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あなたはまちのお客さまですか?それとも、主人公ですか?

「このまちは寂しい」「このまちには何もない」「隣のまちと比べて、発展してない」

ちょっとずつ元気を取り戻しているとはいえ、人口減少が進む自治体のシャッター通り商店街で活動をしていると、多くの方からそんな声を聞きます。

それも高齢の方ほど、そんなことを言う方が多くて、これからも長くこのまちで生活していこうと考えている自分にとっては、複雑な気持ちです。

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本音を言えば、「うるせー!だったらお前らがなんとかしろよ!お前らのせいで寂しい商店街になったんだろ」と言いたくなるところですが、そこはグッとこらえて、「じゃあどうしたらいいと思いますか?」と聞くようにしています。

どんな理由であれ、私たちはそのまちに住んでいます。

「行政が悪い」「議員が悪い」「商店街が悪い」と、口だけなら何とでもいえます。しかし、言ってるだけではなにも変わりません。

これからは人口減、税収減の時代。これまで以上に寂しいまちになっていく可能性が高いことは言うまでもありません。

近年の都市計画の名著『都市をたたむ』のなかで、饗庭伸先生は「都市のスポンジ化」を指摘しています。つまり、人口減の進む都市では、コンパクトシティは実現せず、空き家・空き物件がまちのあちこちにできて、まるでスポンジのようになっていきます。

人の生活のあるところと、ないところが交互にできるスポンジ化した都市では、その穴を埋めていく市民の営みが重要です。もちろん行政がその穴あき部分を埋めていくことも必用ですが、財政が圧縮するこれからの自治体経営を考えると、すべての穴を埋めていくことは難しいでしょう。

別に商店街の活性化に取り組めとか、まちづくり活動をはじめろとか、そう言うことを言いたいわけではありません。

ぼくが言いたいのは、なんでも行政がやってくれるというお客さまマインドを早くやめて、自分たち市民がまちづくりの当事者であることを認識してほしいということなのです。

こんな時代ですから、お客さま市民だらけのまちはきっと消滅してしまいます。税収が減るまちで、行政は新しいことに取り組みづらくなります。むしろ、なにをやめるかの判断に迫られている自治体が既に多くあります。

例えば、公共図書館の運営が難しくなるかもしれません。金食い虫の公共施設は、維持ができなくなってしまいます。

例えば、公園はどんどん荒れていくかもしれません。公園管理者にお金を払えなくなってくる可能性も十分にあります。

例えば、地元のお祭りやイベントはなくなってしまうかもしれません。地域のお祭りやイベントは、行政からの補助金によって支えられていることが多いからです。

このように、ただ指を咥えて静観しているだけでは、私たちにとって大事なまちの日常は次々と失われていきます。

これでも、「このまちは寂しい」「このまちには何もない」「隣のまちと比べて、発展してない」「行政が悪い」「議員が悪い」「商店街が悪い」と、お客さまマインドで言っていられるのでしょうか。

まちへの不満は、ほかの誰かに言っているように見えて、この言葉が自分自身に返ってくるのです。つまり、「不満を言うなら、お前がやれ」に尽きるのです。

自分自身になにができるか?を考えて、自分たちのまちを自治していく姿勢がなければ、本当にまちからは何もなくなってしまいます。

まちの豊かさと、市民の「主人公」度は、大きな相関関係を持っています。あなたは、まちのお客さまですか?それとも、主人公ですか?

不満はいくらでも言えます。でも、それではなにも変わりません。つくりたいまちは、自分たちでつくる時代です。


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