金ってなんで価値があるの?

金、それは太古の昔から富の象徴、そして通貨としても使われてきた物質。昨今の景気減速でここ数年でも類を見ない高値を付けています。しかしこんな食べられもしない金属が何故富の象徴であり、高い価値を持ったのでしょうか?今回は金の価値について考察してみたいと思います。

金ってどんなもの?

ご存知の通り、金は黄金色の金属です。原子番号は79、物性としては非常に安定しており、極度に酸化に強く、高い延性、展性、熱伝導性、電気電導性を持つ資源です。

金の持つ価値(工業製品篇)

さて、金の価値は近年で言えばスマートフォンをはじめとした電子デバイス用回路材として利用されており、これらの製品製造には無くてはならない材質です。また、宝飾加工用途としてもその高い加工性、強い対腐食性、そしてきらびやかな光沢などの理由により古くから利用されてきており、工業用途としては非常に稀有かつ価値の高い金属と言えるでしょう。

しかし、太古の昔は宝飾加工を除けば工業用途として使われていたことはないはずで、工業用の価値で評価されたとは考えにくい。では一体昔の人たちは金にどのような価値を認めたのでしょうか?

金の持つ価値(希少性篇)

金は産出国、算出場所が非常に限られた金属であり、日本では佐渡などで江戸時代まで採掘がされていました。しかし世界的に見てもその他の資源に比べ産出量が非常に少なく、現状ではあと20年もすれば掘り尽くされてしまうと言われているそうです。

安定的な性質も相まって貨幣、つまりは価値の象徴として使われており、金本位制など現在の各国通貨システムも金を基軸に考えられてきました。その希少性やある種の慣習として金は価値のあるもの、という考えがその評価の根底にあるように思います。しかし個人的な考えとしては金の価値はその希少性だけでなく、その希少性がゆえに発生する採掘の手間、つまりは金を生み出すために要した労働力の価値でもあるのではないかと考えています。

労働力=価値

太古の昔は採掘機械もなかったため採掘能力も低く、金の採掘には多くの人夫を使い行われていたと考えられます。つまり金の採掘ができるのは王、つまり多くの人夫を使役することができる一部の特権階級に限られてきたと考えられます。そのため金の保有=金の採掘力=より多くの人夫を使役できる能力として王の評価の代替担っていたのではないかということも推測が可能かと思います。

現在では金本位制が崩れ各国貨幣価値はその国の信用力で成り立っていますが、信用力の担保はその国の生産力、つまりは労働生産力が基軸になっています。その象徴的評価でもあるGDPは総生産、つまりは労働の結果生まれた付加価値で評価されるので、価値評価に対するこの考え方はあながち間違いではないと思います。現在流通している金は過去の労働力の結果として生まれており、その金の持つ価値もまた、その過去の労働力の結果として生まれ、現在に至るまでその評価の根元となっているのではないでしょうか。

金は人類が誕生する遥か前に中性子星の合体により合成され、それが飛来してきたと考えられているそうですが、その希少性、そしてその輝きで太古の昔より人類を虜にしてきた物質です。先述の工業的価値、希少性、労働力に留まらない何か見えない魅力があるからこそ、人類はそれに価値を認め、それを追い求めたのかもしれませんね。

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