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求められるリーダー像とは?映画『清洲会議』にみるリーダーシップのコンティンジェンシー理論

強烈なパワーで組織を牽引してきたトップが急逝。
そのとき組織のリーダーシップは誰によってどうとられるべきか?
現代にも通じる求められるリーダー像とは何かを考えさせられる映画
『清洲会議』

映画『清洲会議』

解説
三谷幸喜が17年ぶりに書き下ろした小説を自ら脚色し、メガホンをとって映画化。本能寺の変で織田信長が死去した後、家臣の柴田勝家と羽柴(豊臣)秀吉らが後継者を決め、日本史上初めて合議によって歴史が動いたとされる清須会議の全貌をオールスターキャストで描く。三谷監督作品では初の時代劇。天正10年(1582年)、本能寺の変で織田信長がこの世を去り、筆頭家老の柴田勝家は信長の三男でしっかり者の信孝を、羽柴秀吉は次男で大うつけ者と噂される信雄をそれぞれ後継者に推薦する。勝家、秀吉がともに思いを寄せる信長の妹・お市は秀吉への恨みから勝家に肩入れし、秀吉は軍師・黒田官兵衛の策で、信長の弟・三十郎信包を味方に引き入れ、家臣たちの人心を掌握していく。やがて後継者を決める会議が開かれ、それぞれの思惑が交錯する。
2013年製作/138分/G/日本
配給:東宝
出所;映画ドットコムより

※以下ネタバレ注意

織田信長という絶対的なトップと後継者の信忠を本能寺の変で同時に失った織田家。

これにより誰が後継者になるかや所領をどうするかなどを合議制(柴田勝家、丹羽長秀、羽柴秀吉、池田恒興の4人による話し合い)で決めることになるのですが、それぞれの思惑が絡んできます。

織田家の家督を誰に継がせるかで当初は

柴田勝家は能力を重視し織田家三男信孝
丹羽長秀は勝家と同調
羽柴秀吉は御しやすさで織田家次男信雄
池田恒興は中立

という立場をとっていたましたが秀吉は形勢不利と見るや池田恒興を領地配分の優遇することで味方につけ、織田家当主信忠(信長の嫡男で本能寺の変で死亡)の嫡男三法師を押すことで組織の秩序を重視する丹羽長秀も味方に引き入れます。

これにより

柴田勝家→信孝推し
羽柴・丹羽・池田→三法師推し

となり合議制での決着は秀吉の思い描いた通りになりました。


コンティンジェンシー理論

『清洲会議』でも

無骨で空気の読めない勝家と

権謀術数、柔軟に対応を変える秀吉を

対照的に描いていましたが、

果たして織田家にとって誰がリーダーとして最適だったのでしょうか?

その参考になりうるのがリーダーシップの「コンティンジェンシー理論」です。

コンティンジェンシー理論(コンティンジェンシーりろん、英: Contingency theory)とは経営管理論における考え方の一つで、組織構造というものはどのような環境に置かれようと最適となるような形式が存在しないため、周囲の変化に応じて絶えず変化をさせつつ経営する必要があるという理論。これは組織内での人事においても当てはまる事柄であり、最適なリーダーシップのスタイルというものは存在しないため、人をうまくまとめるためには決められた方法を続けるのではなく、現状に応じてリーダーシップのスタイルを変化させるべきであるということである。
出所;Wikipedia

イギリスの社会学者バーンズと、心理学者ストーカーによって行われた研究によると

外部環境が安定している場合は
機械的な官僚組織
トップダウンで指示・命令が明確なリーダー
が力を発揮しやすく

外部環境の変化が激しい場合は
柔軟な有機組織
フラットで支援型なリーダー
が力を発揮しやすい

という理論です。

簡単にまとめると

絶対無二のリーダー論など無い
周りの環境変化に対応するのが良いリーダー
変化が少ない時は官僚的なトップダウンのリーダー
変化が激しい時は柔軟で支援的なリーダー
が有効

となります。

話を『清洲会議』に戻しますと強烈なリーダーが急逝してまだまだ荒れることが予想された環境下では一本気な柴田勝家や官僚的な丹羽長秀よりも柔軟な豊臣秀吉がリーダーに適していたと言えます。(とは言え織田家にとっては後々秀吉に権力者の座をとって変わられるわけですが)


最後に

最近の傾向ですと外部要因ばかりを重視する「コンティンジェンシー理論」では不十分で、組織が生み出す価値は外部要因と内部要因の相互作用が重要であるという見解です。
(ご参照;組織の内部要因に注目したPM理論についての記事はこちら↓↓↓)

とは言え外部環境に目を向けて変化に対応することは非常に重要でありリーダーにとって必要な資質であると思います。

『清洲会議』の中で最も柔軟に対応した秀吉は最も優れたリーダーだったと言えます。

歴史にたらればはありませんが、柴田勝家や丹羽長秀が実質的なトップに立っていたとして果たして織田家を盛り立て、戦国の世を治められたか甚だ疑問です。

それほど組織のリーダー選びとは重要なミッションなのだとこの『清洲会議』を観て改めて思いました。

本日は以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。




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