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「情報の整理」が店舗の仕事になる

現代は「情報は一粒の砂」と言われるように、私たちは膨大な情報に囲まれて暮らしている。小売を取り巻く環境も例外ではなく、消化しきれないほどの情報が日々生まれている。情報が溢れ返る時代だからこそ、情報の整理が重要である。そして、情報の整理を、店舗の新しい仕事として、位置づける必要がある。

店舗が整理する情報は2つある。「店舗→顧客」の情報と、「顧客→店舗」の情報である。

店から顧客への情報のポイントは、メッセージをできるだけシンプルにすることである。多忙な現代の顧客は、ひとつの選択に長い時間をかけられないことが多い。店舗は、①どの商品がいいか②なぜいいのかを、顧客にシンプルに伝える必要がある。イエスかノーかを頭の中で答えるだけの状態にすることが、顧客に対する親切である。

さらに店から顧客への情報で、特に大事なのは、パーソナルにコーディネートされた情報である。個人の好みが細分化された昨今は、ありきたりな一般論では、顧客は自分に向けられたものだと思わない。それよりも、特定の個人に届くように、具体的で限定された情報を伝えることが、店舗と顧客のコミュニケーションになる。例えばマスカラで言えば、「マスカラをお探しのあなたへ」だけよりも、「お風呂で簡単に落とせるマスカラをお探しのあなたへ」とする方が、具体的で限定された情報となる。

一方、顧客から店舗への情報で大事なのは、顧客の声そのものでなく、顧客の観察を通じて得られた気づきを集めることである。店舗を運営していると、顧客の声をそのまま取り上げてしまいがちになるが、顧客の発する内容よりも、なぜ顧客が声を上げているのか、に解決のヒントが含まれている。顧客の声の奥にある動機に目を向け、解決策を提案することが重要である。

そして、情報を整理する上でのテクニックは、「店→顧客」の情報は細部まで定義し、「顧客→店」の情報は大まかに収集することである。

顧客に何かを伝えるときは、できるだけ事細かに情報を定義することで、特定の個人にささりやすくする。個性キャラクターをあえて表に出すことで、この店は自分のことをわかってくれている、と顧客に思ってもらえるようになる。

反対に、顧客のデータを収集するときは、なるべく大枠で捉えるほうが望ましい。個人の意見は大事だが、細かすぎると汎用性がなく、データとして有効活用できない。KJ法の似ている項目をまとめていくように、あくまで観察から得られた気づきを収集し、情報としてストックする必要がある。

情報の整理は、これからの店舗に不可欠な仕事になる。情報を整理することで、顧客にとって有意義な買い物体験提供する必要がある。

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