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この夏夫婦で映画祭りしてたら妻が意外なところで「ほぇ〜」って言うので補講資料を作りました。

2021年夏はめっちゃ忙しい。観たい映画が多すぎ。以下観に行った行った順に、

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』

『ブラック・ウィドウ』

『ロキ』(これはDisney+配信ドラマ)

『GのレコンギスタⅢ 宇宙からの遺産』

『ゴジラVSコング』(予習のためKOMも急いで観た)

『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』

ジャンルの偏りがひどい。こんなんに毎回付き合ってくれる妻には感謝しかない。

さて、Disney+配信作の中に『アッセンブル』と言うシリーズがある。ドラマシリーズ3作『ワンダビ』『バキ翼』『ロキ』のメイキングを各回1時間ほどにまとめたシリーズで、本編見終わった方は是非。

第3回『ロキの裏側』を観ていて、妻が「ほぇ〜」と漏らした。ロキとシルヴィの殺陣指導について、ロキの剣術は優雅に王族らしく、シルヴィは蛮族らしく荒々として、それぞれの出自や人生を表現しているというシーン。

僕は幼少の頃から『スターウォーズ』のメイキング、とりわけ『ファントム・メナス』のオビ=ワン&クワイ=ガン&ダース・モールの殺陣指導が大好きでした。ジェダイの武術とシスの武術の違いを殺陣アクションから表現、それによってジェダイ・シス間の教義の違いが表現される事を当然のように思っていたのです。

幼少の頃から『名探偵コナン』で育った妻には『ロキ』の殺陣表現解説は新鮮だったらしく、僕はこの御人をバトルアクション作品鑑賞会に散々付き合わせておきながらそんな事も教えてなかったのかと猛省しました。(とはいえ妻も妻で僕は汲み取れなかった感情表現や機微を解釈して僕に教えてくれるので大変勉強になっております。)

そこでこの夏のバトルアクション映画祭りで良かったなぁ〜と思うバトルシーンを纏めておこう。あくまで僕の解釈なので、そう言う意図じゃなかったらごめんね⭐︎

1.殺陣アクションバトル

『ロキ』

上述の通り、ロキとシルヴィは同じダガー使いだがそのファイトスタイルは全く異なる。ロキは王族として武術を身につけているため演武かのように戦うが、シルヴィは幼少の頃から故郷を追われ逃亡の日々を過ごしてきたためストリートファイト的に荒々しく戦う。詳しくは是非『アッセンブル』をご覧ください。

ちなみに『ファルコン&ウィンターソルジャー』のシャロン・カーターがS.H.I.E.L.D.仕込みの体術とマフィア界隈成り上がり時代を匂わせるアクションとを、ファルコン&バッキーに見られているかどうかで使い分けているのも楽しいですね。

『ブラック・ウィドウ』

一方で同じレッドルーム育ちのため体術及び戦法にほとんど差がないのがナターシャ、エレーナ、メレーナ、そして多くのウィドウ達。唯一のアイデンティティであるヒーロー着地はエレーナにいじられまくっている。

彼女らとは正反対のファイトスタイルでゴリ押していくアレクセイ。銃撃・鉄柵・タスクマスター、全ての障壁を血清がもたらしたフィジカルのみで突破していく彼の姿から、ソ連のスーパーソルジャー計画やアレクセイ本来の軍属がレッドルームのものとは異なるのだろうことを匂わせている。

『閃光のハサウェイ』

冒頭、ファイトスタイルから軍属を匂わせる演出が流れるように作品の核に迫る傑作シーン。

テロリストを制圧するハサウェイの体術が誰に仕込まれたものか、という疑問提起が視聴者をケネスへ同調させる。「ハサウェイ・ノアです。」と言われてケネスと共に視聴者も(ああ、お父さんに習ったのか〜MSの才能もあるって聞いたし、こいつすげえや〜)と納得してしまう。その“顔”こそがカモフラージュであり…

という構造の説得力を高めるためにもこの冒頭アクションシーンの演出・演技は非常に重要である。ハサウェイの武装無しに銃火器を制圧する武術とピストルの構え方、カメラワークによって演出されるハサウェイの視線の動きが合理的かつ戦術的で、彼が軍人ではないかと錯覚させる。

2.巨大バトルと人物の対比シーン

古くからある特撮作品のお決まり・様式美であり、巨大怪獣・巨大兵器といった空想の存在にリアリティを持たせる上で欠かせないシーケンスである。

例えば平成ゴジラシリーズでよく見る避難する民衆とその背後を走るメーサー戦車のシーン。例えばウルトラマン(特にニュージェネ)でよく見る戦闘の衝撃に揺れる車や自販機等の日常にありふれたオブジェクト達。巨大キャラクターと日常生活がシームレスに描かれる事でその臨場感が激増する。

旧来これらのシーケンスはチープな嵌め込み加工やカメラワークに追従できないCG処理を使用せざるを得なく、かえってリアリティを損なう事も多かった。しかし近年の特撮技術の向上によって劇的にそのリアリティを増している。

『ゴジラVSコング』

香港でのラストバトルでゴジラの猛攻から民衆が避難するシーン。コングチームも地上に帰還し、人間達の往来とゴジラVSコングの対決が交互に表現される。流れるようにカットが推移し、もはやかつてのチープさは微塵も感じられない。

かいじゅうだいすきクラブ会員の中には「人間ドラマ要らないから怪獣映せ!」と主張する過激派も多いそうだが、このシーケンスの特撮技術の高さこそモンスターバースの真骨頂ではなかろうか。

『閃光のハサウェイ』

こういったシーケンスは各キャラクター・オブジェクトの相対位置を空間的に演出することが重要であり、その難しさは特撮とアニメで大きく差が出るものではないだろう。

マフティーと連邦軍が市街地戦を行うシーン。まさしく怪獣映画の様にMS戦闘と市民の避難が交互に演出され、戦場そのものがハサウェイとギギの心理描写を展開する。

『GレコⅢ』

上述の様に「生活空間が戦場に変化」することを以ってリアリティを演出するのがお決まりだったのに対し、生活空間と戦場の繋がりを演出しながら“絶対に戦争に巻き込まない”のがGレコⅢの意地。

サンクトポルトに入港しその内部環境や役割について説明にあった直後、トワサンガからの艦隊がプレッシャーをかける。応戦するクリムらはサンクトポルトを背後にすることで攻撃をかわす。“生活空間が戦場に変化”する危険性を示唆することで戦争のリアリティを見せながら、各艦の相対位置、サンクトポルトの重要性をも端的に説明する。

トワサンガ到着後、外周に出たベルリはその壁面の裏側にある居住区域を想起し、巻き込まない位置で戦闘を展開する。

作中常に暗示される反戦意識が「デブリ回収」という形で結実する。ここで泣いちゃったもんね。

それでも戦争したがる連中と、アイーダとの和解を以ってもう人殺しをしたくないと決心したベルリとの対立が、Gセルフとレイハントンコードを通じてベルリ達をクレッセントシップへと導く。いろんなところに伏線があって、伏しすぎててわかりづらいんだけど、感覚的に感じられて泣いちゃうよねっていうのがGレコの魅力だよね。

なお『Ⅳ』でもろ戦火に巻き込まれる模様。

3.能力者バトル

能力系バトルになると妻は途端に理解度が向上する。これは思春期を『ツバサ』で過ごしたことに起因する。(小狼とファイの魔法陣の系統が違う等、異世界それぞれで別の技術体系が発展している事を示唆する演出が非常に多い。)

『ヒーロー戦記』

変身シーンを見るだけで彼らがどんな能力者か一眼で分かるのが東映特撮の良いところ。変身アイテム・能力モチーフ・決め台詞から彼らの特性・属性が直感的に理解できるデザイン力。犬が「エマージェンシー!」といって警察手帳を開くだけで犬のおまわりさんであると瞬時にわかるこのハイセンスなデザインができるのは東映を置いて他にない。

『Gレコ』

キーワードの一つに「ヘルメスの薔薇の設計図」がある事もあり、各勢力毎に固有の技術体系がビジュアルに理解できるようMSがデザインされている。また、物語が進むにつれて登場するMSに使われる技術レベルが上昇していく様子も見られる。

レクテン・レックスノーはかなり単純な作りをしているように見えるし、『Ⅲ』ラストに出るビームマントは地球の技術では考えられないメカニズムだ。

そして敵MSの技術レベルに合わせてバックパックを換装していくG-セルフの戦闘が非常に楽しい。戦闘シーン毎に違うアクションを見せてくれる為、次の必殺技はどんなのが飛び出すのか楽しみになる。

次は…

・『閃光のハサウェイ』薄い本コンプ周回

・『GレコⅢ』2回目

・『シャンチー』

を楽しんでこようと思います。

ポテチ代とパンフ代がやばい。



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