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組織の問題でよくある「縦割り」について

ぼくがこれまでに属してきた組織の中には「構造的にフラットな組織」もあれば、「認識的にフラットな組織」もあったりしました。これが縦割り型で明らかに相互に憎しみあいとまでいえるのかどうかは微妙なのですが、それを想起してしまうぐらいに啀(いが)み合ってる人たちもいたりしたので、ちょっと「縦割り型の組織」について意見(私見)を書いてみます。

縦割り型は問題なのか

縦割り型組織は、案外「悪い組織の典型」のように見られがちで、ぼくも少しだけそう思っていた時期がありました。ただ、何でもかんでも「フラットな組織」にしたほうがいいのかというと「そうではないだろう」とは思うわけです。要は見せかけだけフラットな組織にしておいて、実質的には何にもならない場合もあるよね、と言いたのです。

たとえば、人の命に関わるようなシリアスな環境では、指揮系統がはっきりしている縦型組織の方が適しているでしょうし、誰がどこに何を聞けばいいのかを明確にできるため、医療機関の救急救命の現場などで命の危険に晒されている人に対し、責任を曖昧な状態にすることを避けることができます。

ここでは「医師」を中心に専門家である人たち、普段であれば縦型のため交わることのない人たちが、手術という一つのプロジェクトで同じ目的に向かってチームを組んで手を取り合うことができる。専門領域を深めている人たちだからこそ、方針に対して意見がぶつかり合うこともあれば、認め合うこともできるため、相互に尊重する関係を築けることでしょう(何でもかんでもそう上手くいくとは言いません)。

それが理想論なのはわかっているのですが、結局は互いに認め合えるだけの専門性や知識・見識を持っているかどうかによって見え方が変わってくるように思いますし、命の危険性などシリアスな場面に直面しない縦型の組織同士がプロジェクトなどでつながろうとすると、責任の押し付けあいや主張の張り合いが起こってしまい、互いへのリスペクトなど理想でしかないことだと実感する機会が多くなってしまいます。なんでなんでしょうね。

何が問題なのか

ぼくの偏見でものを言いますが、おそらく縦割り型でのみ構成され、プロジェクトがあろうがなんだろうが関係なく横断的でない組織の場合、問題になるのは「組織に属している人たちの見栄」でしかありません。言い方をよくすれば「誇り」とか「自尊心」みたいなものです。

自分たちの所属組織の正当性を担保する、誇示するために同系列(グループ)組織だとしても「協力」などもできず、互いの主義主張を言いあうだけの不毛な関係を継続してきてしまったがために結果として「なんで啀(いが)み合っているのかわからない」状態になっていること。それがほとんどではないでしょうか。

いまは系列内(グループ内)の話をしましたが、酷いところだと同じオフィス内でも同様のことが起こっている場合もあります。

「扱う商材が違うから」とか「扱っている対象が違うから」だったら、百歩譲って理解できそうなものですが、その先は「見てる世界が違うから」という思考体系の話になってしまいかねません。

オフィスの場所が違った場合には、それが顕著になって出てしまうこともありますし、その場合「なぜ、これほどまでに冷徹で寒々しい気持ちにならなければならないのか」と考えてしまい、「自分が生まれてきてはいけなかったのか」と思ってしまうほど忌み嫌われているように感じることもあるわけです。

もうそこまでくると、そもそも互いの組織が存在している意義や目的が曖昧になってしまっていて、中の人たちには何も浸透していない状態です。カルピスを原液で入れたはずなのに、大量に水ばかりが増えてしまった結果「カルピス風味の水」、もしくは「過去にカルピスを飲んだコップで飲む水」になってしまうのです。

意義や目的が統一認識を持てていれば、それを互いに認識し合える時間を共有できる関係性にあれば大した問題でもないことなのに、個人的な感情を乗せるだけでなく、ゴチャ混ぜにしてしまう人がいたから「縦割りで交わり難い組織構造」が出来上がるのです。

どうしたらいいのか

そこまで進んでしまった組織はどうすればいいのかといえば、一番簡単なのは壊してしまうことです。解体。ガラガラポンをしてしまい、その人たちが固執する立場や役割をなくしてしまうことで「依存する何か」を断ち切ることができますので、それが一番手っ取り早く解決できる方法ですが、そんな簡単な話ではないことは理解しているので、他の案を考えます。

冗談半分でいいましたが、正直にいえば、そこまで憎しみあいとはいわないまでも認識的な分断が進んでしまった組織同士が交わるためには「壁」を取り払う努力が必要です。

壁とは「心理的な壁」と「認識的な壁」の二つ。

心理的な壁は、これまで啀み合ってきてしまった過去の経験からくるもので「いまさらどうすれば...」と諦めたくなるような感情を制御しなければならないもの。

認識的な壁は、その組織における縦割り型が会社なのか、部署なのか、さらに小さな単位なのか、といったいわゆる組織図的なものです。いってしまえば、そんなもの便宜上のものでしかないのですが、一応、ほら、お金の話とかも絡んでくるものなので...ね。

上記の二つは外の人たちが思っている以上に大きな壁で、当事者からするとどうやったらいいのだろう...と困惑してしまうぐらいに大きく、そして高い。倒すことも乗り越えることも容易ではありません。容易ではありませんが、対外的に見たら全く関係のない壁やしがらみなどは一刻も早く取り払うべきです。

まずは「なんでお互いにいがみ合ってるんだっけ...?」と話してみることから始めてみることをお勧めします。そうなれば、「あ、別になんの関係も悪くないじゃん!」みたいな状況になることって多々あるはずです。

結局は人対人の問題ですので、感情同士がぶつかってしまうような物言いや態度、姿勢の問題で解決できることはいくらでもあります。相手に甘えず、真摯に、丁寧に向き合うことが縦割り型組織と揶揄されることをなくす第一歩でしょう。



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