見出し画像

おれがクレアーズだ

クレアーズがなくなってしまう。

ツイッターでは阿鼻叫喚の声が多く寄せられていたが、世間一般ではクレアーズって何…?という人も多いのではないだろうか。
クレアーズとは、アメリカ資本のいわゆるファンシーショップチェーンで、ユニコーンカラーとかレインボーとかの女児向けの派手なかわいいおもちゃ、ティーン向けのカジュアルなアクセサリー、あるいは大人でも使えそうな汎用性が高いプチプラなアクセやちょっとした小物類を売っている店だ。
地方ではイオンに大体入っていて、東京では渋谷や原宿にある。
実は2018年にアメリカのクレアーズ本体はとうに破産申請していて、日本のクレアーズはイオンが展開していたんだけどもついに日本展開も2020年10月いっぱいで終了…ということである。

アメリカのクレアーズは郊外のショッピングモールの衰退により破産したっぽいけど、日本の場合もだいたいそうな気がする。イオンとかの郊外のモールに行く家族連れが買っていく商品は、子ども向けの単価の安い商品が多く、売り上げが厳しかったであろうこともなんとなく予想される。
「今はデコラとか原宿系のファッションが流行らないからクレアーズがなくなった」的な説がわりとツイッターで散見されたけど(もちろんそれも一因としてあるだろうけど)クレアーズの店舗の多くは郊外のイオンなので、それは東京や都会の人たちのバイアスな気もしてしまう。

フォーエバー21も破産したし、物欲の渇望を覚えたときに入るコンビニみたいな感じの店はどんどんなくなってしまう。ファンシーの終わりでもなんでもなく、ただただすごくゆるやかな資本主義の終わりみたいな気配を感じる。その気配を感じた我々は、持続可能な将来のためにファストファッションや大企業の商品を買わず、なるべく古着や国産品(これも今やけっこうグレーだが…)を買うなどエシカルな消費に舵を切るべきなのだろうか。しかし私は、物欲の渇きを絶やしたくない。安いものを無数に選び取ってそれらで自らを飾るのは私の原動力みたいなところがあるのだ。あと、労働力が買い叩かれず人道的に作られたものであっても手作り品っぽいアウラがあるとなんかダメだし、(こんまり的なやつで)ときめかないと所有すら億劫になってモノが人生にまとわりついてくるような感じがしんどいので、エシカルな消費行動はどうにも自分には向かないような気もする。

ただ、考えるのはやめない。何かしら自分の日々の生活で世界をより良い方向に微動させられたら…とか、どうにかずっと考える。それにしても、実はそんなことを考える間もなく世界の均衡は揺らぎつつある。いずれにせよ、国内では「若い女性向けの商売」からクソデカい企業がジワジワと手を引いていってしまうような気配は感じる。

それはそうと、クレアーズは、「渇きをなんとかするためのもの」。言ってみれば、物欲のインフラなのだ。自分が鏡を見たときに満足するため、インスタのいい感じの投稿のため、とにかく自分を早急になんとかするための設備である。実は、そんなクレアーズがなくなるというニュースを耳にして、私は妙な高揚感をめちゃくちゃ感じてしまった。これからは「おれがクレアーズだ!」と…。物欲のインフラが断たれたなら、自力で供給しよう。やってやろう!という気持ちになった。

ネットの海にはすでにいくらでもファンシーが散らばっている。そして、大企業がでかいファンシーショップチェーンを捨てるんだから、どこかの海にファンシーのカケラたちが大量に打ち捨てられるのではないか。おれは、ありったけのファンシーを、かき集めたい…!それらを自分のために使って自意識を彩るだけでなく、それでアルバイトくらいのお金儲けができたら自分の生活がだいぶ助かるし、そもそもお店やさんには憧れがある。ということで、ひとまずこれを機にセレクト商品を扱うネット通販を小さくやってみることにした。クレアーズがなくなる10月以降くらいにはちゃんと始動したい。(まあでも私のことなので、ちょっとやってみて微妙だったら多分すぐ別のことを始めますが。)

(ちなみにもう通販サイト自体はあるのですが、今のところオリジナルアイテムや私のCDのみ販売しています。よかったらみてください…
諸々の資金にもなるので、買ってくれたらとても嬉しいですね。
とてもいいシールやキーホルダーなどがありますよ。)
https://harucorium.thebase.in/

そして、私だけがクレアーズを引き継ごうとするのでなく、「海賊王死んだし、みんなで海賊王を目指そうぜ!」みたいな感じで、いろんな個人が各々がセレクトしたアイテムでインディーズのクレアーズをやって欲しい。今は仕入れとかが個人でも簡単にできる大海賊時代だし、少なくともおれはなるぞクレアーズに…!

それで世界が良くなるのかは分からないし、相変わらず大企業が女性や子ども向け商材を切り捨てて資本主義が加速していくだけなのしれないが、イオンモールとかにある大規模チェーンがそれを提供できなくなった今、実店舗もないような小さなオンライン空間等で、もっと原始的な「インフラのシェアハピ」みたいなことが求められていく…ような気もする。

まず、ネットの海に打ち捨てられるファンシーのカケラがあるならば、それがどのように作られていたかはさておき、「かわいい」を評価されて物欲のインフラとして活用された方がただ捨てられるよりは有意義には違いない。消費されるためだけに生み出されたキラキラアクセに、最も輝くステージを用意することが私がこれからやっていく店のテーマでもある。

…そんな感じで、今後の「ニューウェーブギャルショップ」をどうぞよろしくおねがいいたします!!!!!!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?