5月23日(土)日記

今日の僕は気分が良かった。

なぜ気分が良いのかは分からなかった。
朝の目覚めの良さ、気温の心地よさ、窓から入る風、
いろんな小さな幸せが噛み合っただけのことだろう。

お気に入りのTシャツを着て、
いつもより軽く動く自分の体を感じ、
少し散歩にでも出るかと、家を出た。

階段を降り、
マンションの玄関前を掃除するおばちゃんに、
「おはようございます」
と挨拶をした。

いつもは軽い会釈で終わるはずのおばちゃんに対し
自分の口からスムーズに出てきた挨拶の言葉に
自分で驚いた。

そして、おばちゃんは言った。

「テンションたかっ」

一瞬、何を言われたのか分からなかった。
が、すぐに恥ずかしさが込み上げた。

自分がすごく浮かれているような感覚になった。

抵抗のつもりか、僕は
「いや、高くはないっすけど」
と言った。

おばちゃんは
「いやあんたいっつも挨拶せんやん。
挨拶してくるて、もうあんた
めっちゃ、テンション高いやん。
テンションめっちゃ高いねえ。どしたの」
と返してきた。

僕は顔を真っ赤にして黙ってしまった。
おばちゃんにテンションのことを指摘されるのが
こんなに恥ずかしいことだったなんて。

おばちゃんは
「まあこれから私に挨拶しにくなったと思うけど。
そうなってもええから私はいじりたかった。
ごめんね。ごめんごめん。
おばちゃんもストレスたまってるんよ。
またね。」
と言い、マンションの中に入っていった。

くそっ。
絶対に仕返しをしてやる。
おばちゃんのテンションが高い日に
思いっきり辱しめを受けさせるんだ。

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