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「鎌倉殿の13人」が終わった

会を追うごとに、楽しみにしていた。
特に、十二月に入ってからは、一体、どういう終わりかたになるのだろうかと、ワクワクドキドキ。

ただでさえ、日本の歴史には詳しくない。一般教養や歴史の教科書で習うことすらも、知らなかったから、毎回とても楽しめたのだ。誰かが殺されるのも、誰かが飛ばされるのも、誰かかどうこうするのも知らないから、知っている人より、二倍三倍、美味しかったのだ。

陽気で開けっぴろげな小栗旬が、どんどんダークになっていくのも面白かったし、どの登場人物も、生き生きと個性的で、ぼんやりぼやけた人物がなく、とてもわかりやすかった。
普段から、人の顔や名前を覚えられない私だ。今迄の大河ドラマというと、なにやら、くすんだ色の衣装の武将や家来達が、堅苦しく無表情で重々しく話すから、誰が誰やら、さっぱり見分けがつかなったけれど、今回の鎌倉殿の13人は、誰一人、間違えることなく、観られた。

最終回に近づくにつれて、出演者たちが、あちこちのN H Kトーク番組に出て、「終わりかたは、言えない、言えない。あっという仕掛けがまだまだあります、楽しみにしていてください」 と匂わせたり、ネットでも、あれこれ予想していたりするのを、とても素直に、楽しみにしていた。
中には、「死んだと思っていた八重さん(新垣結衣)が実は生きていて、登場」という予想も出て、それはあまりにも、あまりだー と思ったけれど。

さて、そんな最終回を迎える数日前のことです。
テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
「その道のプロが選出 鎌倉時代の「本当にスゴイ偉人ベスト13」

「鎌倉殿の13人」の評判が良くなるにつれ、あちこちの民放でも、鎌倉幕府を取り上げる番組がいくつかあった。今までなら、観なかっただろう、歴史音痴の私だが、「鎌倉」と名がつけば、そうかそうか、なるほどなるほどと、そういう番組を観るようになっていた。

それで、観てしまったのです。「林修の今、知りたいでしょ!」を。
そしたら、な、な、なんと「義時は、妻に毒殺される」というではありませんか!
い、い、いま、それ言う?

あんなに、あんなに、小栗旬も山本耕史も小池栄子も、絶対に言わないで、言わないで大切に秘密にしていたものを、そんな簡単に言うわけ?
許せん、許せん、知りたくなかった! 全然、今、知りたい話じゃないでしょ!

ばか、ばか、ばかーーーーっ!

林修の番組では、決定的ではないけれど、そう言う記述が、誰それのなにやらの日記にあるとかないとか、言っていたけれど、もう怒り狂っていたから、耳に入らない。

林修の「今、知りたいでしょ」
普段は、「たった5日でウエストがマイナス7センチにある方法」 とか、「大人気の激安店に、密着」 とか、どうでもいいことやっているのに、なんじゃ、今になって、鎌倉殿の人気にあやかってですね、視聴率上げようとして、もう、やることがせこいんだよ。

やるならやるで、鎌倉殿に敬意を表して、「結末はお楽しみに」 って言うのが礼儀ってものだろう。
人の褌で相撲とっているくせに、最後をペラペラ得意げに話すって、なんなん?
全然、知りたくないよ。なにが「今、知りたいでしょ」だ。

知りたくなかったよーーっ!

鎌倉殿の13人では、妻ののえ(菊地凛子)のみならず、三浦平六(山本耕史)の加担(ノエの嘘かもしれないと、思いたい…)や、北条政子(小池栄子)の行動やら二重三重に絡み合って、義時は死んでいく。たしかに、仕掛けがたくさん、驚きの最後であった。
しかし、なんと言っても一番の衝撃は、妻ののえが毒を盛っていたことではありませんか?

もし全く知らずにあの最終回を見たら、どーんなに驚愕して、どーんなに呆然としたでしょう。そしてその晩は、興奮して寝られなかったでしょう。
その楽しみを、あの「林修の今、知りたいでしょ」が台無しにしたのです。
これは、「ミステリーの犯人を教えた妻を銃殺した夫」事件に匹敵します。
(そう言う事件が本当にあったかどうかは…知らんけど)

以前、映画「シックス センス」で、「この映画にはある秘密があります。まだ映画を見ていない人には、決して、話さないでください」と言う前置きが話題だった。
あの時も、近所の主婦が 「あれって、◯◯なんだよね」って、いとも簡単に、「今夜、うちはカレー鍋よ」って言うくらいの軽さで、結末を私に話したのだ。
なんという無神経! 映画の宣伝に「決して、結末を話さないでください」って、あったでしょ。聞いてないのか!
この恨み、一生、忘れないぞ。

しかし近所の無神経主婦ならいざ知らず、天下の朝日放送が、そんなことやっていいのか!良識ってものがないのか! 視聴率、稼げれば、あとはどうなってもいいのか!

林修が作っているわけでも、番組ゲストの歴史学者が作っているわけでもないだろうけれど、テレビの画面の中で、両手を広げて、唇を突き出して、ペラペラ喋る林修の口に、太い大根を思いっきり、ぶすんと、突っ込みたくなった。液晶画面のガラスが割れるだけだから、かろうじて、思いとどまったけれど。

もし、生身で横にいたら、絶対、口に大根を突っ込んでやっていた。
そこで、暴行罪で捕まったとしても、あぁ上等だよ。ちょっとの間、刑務所に入ったって、なんてことないよ。前科者なんて屁でもない。

そして、もしそうなったら、きっと多くの「鎌倉殿の13人」ファンから、ひゃくまん通の嘆願書が出たことだろう。小栗旬からも、花束が届いただろう。その機会がなくて、本当に、残念だ。

林修のばかーっ!

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