NMRチャートの見方

忘れかけていたので確認として。

ケムステ他からの引用。

NMRとは、ゼーマン分裂状態(外部磁場がかけられて電子スピンが二通りになった状態)での電子の2状態のエネルギー差に相当する電磁波への共鳴(=吸収して励起すること)を利用して核スピン状態(原子核の情報)を調べる方法。具体的にはスピン量子数が0でない核種(多くは1H、13Cだが、後者は微弱)について、電磁波の測定を行い、(量的関係)検出する方法。以下、軽水素についてのNMRを考えていく。

フーリエ変換後のNMRチャートから得られる情報

①化学シフト②(スピン)カップリング・結合定数③ピーク面積

①原子内の電子による遮蔽効果(=外部磁場に対して反対向きの誘起磁場が発生して原子核に作用する磁場が外部磁場より小さくなる効果)の影響で吸収する電磁波波長が変化することを化学シフトと呼ぶ。構造とその電子状態は一対一対応であり、電子状態の把握により構造(より正確に表現すると、通常軽水素の構造)を把握する。化学シフトは基準(テトラメチルシランのメチル基、δ=0)に対しての相対値としてppmスケールの値で示されている。

②(スピン)カップリングとは結合的に等価な水素原子のみ存在する場合、化学シフトは単一線になる。これはその等価な水素原子のエネルギー準位差を示したものである。クロロエタンのように付近(隣接炭素原子まで?)に非等価な水素原子が存在する場合には、その影響を受けて化学シフトが分裂し(取りうるエネルギー準位が増え)て二重線から四重線または幅広線になる。

例えばクロロエタンでは、塩素原子がついている炭素原子側の2つの水素原子と塩素原子がついていない炭素原子側の3つの水素原子が存在する。この場合は前者は3つの水素原子の影響を受けて4重線になり、後者は2つ水素原子の影響を受けて3重線になる。

結合定数J [Hz]  =  測定周波数 [Hz] × 化学シフト差分 (Δδ [ppm])であり、カップリングしたピーク山の間隔がJにより表される。どの核種が近接しているかを表す指標ともとれる。

③シグナルの面積は表す等価な水素原子の個数に比例する。また、同一水素原の複数シグナルはハニカム構造的重み付け(パスカルの三角形??)に対応している。

他にもキラルや立体的な問題やスピンカップリングを解除する等応用的な話はあるが基本はこのくらいのはず。

参考(閲覧20.7.20)



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