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履修→習得へ

5月23日

ここ数日、大分はずっと爽やかな晴天が続いている。梅雨の前のカラッとしたいい気候だ。こうしていても季節は着実に進み、毎年変わらないな、と思ってしまう。

6月の田植えに向けて、私もじわじわと準備を進めている。今日もこのあとトラクターに乗ってぐるぐる無心で回るのだ。農業や漁業、林業などはこの間ほとんど変わらない営みが続く、そんなことにも気づきがある。

今週のブログは「履修→習得へ」とした。先週初のオンライン開催で行った大分県授業デザイン研究会の中で示したスライドだ。このタイトルで書いてみようと思う。


3月から続いてきた休校措置もいよいよ解かれ、6月からほとんどの学校が再開の方向で動いている。感染者の数も確かに少なくなってきて、社会の雰囲気もなんとなく収束、再開モードになってきている。子どもたちもあと少し、という分散登校や短時間登校モードに入ってきて、大量のプリントの確認作業にはいっている。5月からスタートした、SCHOOM〜子どもたちと学ぶ場〜も受講登録が40名を超え、毎日の朝の会や、授業のコマも埋まるようになってきた。

それと同時に報道されているのは、夏休みの短縮、学校の新しい生活様式というものだ。ざっくり読んではみたが、いろんなところに矛盾があり、これで学校再開、というのは大人にも子どもたちにも負荷がかかりすぎる。調理実習も、体育も歌唱指導も”児童生徒同士が近距離で活動する”というものはことごとくアウト、という記載になっている。

子どもたちは黙って前を向き、隣の友だちとは1メートル以上間隔を開け、話し合いはせず、大きな声は出さず、給食中も喋らず、休み時間もあまり接触せず・・・手洗い、消毒、換気を常に行い、学校で生活することが書かれている。


さらには、学校行事は本番のみ実施、場合によっては中止、夏休みはお盆以外は短縮、土曜日も授業実施。これで学校再開する、というのが今の方向だ。各自治体も遅れを取り戻すために短縮しコマ数を増やしていく。

これはすべて「履修」という呪縛に囚われているからだ。必要時間数をこなし、先生たちが教え込み、教科書を履修させることが第一義になっているからこうなる。もちろん保護者の要望もあるだろうし、いろんな圧力もある。でも本来大切にすべきは履修の実績を作って次の学年にあげることではない。

6月に再開し、そのまま1年過ぎればいいが、第2波が秋にやってきて、再び休校になった時にはどうするのだろうか。もうつじつま合わせ、時数合わせの計算式は成り立たない。リカバリーできないロスした授業時間数をどう折り合いつけるのか。

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このタイミングで切り替えるべきは入学のタイミングではなく、学ぶとはなんなのか、その学年で習得すべきはどんな力で、それはどんな方法で各人が習得し、教師はそれをサポートし、評価していくのか。個別最適化せざるを得ない状況は既にある。学ぶことのモチベーションを維持し、共に寄り添っていける方法はなんなのか、そんなところ議論し作っていかなければいけないと思う。

いろんな価値観を一回リセットし、本質に戻し、今できる最善の方法、子どもたちの未来につながるような学びは何か。そんなことをこれからいろんな人と会話していきたいと思う。その時に間違いなくICTは必要だろうし、既に迷うようなレベルの話じゃない。社会全体で子どもたちの学びを支えていく地盤を確保していきたい。

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