見出し画像

「5適力」のススメ

バイヤーの役割は大きく言えば、顧客の望むものを調達することである。

マーチャンダイジングの世界では5適(①適品②適時③適価④適所⑤適量)と呼ばれる商品調達の基本原則があり、愚直にこれを追求することが、顧客に対するバイヤーの務めとなる。

私はこの5適をコントロールする力を「5適力」と呼び、バイヤーには必須の能力と考える。バイヤーは、①最適な商品を、②最適なタイミングで、③最適な価格で、④最適な場所で、⑤最適な量を提供することを、常に考えなければならない。

5適力を高めるポイントは、5適を考える順番にあり、②適時&④適所→①適品→③適価→⑤適量の順に検討することである。

最初に定義すべきは②適時と④適所である。時期と場所(いつどこで)が定まれば、おのずと最適な商品が絞り込まる。商品が決まれば、価格が決まり、価格が決まれば必要な数量が確定する。

例えば自分がハンカチの品揃えを担当しているとして、時期は3月、場所はファミリー向けのショッピングモールと定義したとする。3月は卒業や新生活のシーズンであり、ファミリー向けショッピングモールの来店客は、学校や会社で歓送迎で大人数に配れる商品を探しているかもしれないと仮説を立てる。そうすると提案すべき商品は豪華なブランドもののハンカチよりも、カジュアルなギフトハンカチが最適かもしれない。カジュアルなギフトハンカチであれば価格はワンコインのような買いやすい価格に抑え、ワンコインであればどのくらい数量が必要かが見えてくる、という順番がもっとも組み立てやすく、精度が高くなる。

これは裏を返せば、時期と場所によって必要な商品が大きく異なることを表している。まず定義すべきは時期と場所である。その時期に、その場所にどんなニーズがあるかを、バイヤーは常に考えておかなくてはならない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?