好きな漫画の話(1/2)

私がめだかボックスとさよなら絶望先生好きなの、我ながらぜんぜん驚く要素がなくて逆にびっくりしてしまう。

めだかボックスの魅力は、
なんと言っても、西尾維新先生が週刊漫画雑誌の連載という形式をきちんと理解して、時に制約さえ活かしている所だ。西尾維新作品は物語シリーズと刀語をアニメで見て、掟上今日子の備忘録と花物語、ニンギョウガニンギョウを小説で読んだくらいなので分析が雑だったら申し訳ないけれど、彼の作風として登場人物はあまり多くなく、しばしば大きな動きのない会話劇で起承転結の「承転」まで済ましかねないくらいに長話を好む。この二点で言うなら、彼の作品はアニメ化に不向きである以上に、連載漫画という形式とは相性が良くない。登場人物が少ないということは一人当たりの情報、設定、経歴の濃度が高いということであり(これは通常ならきっと基本的に良いことだ)、物語の途中から読み始める読者を味方につけなければならない連載漫画の形式とは相性が良くない。長丁場の立ち話についてはもはや言うまでもないだろう。これではいくら西尾維新大先生の書く物語や、ロジックが面白いからと言っても、到底少年ジャンプには載せられないだろう。

めだかボックスは、それらの欠点をうまく解決しているのだ。
まず登場人物の数に関して。めだかボックスは、バトル漫画にしても意味不明なくらいに、なんなら把握不能なくらいに、登場人物が多い。そしてその多くが使い捨てキャラクター……というと語弊を生みかねないのだが、実際、一度バトル描写があったきり、以降は所属組織の集合シーンくらいにしか顔を出さなくなったキャラクターも非常に多い(十三組の表の六人の名前を全部思い出せる人は、たぶん少ない)。例外的に生徒会選挙編の宗像形のように、一度退場したキャラクターが再登場する際にも、その人物の異常性や過負荷がどのようなものか、説明的な描写が入る(作者が話を進めるために敢えてそのキャラクターを選んで再登場させたのだから、必然的にその個性が描写されるという側面もあるだろう)。こういった配慮のおかげで、途中から読み始めた読者でも、過去の話の流れをあまり知らないまま今の物語を楽しむことが出来る。
実際、私が初めてめだかボックスを読み始めたのは、たしかオリエンテーション編だった。オリエンテーション編は上記のキャラクターの親切さに加えて、ストーリー上の展開も途中参加読者を意識していたように思える。オリエンテーション編では、(1)謎解きを出題 しては、(2)次週で回答を提示して次の謎解きに進む の繰り返しで物語が進むうえ、能力バトルとしての側面も抑えられている。5人の研修生たちは、キャラこそ濃いものの、逆に言えば他のメインキャラクターと違って複雑な過去の経歴はない。なんなら目の前の話を理解する上では、阿久根高貴と球磨川禊の過去さえ必須知識ではない。オリエンテーション編に限らず、「何もかも『なかったことにする』スキル、大嘘憑きで……」とか(俺の体温を操るスキル、凍る火柱でも勝てるかどうかだぜ)といった風に、説明台詞の中でご丁寧にスキルの簡易説明をしてくれるのもこの漫画のありがたい特徴だ。
唯一の不親切な箇所は、安心院さんと悪平等だ。彼女らについてのみ、これまでの連載の知識がないと理解できない部分が多い。もっとも、長い時間をかけて暗躍させていたからこそ、後々の描写に深みが出ることには全然間違いないのだが……。

あと、立ち止まっての長話については、登場人物がやたらと奇襲をしかけたがるという解法でクリアしていた気がする。ほんと好きだよね、奇襲……。
ページを捲った後の大ゴマは見栄えがいいし、テンポを速めることは各話ごとの繋がりを最低限に減らすことに繋がって、初見読者への配慮にもなるから、一石二鳥以上の効果があるのはわかるけど……。

余談
今日の日記はどうしても口調が阿良々木君っぽくなってる気がする。アニメ版を見て、台詞を音で聞いてテンポを掴んでしまったせいか、他の登場人物よりもいわゆる脳内再生がしやすい。

アッ、絶望先生の話はまた今度します!

#以上の話が一コマに収まっている様子を想像して

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