見出し画像

小豆島八十八ヶ所 遍路道を歩いた記録 第4回:→一ノ谷庵→本堂

歩いた日:2023年6月中旬

今回は寒霞渓の麓、草壁地区周辺の霊場を巡ります。前回と違い高低差は少ないですが、意外にも(?)バリエーションに富んだ景色を楽しめます。

なお、この辺りは『小豆島遍路地図』と『小豆島おへんろ道案内図』とで巡る順番・ルートが異なります。今回は後者のルートを歩きました。


→一ノ谷庵

前回の最後、県道29号線のX字状の十字路からスタートです。旅館跡のある、東側の細い道を進みます。

①神懸通(かんかけどおり)バス停すぐです

突き当りまで進むと車道は右に曲がりますが、正面にもっと細い路地が続いているのがわかります。お察しの通り、こちらが旧へんろ道です。

②遍路道らしくなってきました

小さなお堂?の後ろを回りながら坂道を上がり、雑木林に入ります。

③お地蔵様が街を見下ろしています
真下の建物がお堂?です
PENTAX K10D + HD DA 20-40/2.8-4 Limited
④入口は藪の中
意を決して進みます

やはりここも林の中の方が(まだ)道がはっきりとしています。道標なども目印にしながら、迷わないよう慎重に歩きます。

⑤笹に飲まれそうになりながらも、なんとか存在を示しています
⑥人気がなく、お地蔵様も心なしか寂しげです
OLYMPUS OM-2 + G.ZUIKO AUTO-W28/3.5
ILFORD HP5 PLUS

ほどなくして開けてきた後下り坂となり、集落に出ます。通常は山の南を迂回しますが、そこを突っ切ったかたちです。

⑦竹林に入ると山道も後半です
⑧次の集落が見えてきました

後は川を渡り、看板の示す通りに歩けば「一ノ谷庵」に到着です。

⑨歩いてきた道を振り返ります
とても道が続いてるようには見えません
⑩分かりやすくてありがたい

第十七番 一ノ谷庵(いちのたにあん)

三方を山に囲まれた谷間に位置しています。霊場会曰く、いちど水害で本堂が土砂に埋もれたものの、御本尊は無事だった幸運な札所だそうです。

⑪久々の「庵」

一ノ谷庵→極楽寺

遍路道はお手洗の前を通って再び林の中に入ります。小豆島八十八ヶ所は大抵どの札所にもトイレが併設されていますが、トイレ前からスタートするのはここぐらいでしょう。

⑫なんとも奇妙なスタート地点

林に入ったら山際を沿うように南下します。

⑬集落の裏手を歩くイメージです

道のりに歩いた先で、切通しに出ます。これぞ古の遍路道といった妖しげな趣がたまりませんね。

⑭第0回のトップ写真はここのお地蔵様でした
PENTAX K10D + HD DA 20-40/2.8-4 Limited

切通しを抜けると、そこはもう「極楽寺」の境内です。

第十六番 極楽寺(ごくらくじ)

大きな池とお城のような石垣が目を引く立派なお寺です。数ある札所の中でも、5本の指に入るであろう広さです。

⑮まるでどこかのテーマパークのよう

極楽寺→大師堂

まずは極楽寺の南東の墓地を通過します。赤の他人のお墓を通るのは少々気が引けますが、臆せずに進みましょう。

⑯こちらも道が続いてるようには見えませんね

墓地の先は本日3度目の雑木林。こんな様相ですが、国土地理院地図に記載のあるれっきとした道路です。

⑰ちなみに最初の旧へんろ道も地図に載っています
中心の破線が今いる遍路道です
ここが載っているのに馬立峠の道は載っていないのは何故でしょうか?

雑木林を歩いていると、遠くにシカが颯爽と走っていく姿が見えました。徒歩遍路初の野生動物との遭遇に、少し心が躍ります。
しかしそんな出来事も束の間、反対方向から白い人影が見えて仰天。正体は白装束を纏ったお遍路中のお爺さんでした。この世ならざる者に出くわしてしまったのかと思った…

気を取り直して歩くと、第2回以来のイノシシ避けの柵が。柵を越えると木庄(きのしょう)の集落に入ります。

⑱さながら人の住処の中と外を隔てる結界です
⑲集落に入った途端、道が近代的になりました

車道を左折すると看板が目に入るので、それに従い田んぼに挟まれた道を歩きます。突き当りを左折してすぐ右手、製麺所のある道を進めば「大師堂」に到着です。

⑳大きな字で分かりやすく「創麺屋」とあります

第十五番 大師堂(だいしどう)

弘法大師が御本尊なので「大師堂」。実にシンプルなネーミングです。先ほどの製麺所と合わせて映画『八日目の蟬』のロケ地としても知られます。

㉑極楽寺とは打って変わってこじんまりです

大師堂→清見寺

大師堂の横の細道から、南へジグザグと歩きます。すると交差点に出るので、そこからは西へしばらく道なりに進みます。

㉒手が2つある道標は珍しい気がします

道中、右手にだだっ広い敷地が見えてきました。ここは2017年に廃校となった「小豆島高校」跡で、この日は校舎の解体工事中でした。縁もゆかりも無い学校なのに物悲しい気持ちに。

㉓廃校の前年、21世紀枠で甲子園に出場しています

高校跡を過ぎれば、間もなく「清見寺」です。

第二十一番 清見寺(せいけんじ)

お寺の運営する認定こども園(幼稚園+保育園的なもの)が隣にあるので、子供たちの遊ぶ声が聞こえてきます。また、境内にはカフェも併設されている珍しい札所です。

㉔八十八ヶ所の中でもひときわ賑やかな雰囲気です

清見寺→木下庵

清見寺のすぐ西側、丸島醤油のある県道29号線との丁字路を一旦寒霞渓方面に歩きます。少しすると見える標識を目印に左折し、道なりに進みます。

㉕写真奥が清見寺方面です

すると大きな右カーブに差し掛かったところで小さな看板と道標があるので、左折し進路を南に変えると程なくして「木下庵」に到着です。

第十九番 木下庵(きのしたあん)

階段で少し上がったところに位置しています。本堂は近年建て替えられており、今でも住民の方々の信仰心の強さがうかがえます。

㉖賽銭箱は先代のものが残されています

木下庵→峯ノ山庵

再び先ほどの道を南に進み、突き当りの丁字路を左に曲がります。しかし、石の道標は右を指しており、手の下には「しくや○」と彫ってあるように見えます。この先に「西城庵」という庵(薬師堂?)があるので、そこまでの道のりを示しているのでしょうか。

㉗なお、西城庵は八十八ヶ所には含まれていません

細い路地を右、左、右、左…と縫うように歩きます。

㉘雰囲気バツグンの裏路地

丸島醤油の裏手を通り過ぎ、幼稚園の前まで来たところで『小豆島おへんろ道案内図』を確認すると気になる箇所が。

“19番〜22・23番はわかりにくいので自動車巡拝路を歩いてください”

加えて、地図では明らかに車道(県道29号線)の少し西に線が引かれています。そこで真の(?)遍路道を探してみると、フェンスと茂みの間に僅かに隙間があるような…?

㉙写真の真ん中の辺りです

もしかして、と茂みをかき分けてみた様子が下の写真です。なんとなく一本道が見えるので、怪しいと思いつつも進んでみます。

㉚ここに道が見えた方は、今すぐ遍路道の旅に出ましょう

もっと進むとよりはっきりと道がわかるようになり、地図通り神社の裏に出てきました。どうやらここが遍路道で間違いなかったようです。

㉛確かにこれはわかりにくい…
㉜左奥の建物の間を抜けてきました

神社の脇を通り過ぎ、坂を少し下って右手にある階段を上ります。上がった先は墓地、すなわち「峯之山庵」の裏手に出てきました。墓地を通って正面に回ります。

㉝本日2度目の墓地
今後も通ることになるかも…?
PENTAX K10D + HD DA 20-40/2.8-4 Limited

第二十二番 峯之山庵(みねのやまあん)

高台に建っており、見晴らしのいい札所です。歩き疲れたので、心地よい潮風に当たり一休み。

㉞休憩もほどほどに、次へ行きましょう

第二十三番 本堂(ほんどう)

次の札所まではすぐなので、まとめて紹介します。
峯ノ山庵正面の石段を下りると、井戸がある路地に出てきます。南に進むと車通りのある道にぶつかるので、今度は西に歩きます。星城(せいじょう)小学校を過ぎたところで現れる標識通りに進めばすぐ「本堂」に到着です。

㉟難なくたどり着けます

「大師堂」の次は「本堂」、こちらも非常に直球な名前です。名付けのネタが尽きてしまったのでしょうか。ともかく、これにて草壁地区の霊場を全制覇できました。

㊱奥まった所にあり、静かな雰囲気です

今回も長い記事になってしまいました。
次回は草壁地区をスタートし、オリーブ公園で有名な西村地区まで歩きます。穏やかな瀬戸内の海を楽しめるルートです。

ご覧いただきありがとうございました。


今回の地図

Googleマップ・小豆島遍路地図を加工
分かりにくいので全体図左下を拡大しました
Googleマップ・小豆島遍路地図を加工


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?