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【こわい短編】ベッドの下には
「くわぁ~、よっぱらったァ!」
そう叫ぶ沙也を担ぐようにしながら、私は部屋に入った。
よっこいしょ、と私は沙也をベッドに下ろす。沙也は「部長のバカ! しね!」などと叫んでいる。
今夜はこのまま泊めてやるしかない。
私は押し入れから掛け布団をもう一枚出して、テーブルをどけた。カーペットが敷き布団の代わりになるだろう……たぶん。
「……あれ? ここは令佳ちゃんのマンションじゃない?」
沙
華道書道茶道、全道是殺人道也 #パルプアドベントカレンダー2021
老人は会長室から飛び出した。
和服の裾をはためかせ渾身の力で逃げる。
片方の雪駄が脱げる。
振り向けば暗い廊下に白い雪駄、それを拾った者がいる。
侵入者だ。
五階、会長室の窓を突き破って入って来た。
細身の黒いパーカー、フードを深く被り、顔は見えない。
侵入者は雪駄を掴んで立ち止まる。
老人の視線を確認してから、顔のあたりまで上げ、前に突き出す。
ぱきん、と、硬い木で作られ
【恐怖短編】暗い夜道は ピカピカの お前の鼻が役に立つのさ…… #パルプアドベントカレンダー2021
しかし、と、真っ赤なお鼻のトナカイさんは思いました。
自分の鼻が役に立つのは、クリスマスの日だけではないだろうか、と。
この赤く光る鼻を誇れるのは、クリスマスの前後だけではないだろうか。
それ以外の時期はやはり、自分は笑い者にされて、泣く毎日を送るのではないのか。
「アイツの鼻ってそりゃあ、クリスマスには役に立つけど……」
「でも他の364日は何の役にも立たねぇんだよな」
「そりゃそうだ
【短編】レールの上に石を置く夏
太陽の下、山の蝉が無数に鳴いていた。
夏美は進入防止用の金網をめくり上げて、中に入っていった。
サンダルがざくざくと砂利を踏む。薄い桃色のワンピースから出た腕の先には、小ぶりの石が握られている。
俺と直人は金網の外で、彼女の背中を見ている。
夏美の向こうにはもう一枚、水色の金網が延々と横に伸びている。その先には森がある。濃い緑のせいで夏美の首筋や足が、より一層白く見えた。
線路のそばま
106つ、または107つ、ないし108つのジョー・レアルの生首
ジョー・レアルをぶち殺して首を持参した野郎には10万ドルくれてやる。
そう俺たちが宣言したその翌日。さて、何人が首を持ってやって来たと思う?
212人だ。
持ち込まれたうちの半数は偽物だったが、あとはどっからどう見たってホンモノの、ジョー・レアルの首だった。
信じられるか?
俺には信じられなかった。バーにいる仲間の誰もがそうだった。
「ふざけやがってよッ!」
ちびのトゥコは短い
【短編小説】[特-0001] 川岡猛浩 探検隊シリーズ/緊急生放送! 中国・絶叫省の奥地に、巨大マンドラゴラが自生していた!!
☆参考資料
[録画、開始]
[再生]
(当時の中国、都市部と思われる風景が映し出される)
(効果音)
デギョーーーン!!!
(字幕1)
川岡猛浩
探検隊シリーズ
(字幕2)
緊急生放送!
中国・絶叫省の奥地に、巨大マンドラゴラが自生していた!!
暗転
ライトが点灯し、丸い光の中に「VHSテープ」が映し出される
(男性1=ナレーション)
これが今回、我々の元に送られてき
【短編】ある復讐者の話【二次創作】
冬の風が、墓地を撫でつけていた。
そこらじゅうに雪が残っている。無数に並ぶ墓石は雪をかぶり、名前と墓碑銘は白く潰れ、どこの墓にも、供物は何もなかった。
この寒さの中では当然だ、と俺は考えた。猛吹雪の翌日、曇った1月のこの天気の下、墓参りなどする奴はいない。普通は。
その寒風の中で佇む男を認めた時、俺はため息をついた。吐く息が白い。つまり奴は、普通じゃないということだ。
奴は、ジョニィ