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日本酒のベストの温度の探り方

日本酒のベストの温度の探り方

日本酒ほど多彩な味わいを愉しめる酒は、世界広しといえども他にはないと思う。純米や吟醸や大吟醸など、日本酒それぞれにおいしい温度があって、さらにそれは飲む人の好みによって、さらにその日の気温やあわせる料理によっても違ってくる。この酒はこの温度でと一概にいえないところが日本酒の深いところであって、その日本酒を冷やすのか、温めるのか、それともそのままでいくのか、その日、その食卓の、その日本酒のベストの温

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感謝や挨拶を、香りにも託して。

感謝や挨拶を、香りにも託して。

 香りを纏う人が好きだ。すれちがったときにふとやわらかい香りが鼻先をかすめる人に出会うと、それだけで暮らしぶりがうかがえる気になる。香りは礼節なので、ポイントは相手を想って使うことにつきる。あくまでも控えめな方がよろしい。私の場合は朝のシャワーのあとに、ロー・ドゥ・イッセイを膝裏にワンプッシュ。普段使いの人なら自分でわからないくらいがベストだと思っている。
 一方で香りを纏わせるのは人だけではない

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長崎の人にチャンポン屋さんを聞いてはいけない。

長崎の人にチャンポン屋さんを聞いてはいけない。

 旅へでて、その街にソウルフードがあれば食べずにはいられない。その土地で生き延びるための知恵と工夫、あるいはその地の食材を活かす創意と努力がその地の名物になることはよくあることで、長い年月をかけて地元の人の舌と競合との戦いに鍛えられているので、その味は旅人にもかぎりなくやさしい。札幌のラーメン、盛岡の冷麺、横浜のサンマー麺、広島のお好み焼き、博多のラーメン、そして長崎のチャンポンなどが浮かぶ。
 

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手は、口や目よりも雄弁に語る

手は、口や目よりも雄弁に語る

「COVID-19」により、手洗いと消毒の徹底がすっかり定着した。お陰で手は清潔になるけれど潤いはなくなる。ハンドクリームの出番は例年以上に多くなった。
 手はその人をなにより雄弁に語ると思っている。どんなに装っても、化けても、手だけはごまかしようがない。すべてが現れる。その昔、テレビドラマ「寺内勘太郎一家」で樹木希林(当時は悠木千帆)がきんばあさんを演じるにあたり、指先のない手袋をはめることにし

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