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書評 華岡青洲の妻~嫁と姑、夫と子~

漢方薬と言えば中国の東洋医学の一治療法と思われているが、実際は日本で開発された薬もある。江戸時代に華岡青洲が開発した通仙散もその一つである。現在では簡便で薬効の高い麻酔薬があるため使用されていないが、世界で初めて開発された麻酔薬で乳癌のOPが行われた。

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青洲の母・於継に幼少から憧れていた加恵。青洲が京都へ遊学中に於継に請われ嫁として華岡家にやってきた。
しかし、青洲が実家に戻ると同時に於継との仲が上手くいかなくなる。通仙散の開発の人体実験に二人が名乗りをあげ母として妻として青洲に愛を表現し争い始める。
実験の結果、加恵は盲目となったが喜びと誇りに満ち溢れ幸福感を得る。

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見ることができなくなって、不自由な躰であっても、盲目になる以前と比べれば加恵の生活は労りと愛に恵まれて幸福であった。この幸福は、盲目になることによって購われたとさえ思えるほどである。

盲目は貢献のための犠牲だったのか。加恵は盲目を犠牲だと思っていなかった。しかし、そんな加恵の耳朶に義妹の声がひびく。

姉さんが勝ったからやわ

この声が加恵の心をちくちくと刺し続ける。貢献とは勝負ではない。勝負により得られる幸福感とはもろいものである。
加恵が幸福であったかどうかは彼女にしかわからない。
青洲を巡る、彼を産んだ母と彼の子を産む妻の物語である。
by Asami

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