【きれはし173】漫才 ヤンキーこわい
A「いやー、ヤンキーこわいね」
B「こわいねー、俺らはヤンキーとかとは無縁の人生を送ってきたからね」
A「そうなんだよ。てか、悪ぶったりするのは勝手にしてくれればいいけど、危害加えてきたりするでしょ?あれが嫌なんだよね」
B「あー、分かるわ。こっちは平和に暮らしたいのにさー」
A「ねー、ほんと嫌いだわー」
B「ねー」
A「学生時代とかヤンキーいたでしょ?」
B「いたわ。中学高校なんてヤンキーの全盛期だからね」
A「そう。あいつら何か知らんけど、目が合うとすぐ因縁つけてくるでしょ?」
B「あったわー。”喧嘩売ってんのか?“とか言って。ポケモンの世界じゃないんだから目があったくらいでバトル仕掛けてこないでほしいわ」
A「ほんと勘弁してほしいよね。でも…」
B「うん」
A「義理人情には熱いんだよなー」
B「あー、まあ、そういうヤンキーもいるにはいるか」
A「仲間がピンチの時とかは必ず助けるというか、芯があるんだよね」
B「たしかに漫画とかで描かれるヤンキーはそんなん多いかもね」
A「ね。それから、田舎で暮らしてるマイルドヤンキーね」
B「いるね。昔やんちゃしてて、早くに結婚してそのまま地元で暮らしてるやつね」
A「そうそう。俺実家に住んでたころパチンコ屋で働いてたんだけど、もう毎日のようにくるのよ。マイルドヤンキーが」
A「あーもうマイルドヤンキーの趣味なんかパチンコしかないからね」
B「野球のできない中田翔みたいな顔してさ」
A「あー、マイルドヤンキーなんかだいたい野球のできない中田翔みたいな顔してるからね。やけにいかつい顔して」
A「それで彼女か知らんけど、隣に女連れて肩に手回して、大声でしゃべりながらジャグラー打ってんのよ」
B「こわいねー。ちょっとでも椅子に当たったりしたらすぐ絡まれそうだしね」
A「そうなんだよー。でも…」
B「うん」
A「お年寄りには優しいんだよなー」
B「ああ、そうなんだ」
A「おじいちゃんが席移動するときにドル箱持ってあげたり、目押しできなくて困ってたら率先してやってあげたりさ」
B「へえ。まあ、弱いものには優しいのかもね」
A「ね。あと、工事現場とかで働いてるガテン系の元ヤンね」
B「あー。腕っ節だけは強いから、力仕事の現場には元ヤンが集まるよね」
A「うん。それでそういう現場で働いてる元ヤンは大概口調が荒いんだよ」
B「確かに。店員とかにタメ口で喋るのもそういう人たちが多い気がするわ」
A「ほんとにそう!この前俺警備のバイトで、解体作業の現場で交通整理やってたんだけどさ、」
B「うん」
A「遠くからトラック乗りながら怒鳴ってきて。“おい!停止!“みたいなこと言ってて、」
B「うん」
A「トラック出るから車一旦止めてってことかな?と思って慌てて車止めたら、”違う!めし!”ってまた怒鳴られて、」
B「“めし!”と“停止!”を聞き間違えたんだ。遠くから怒鳴るから」
A「そう。だから間違えて車止めちゃった俺がドライバーの人に睨まれてさー。もっと言い方ない?初対面だよ?」
B「そうだね。近くまで来て“休憩行っていいよ”とか言ってくれればいいのにね」
A「普通そうだよね!でも…」
B「うん?」
A「一番暑い15時ごろに、キンッキンに冷えたスポーツドリンク奢ってくれるんだよなー」
B「…」
A「現場に遊びに来てた娘さんに持たせてさ?“これどうぞ”とか言って。それで遠くで“受け取ってもらえた?”とか娘さんと話してんのよ」
B「おい」
A「ほんと優しいよなー」
B「お前、さっきから聞いてりゃ、全然ヤンキーのこと嫌いじゃないだろ!」
A「そらモテるわなー、いーなー」
B「むしろ憧れてるだろ!」
A「金髪にしよっかな」
B「ダサいって、その憧れ方!それが許されるの高校生までだから」
A「はー、好きだわー」
B「もう好きって言ってんじゃねえか!お前、ヤンキーがこわくないんだったら、本当は何がこわいんだよ」
A「うーん、ボインボインの白ギャルがこわい」
B「うわきしょ」
A「饅頭みたいな乳をした」
B「花束みたいな恋をした、みたいに言うな!」
A「あと今しゃべりすぎて疲れたから、一杯のお茶がこわいかな」
B「いや、もういいよ」
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