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#4 伝えてゆくこと

私が仕事を辞めたのは5月末。

起き上がらない体を、
「起こさなくていい。好きなだけ寝てていいんだよ。」
そう言って私を思う存分に寝かせてくれたのは、彼だった。

彼は今月から転職した。
その前の仕事は、コロナで本格的に騒ぎ出す前からリモートワークになっていた。おはようからおやすみまで、一日中顔を合わせる毎日だった。

私が12時まで寝てても文句も言わず、のそのそと起きてきた私に
「よく眠れた?ランチ注文したよ」と言ってくれた。

彼はとにかく優しくて、献身的だ。
私はそんな彼に何か返さなくてはと必死だった時期もあった。
でも結局、彼はそんなことのために私に優しくしてくれているのではないと分かった今、頑張って朝早く起きることを私はやめた。


そんな彼とは、幾度となく私のHSPについて話をしてきた。


私もまだまだHSPを知ったばかりだったから、何から伝えたらいいか、どういう言葉で伝えたらいいか、本当に悩んだ。

彼はメキシコ人だが、日常会話は日本語で過ごしている。
それでもこういうとき、私は言葉をできるだけかみ砕いて彼に伝えている。

HSPとパートナーシップに関して何が大切か?と訊かれたら、
私は「相手に言葉で伝えていくこと」だと思う。

私の恋人は、さっきも言ったようにとても優しい人だし、相手を気遣うこともできる人だ。
それでも、伝えていくことは必要だった。
その理由をいくつかあげていこうと思う。

理由① 
苦手なことがどの程度苦手なのか伝えるため

同じHSPでも、苦手なものやことの程度が人によって違ったりする。
その苦手な対象が、どのくらい苦手なのかを具体的に相手に伝えることで、
相手もイメージしやすくなったりする。

私の場合、『音に敏感』『予測できないことに過剰に怖がる』が特に強く、
彼と一緒に住み始めた時に結構苦労した部分だった。

彼は映画が好きなので、家で一緒に観ることがよくある。
彼の家のテレビは結構大きくて、その上音量もかなり大きかった。
しかも彼はホラーやミステリーが大好きで、一緒に観ようと何度も言われたが、もともとホラー系が苦手な私にはとても刺激が強くて、最初のころは結構しんどかった。

音を小さくしてほしいと言ったら、最初のころは「その音量(私に合わせた音量)にすると、僕が聴こえないよ…」と言われたり、
なんとか頑張って観たミステリー映画で、急に『バァーン!!!』って音が鳴ったり、血が飛んだりするシーンでとても怖がる私に、「本物じゃないよ、映画なんだから怖くないよ」と彼はよく言ってきた。

いやいや怖いかどうかは私の感覚じゃろがい。
私はが怖いものは怖いんじゃ。

そんなこと思ったり言ったりして、ケンカになったこともあったっけな。


お互いどうしたらいいかと悩んだけど、HSPをお互い理解してきたころに気が付いたのは、『相手の感覚にもわかる具体的な表現して伝えること』を私はしていないということだった。

その後私は、彼への伝え方を変えるようにした。

「その音量だと、耳元で突然大声でしゃべられてるみたいで疲れちゃう」

「歌は音が大きいと、話かけられてるみたいで集中できない」

こんな感じで、私にとってどんな感じなのかを、相手にもわかる感覚表現で言葉にするようにした。

すると彼も、ただ音量を下げてと言われるよりも、
なぜ下げてほしいかの理由が明確な分、受け入れやすいと言っていた。

そりゃ彼だって好きな音量で音楽聴いたり映画観たりしたいだろうなと、
私もそれは思っていたから、ここまで私のことで要求していいものかと
最初はちょっと心苦しい部分もあった。

でも、快く彼が受け入れてくれることで、
私もあぁ言っていいんだなと思えたから、結果的に良かった。


理由② 
相手の気遣いと自分がやってもらって
うれしいポイント合わせるため

何度も書いてるが、彼は優しいし気遣いもできる人だ。

でも、私が落ち込んだり、疲れたり、ストレスを抱えることはもちろんあった。

生活している中で、「これやっておいたよ」とか報告してくれることもあるのだが、正直それはやらなくてもよかったのになと思うこともある。

その反対に、これはやっておいてよ~!と思うことはそのままになっていたり。。。

ある時ケンカになり、彼はこう言った。

「こんなに僕は頑張ってるのに、なぜそんな顔するの?」

それを言われて私もこう思った。
「確かに彼は頑張ってくれている。なのになぜ足りない気持ちになるのだろう?」

その正体は、
『助けてくれるポイントと私が助けてほしいポイントがずれている』
だった。

これは彼にも伝えた例え。

例えば私が、脚にハンディキャップのある車いすに乗った人だとする。
基本的に自分で自由に動かすことはできるけど、
私は家の中の小さな段差を通るとき、あなたに手助けしてほしい。
でもあなたは、一生懸命私がご飯を食べるのを手伝おうとする。
それは自分でできることなのに、一生懸命やろうとする。
本当にやってほしいことと違うことなのに、
あなたはちゃんと私を手助けできていると思っている。
だからこそ、私が助けてほしいことを伝えると、
「こんなにやってるのに、まだあるの?」っていう気持ちになってしまう。

つまり、足りないんじゃなくて、ずれているだけなのだ。

そこがクリアになってから、私たちは以前にもましていろんな話をするようになった。

どんな時にどうしてもらうのが助かるのかを具体的に彼に伝えることで、
彼も何をしてあげたらいいのかが見えるようになってきたと言う。


長くなってしまったが、
以上がHSPな私と恋人とのパートナーシップのすゝめでした。

HSPとして、恋人との向き合い方に悩んでる方の
参考になればうれしいです:)





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