DOCTRINE

DOCTRINEというブランドで写真を使ってやや特殊な世界観を表現するための活動をして…

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DOCTRINEというブランドで写真を使ってやや特殊な世界観を表現するための活動をしています。 活動を通じて考えたことや作品についての補足などを書くことにします。https://sinister.heavy-rubber.tokyo/

マガジン

  • 思うこと

    考え、思うことなどをまとめています。

  • 制作関連の話題

    DOCTRINEの制作に関する話題が中心。 撮影で思ったこと感じたこと心懸けていることなど諸々。

  • Self liner notes

    DOCTRINE作品の世界観や背景を補足するマガジン。

最近の記事

  • 固定された記事

DOCTRINEの「はじめまして」。特殊な写真を撮るユニットの自己紹介。

―「フェティッシュ」という言葉は少し前にバズワード的に散らかされ搾取され使い古されてしまった。いまは、残滓みたいな感じ。 なので、あえてフェティッシュという言葉を使った表現を意識的に避けるようになった。 はじめましてわたしはフォトグラファーやヘア&メイクさん、そしてモデルとなる様々なフィールドで活躍している人達と「DOCTRINE」という組織名で写真作品を作る活動をしています。 6年近く前(2023年5月末現在)に活動を始めて写真はZINEやデジタルで売っているものの、小金

    • 玲芳龍さんによるDavid Woodのインタビュー記事を読んで。そして。

      玲芳龍さんによるDavid Woodのインタビュー記事を読みました。 TORTURE GARDEN(TG)を離脱して久しいDavidさんですが、やはりいまだにTGの大看板だった印象が強く残ります。 最初に書いておきますが、フェティッシュ界隈で何かをしたいと思っている人であればこのインタビュー記事は必読だと思います。 「むしろこれぐらいは読め。」という内容でした。 David Woodインタヴュー TGはフランチャイズで世界展開して最も成功したアンダーグラウンドパーティー

      • 「人物を撮っている」ことを念頭に、「なぜラバーなのか」質感を適切に表現する。

        いまやラバーウェアを纏った人物の写真を見ることは珍しいことではありません。 ハリウッドや国際的に活躍するモデル、著名人がパーティー/セレモニーウェアとして身に着け注目を浴びる、いわゆる「アイキャッチ」要素としている光景をよく見かけますね。 ただ、改めて「なんでラバーなの?」という視点で見ると、そこに必然性はほとんどありません。単に珍しく面白いから「目立つ洋服」という程度の認識にしか感じ取ることはできません。 これは、マニアックな趣味などのシーンでも同様に感じるようになりまし

        • Chrissie Seamsがレジェンドであることを再認識できた撮影

          2023年4月8日。雛奈子(Hinako)さんによるアテンドで、ドイツから来日していたChrissie Seamsとの撮影をしました。 雛奈子さんは、赤坂と鶯谷でプロフェッショナル向けダンジョンタイプ※の撮影スタジオを経営しており、他にも多彩な才能を発揮している日本人フェティシストとして世界に知られたひとり。 今回は、鶯谷に新規開設したばかりのスタジオでのテストシュートも兼ねていました。 ※ダンジョン:BDSM界隈における用語で、BDSMに特化したプレイがおこなえる施設。

        • 固定された記事

        DOCTRINEの「はじめまして」。特殊な写真を撮るユニットの自己紹介。

        • 玲芳龍さんによるDavid Woodのインタビュー記事を読んで。そして。

        • 「人物を撮っている」ことを念頭に、「なぜラバーなのか」質感を適切に表現する。

        • Chrissie Seamsがレジェンドであることを再認識できた撮影

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        • 思うこと
          9本
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          10本
        • Self liner notes
          9本

        記事

          作品「墨彩-陰翳」の解説

          2022年撮影の「墨彩-陰翳」から。 まだ寒さが残る春先に撮影したものになります。 タトゥーや刺青は、日本ではいまもアウトロー的な扱いとしてカテゴライズされています。 個人的な話をするならば、交友関係がある人々の3割ぐらいはタトゥーや刺青、身体改造をしているのでそれに対して特殊性を感じることはないのですが、おおよそ一般的にはそうではないという認識はあります。 それについて好きとか嫌いとかいう話には一切興味がないので、自分からは触れないようにしています。 純粋に絵画性やデザ

          作品「墨彩-陰翳」の解説

          NIGHT OUT/暗い都市でサイバーパンクな外ロケ撮影

          2022年も残すところあと2ヶ月。 冬になる前に屋外撮影をしておかなければ、という昨年からの持ち越し課題的な撮影をしてきました。 これはNIGHT OUTという不定期におこなっているシリーズです。 ここ数年、夏以降の天気の不安定さが外ロケ撮影に重大な影を落としている気がします。今回はまさに天候と気温とを見つつギリギリのラインで駆け込みで、モデルもアシスタントもロケ車ドライバーもすべて女性という賑やかな編成での撮影となりました。 本来はきらびやかな輝きがあるはず…でしたがエ

          NIGHT OUT/暗い都市でサイバーパンクな外ロケ撮影

          TH(トーキングヘッズ叢書)にみる覚悟と信念とアートにみるフェティシズムとディシプリン

          アトリエサードが発行する文芸誌「トーキングヘッズ叢書(TH Series)」の最新刊であるTH No.91にて「アートにみるフェティシズムとディシプリン」展の模様が(P.44から4頁にわたって)掲載されています。 関わりのある話題だから宣伝しておこうということではなく、今回は「紙の書籍を出版する」ということについて少し触れようと思います。 ISBNコードを取得し書店流通する本を出版するというのはとてもお金がかかります。書籍を出版するということは非常に覚悟がいります。 売れ

          TH(トーキングヘッズ叢書)にみる覚悟と信念とアートにみるフェティシズムとディシプリン

          サブスク・ファンクラブに向かない写真でサブスクをやるのは徒労か否か。

          これは、ちょっと最近話した内容を整理したもの。 DOCTRINEではZINEとして紙の出版物を中心に活動しています。 併せて、とらのあなが運営する「Fantia」というサブクスリプション制ファンクラブサイトでもかなり消極的にコンテンツを出しています。 月額500円に設定したファンクラブ機能で、不定期にお蔵入りや紙の出版をした際の差分写真、また印刷には向かない写真などを公開しつつ、PDFをダウンロード販売をすることもあります。 ファンクラブサービスは更新性が重視されがちです

          サブスク・ファンクラブに向かない写真でサブスクをやるのは徒労か否か。

          ラテックス/ラバーでも真面目にファッション性を考えていきたい、という考え

          2022年も6月後半に向かい一年の半分が終わります。 DOCTRINEとしては引き続き様々な作品を作っていきたいと考えていますが、その中でもファッション性に寄ったものもしっかり考えて作っていこうという思いにいたりました。 通常のフォトグラファーやメディアが扱う「ファッション」というのは布の服についてなので単純ですが、DOCTRINEが主軸として扱うのはラテックス/ラバー、いわゆるゴムの服です。 こうなってくるとなかなか制限も多く難しいです。 日本ではファッショナブルなラテ

          ラテックス/ラバーでも真面目にファッション性を考えていきたい、という考え

          AZZLO、その店に出逢ったときから。DOCTRINEの原点。

          DOCTRINEがなぜRubber/Latexに特化した写真を撮るようになったのか、その原点になった「ある店」との出逢い…の話。 Rubber/Latexとの出逢いは19歳の時だった。 それ以前から雑誌やインターネット、他人が身に着けているという意味では当然知ってはいたけど、自分の所有するものとしてはそれが最初だった。 つまり、購入したということ。 現在では、Kurage(西池袋)やFYP(表参道)などでファーストコンタクトを果たす人が多いと思うが、わたしの場合はそれらの店

          AZZLO、その店に出逢ったときから。DOCTRINEの原点。

          アートにみるフェティシズムとディシプリン展への協力とその先のできごと

          不思議なタイトルにあるとおりの、フェティシズムとディシプリンをテーマにした作品展に協力しました。 様々な角度からこのテーマに向かい合ったクリエイターの作品を目にすることができると思います。 こういったテーマの企画展はなかなかバランスが難しいようで、アートに偏りすぎたりアカデミックになりすぎたりポルノになってしまったりしがちでなかなか「いい具合」に収めたものがなかったように思いますが、今回の展示は誰でも楽しめて、新しい知識や知らなかった価値観、そして好奇心を刺激するなにかに出

          アートにみるフェティシズムとディシプリン展への協力とその先のできごと

          無理にゴムの服を着たり着せたりしなくてもいいですよ、という見方

          「MET GALAでゴムの服を着るのは全然おしゃれでもかっこよくもないですよ。むしろ圧倒的にダサいです。 たぶん、それがわかってない人が圧倒的に多いと思いますけど。」 これはいわゆる「ラバーフェティッシュ」と日本では呼称されることが多いフェティシズムのジャンルに触れる話題です。 DOCTRINEが専門領域として撮影しているものでもあります。 そこで感じることについて「走り書き」として残します。 近年なんとかコレクションとかと冠された大きなファッションショウ、ショウビズ界の

          無理にゴムの服を着たり着せたりしなくてもいいですよ、という見方

          アングラ世界を脅かすのは常にそこに留まる住人だ。

          いわゆるフェティッシュであるとかヱロティックであるとかを含むアンダーグラウンドの世界は微妙なバランスでなんとか成立しているところがある。 センシティブといったような生易しい話ではなく「法の向こう側とこちら側との境界線の手前」をウロウロしている危うさの中でかろうじて留まっている、そんなところがある。 法の向こう側に行ってしまう行為は考える必要もなく確実に悪いのだが、境界線を踏み越えなくてもそこに足を掛けようという行為がそもそもまずい。 「違法じゃないから悪くない」という発想

          アングラ世界を脅かすのは常にそこに留まる住人だ。

          作品「翳りし光の巡礼」の解説

          2022年撮影の「『翳りし光の巡礼』― Widow 昨日を生きるために」から。 普段はスタジオでの作品撮り中心ですが、日中の海辺での屋外ポートレート形式で実験的に撮影したものになります。 概要愛する人を、人生のそのすべてを喪った女性の、あても終わりもない旅の断片。 記憶や感覚は時間の経過とともに徐々にかたちを喪っていく。 最後にはそのかたちをとどめられなくなり脆くも崩れ去り砂粒のひとつのように世界のどこかへ舞い散ってしまう。 想い出とは、まさにこの記憶や感覚の集積である。

          作品「翳りし光の巡礼」の解説

          DOCTRINEのモデル(被写体)に対する考え方

          DOCTRINEでは、基本的にテーマありきでの撮影になるため成り行きでのモデル募集というのはまずしていません。 テーマに対してあるていど、こういう世界観でこういう雰囲気の人でというキャスティングをしているためです。 逆にこのモデルにはどんな世界観や見せ方があるだろうかと人軸でかためていく場合もあります。 そのような理由からスポット募集自体が珍しいです。 では、どのようなモデル/候補を選んでいるのかについて。 設定や段取りに則ってスムーズに振る舞える、自分の見せ方がわかって

          DOCTRINEのモデル(被写体)に対する考え方

          作品「うまれいずるもの」の解説

          2021年撮影の「うまれいずるもの」から。 美しいけれど不穏な何かを感じさせるそんな作品もよいのではないか、という「そんな世界観」をどうぞ。 概要―白い繭が蠢き、柔らかな壁を突き破り、生まれ出ずるものは何か。 繭の内には暗黒の宇宙が広がる。 繭の外には光溢れる世界が広がる。 暗く淀んだ深淵で静かに生まれ出ずる日を待っていたもの。 悪意と不幸をばら撒く者か、希望をもたらす者なのか。 生まれ出ずるその瞬間まで無限の可能性を秘めている。 繭を切り裂き這い出す漆黒の蟲が光を浴びて翅

          作品「うまれいずるもの」の解説