったためなのであるが。


 当然ながら問題も起きた。緑川外人墓地への侵入である。鍵などはないとは言え、倫理的にどうか、とのコメントが寄せられた。
 ここで開き直っていたら炎上していただろうが、彼らは根が正直であった。
 数日後にkyoの狭いアパートで、素顔のまま撮影された謝罪動画はその翌日、手書きの謝罪文と共に公開されることになる。
 また4人は、緑川外国墓地の管理会社に直接、謝りに出かけた。 

 謝罪動画の中の逃げ口上のない真摯な言葉と態度は、インターネット住人たちの心も撃ち抜いた。 
 その直前にネットニュースで、彼らの曲の再生回数が平均2ケタであることが伝えられていたのも、同情を誘ったと思われる。
 また、おでんにやられた唇のヤケドがまだ引ききらないkyoが、「ほのはびは、はいへん、もうひわへあひませんでひた」と謝る様子の面白さも、批判の声を小さくさせた。
 外人墓地の管理会社のホームページに、謝罪を受け入れる文面が掲載されたのも幸を奏した。



「彼らのした行為は本当にひどいものですが、その真摯な態度と、丁寧でまっすぐな言葉、休憩所を汚さずに帰った律儀さ、
 そして外人墓地にいる霊たちを和ませた結果に免じて、この謝罪を受け入れようと思います。霊たちの安らかな眠りを祈ります」



「倫理的にどうか」と指摘されて良心の痛んだ彼らは、すぐさま墓地の動画と自分たちの曲を全て削除していた。熱狂から転じて冷静になったあとの、純然たる申し訳なさからの行動であった。
 その潔さもまた、世間に好感を持って迎えられていた。

 機を見るに秀でたネットのインフルエンサーたちが、彼らの曲や墓地での騒動の動画の断片をSNSに上げた。
「普通にいい曲じゃん」「消された動画のここ、超ウケる」「なんでこんな普通の歌で、見た目がV系なの???」などなど。
 謝罪動画だけが残った公式チャンネルに、応援のメールが届きはじめる。
「ちょっとしか聴いてないのですが、いい歌だと思いました」「フルで聴いてみたいです」「blueさんかわいかったです」「どうやったら曲が聴けますか?」──



 その後の彼らの活躍は、皆さんもご存じであろう。

 メイクを薄めにし、着物もやめて、等身大の容姿となった彼らは、音楽活動を主、「チャレンジ動画」を従として、今や八面六臂の活躍を見せている。
 艶夜華~adeyaka~というバンド名は、理由はよくわからないがそのままであった。
 元々音楽的な才能はあった彼らであるので、派手さはないがしっかりと聴かせる曲の数々は、手堅くヒットを飛ばしている。
 ライブにも人が来るようになった。中くらいの箱ならばほぼ満員になる。

 霊感のあるblueには心霊絡みの出演オファーが、valleyには料理関係の出演要請が、kyoには「ネットでのバズり方」の類の本の出版依頼が舞い込んだが、全て断った。

 彼らは、これ以上を望んでいない。
 一定の数の人たちが、自分たちの音楽を聴いてくれている。
 それで、十分に幸せだ。
 彼らはそれだけで満足なのであった。


 
 しかし。



 彼らのライブやイベント。
 それが13日の夜に開かれる際に、客席の最前列や楽屋の近くに陣取った方がいらっしゃったのなら、是非耳をすませてみてほしい。
 ステージ裏から、こんな声が聞こえてくるかもしれない──



「ウワッやっぱり出てきた! ウウッこわい……! お祓いとかできないのっ?」
「お祓いなんてできないだろ、俺らのおでんを楽しみにして現れるんだから……おい泣くなよ青山……」
「だって京くん……ライブ前に出てこられたらテンション上がんないよ……」
「まあ仕方がないだろう、これも俺たちがしでかしたことの後始末だと思わないとな」
「内藤くんなんだよその態度っ。逃げようとしたくせにっ」
「お前はオシッコもらしてただろう。バレてなかったけど」
「逃げるよりはマシでしょっ」
「まぁ二人とも……」
「はいっ、よく煮えてるよぉーっ」
「あっ、ちょうどいいタイミングで煮えたな。よし、今日はみんなで食べよう」
「そんな。俺は嫌だぞ」
「内藤、逃げる気か? このオバケさんたちの囲みから逃げられると思うか?」
「そうだぞ内藤っ」
「内藤、観念して食べようや。なぁ……」
「……仕方ないな……」
「じゃあいいか? はい谷口、箸……。今夜のライブと、これからの活動の安定と、それからこちらにおいでの、亡くなった外国人の皆様の平和で安らかな眠りを祈って、」 

「いただきます!!!!」





「アヒイッフウッアッ アフィ! 熱ィ! ヒーッ!!」
「オフッ ンゲホッゴホッ グホッ ホフッアッフアッ!」
「ヒーッヒーッ! ヒーッヒーッ! ヒャーッ! ヒーッ!」
「ムァーッ! オホッホッホッホッ! ムハァッ、ウーッ!」









【めでたしめでたし】


【 あとがき /「これは何?」と思われた方へ】

 この短編は、偶然が重なった諸事情により三題噺を書く感じになったため、書きました。お題はタイトルの通り、
 
「呪い」
「おでん」
「ロックバンド」


 でした。
 なぜこんなに長く(※14000字)なってしまったのか、こんな内容になったのか、自分でもよくわかりませんがとにかく、不可思議な化学反応をお楽しみいただけたら幸いです。 

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