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追加投資|DIGGLE:予実管理をもっとスマートに

DNX Ventures(以下、DNX)は、DIGGLE株式会社(以下、DIGGLE)の総額約4億円のシリーズAラウンドに、リード投資家として追加出資させていただきました。本ラウンドは、既存投資家のArchetype Venturesと新規投資家の三菱UFJキャピタル株式会社との共同出資です。

DIGGLEは「組織の距離を縮め、企業の未来の質を上げる。」というプロダクトビジョンのもとに、企業向けに予実管理クラウドサービス「DIGGLE」を提供するSaaSスタートアップです。DNXは2017年5月のシード投資以来支援を続けてきましたが、これまでにDIGGLEが、予実管理に厳しいと考えられる上場企業や上場企業の子会社、IPO前後のスタートアップ企業を中心に顧客を拡げ、顧客エンゲージメントを高める様子を見てきました。

本稿では、予実管理業務における「DIGGLE」のバリューと、DNXが投資家として追加投資に至った背景について触れてみたいと思います。

企業にとっての予実管理の重要性

予実管理とは、毎月の月次決算の実績数値と予算数値を比較して、差異を分析する業務です。経営層と各部門で連携した業務改善、予算達成に向けた施策実行、精度の高い業績予想、等を実行するための経営の基盤となる業務と言えます。

東京証券取引所の例では、上場企業において業績予想が予算に対して、売上高で10%以上、各利益で30%以上の差異が生じた場合、その内容を適時開示することが義務付けられています(※1)。業績予想の修正は、株価影響の可能性が考えられることから、上場企業や上場企業の子会社では精度の高い予実管理が求められますし、スタートアップ企業のIPO準備においても同様です。

従来の予実管理業務における顧客のペイン

予実管理は、その特性上、階層間や部門間或いは親子会社間等で緻密なコラボレーションが要求される業務です。予算策定の方法は会社によって様々ですが、最終的には経営層と各部門が定量的な経営指標や定性的な目標をアラインした上で、PLやキャッシュフロー等の予算の成果物が仕上がります。そのためには、各部門のデータを単に集約するだけでなく、予算の現実性を検証して中身を洗練させるために、関係者間でデータの行き来が何度も繰り返しなされることがあります。

一方で、予実管理に用いるツールは、Microsoft ExcelやGoogle Spreadsheetといった汎用的な表計算ソフトが多く(※2)、部門毎のフォーマット差異、バージョン管理、数式等のヒューマンエラー対応など、関係者による属人的な状況を解決のためには、どうしても工数が発生しがちな構造です。

また、基本的に経理部門で会計上の勘定科目ベースで語られる月次決算数値に対して、事業部門では必ずしも勘定科目にとらわれずに作成可能な予算数値を、毎月突合して差異要因を明らかにする手続は、大きなコミュニケーションコストを伴う可能性があります。

「DIGGLE」で実現できること

 「DIGGLE」は、このような煩雑な予実管理領域にフォーカスし、予算策定から予実突合、業績予想に至る予実管理業務をワンストップで遂行出来るSaaSのアプリケーションです。「DIGGLE」の活用によって、部門間や階層間のコミュニケーションがよりコラボレーティブな姿となり、関係者のペインを減らし、経営情報を合理的な形で流通させ、経営の意思決定に貢献出来ます。

今回の投資によせて

DNXはこれまでにDIGGLEに対してシード投資をして参りましたが、今回のシリーズAというコア投資を決定した理由は、主に以下の3点です。

1.予実管理に厳しい顧客の獲得

 DIGGLEは、予実管理に対するビジネスの緊張感が強いと考えられる上場企業や上場企業の子会社、またIPO前後のスタートアップ企業の顧客数を堅調に増やし、多くの素晴らしい顧客活用事例を示してきました。DNXは、シリーズAにおいて重要とされるPMF(プロダクトマーケットフィット)を示すサインと受け止め、事業をスケールさせるフェーズであると考えました。

2.チーム力と顧客エンゲージメント

 DIGGLEは、予実管理という高度な顧客課題にチャレンジしていますが、DIGGLEのビジョンに共感して、大手企業の経営企画部出身などの、予実管理実務を経験した優秀な人材が続々とDIGGLEにジョインしています。DIGGLEメンバーが過去の自分を助けるかのように顧客を成功へ導いている様子から、この領域における顧客の声と知見がさらに蓄積され、顧客エンゲージメントが益々高まっていくものと思います。

3.プロダクト開発力

 予実管理のソフトウェアとして、大企業向けの金額の高いERPソリューションは既にありますが、「DIGGLE」はその廉価版では決してありません。独自の機能を組み合わせてプロダクトとして実装することで、「DIGGLE」ならではの予実管理オペレーションを実現しています。顧客のペインを深く理解し、水上CTOを中心にプロダクトロードマップを進める事で、既存顧客の成功はもちろん、今はまだリーチ出来ていないセグメントの企業の業務も「DIGGLE」で解決していくものと期待しています。

DIGGLE 山本CEOからのコメント

プロダクトローンチ前の段階からたくさんのアドバイスをうけてきたDNXさんがシリーズAをリードしてくださって大変嬉しく、誇りに感じています。私達のお客様はCFOの方であることが多く、商談で「DNXさんが出資している会社であれば安心だね」と後押ししてくださり、受注した例もあります。
さて、DNXさんからは、事業成長のためのソフトとハードの両面で貴重な支援を頂戴しています。ソフト面ではSaaS投資家としての深い知見に基づくアドバイスを。ハード面ではDNXさんがプロデュースしたSPROUNDという素晴らしいオフィスを利用しています。SPROUNDには倉林さん、高岡さん、中野さんをはじめとする皆様も在席しており、ソフト、ハード両面が融合したメリットを享受しています。
ご出資いただいた資金は、ビジネスにおける経営管理フローの最適化と経営情報の一元化を一層推進し、DIGGLEがかかげる「組織の距離を縮め、企業の未来の質を上げる。」を実現するための機能開発や営業活動に投資をしてまいります。引き続きのご支援をよろしくお願いします。
ーー DIGGLE株式会社 代表取締役 山本 清貴

DIGGLE 山本CEO x DNX倉林対談

今回の資金調達に合わせて、代表の山本さんと倉林の対談インタビューも公開。プロダクトリリース前の2017年から歩んできたこれまでの道のり、DIGGLEのチームの魅力などお話ししています。ぜひご覧ください。


「DIGGLE」が多くの企業に導入され、予実管理業務がアップデートされ、より多くのお客様が企業価値向上へ貢献を実感されることを期待しております。DNXも引き続き山本さんをはじめとするチームDIGGLEを力強く支援していきたいと思います。

(文:中野智裕)

※1 東京証券取引所「業績予想の修正、予想値と決算値との差異等」(参照 2022-08-23)
※2 予実管理インサイト「経営企画アンケートでわかった予実管理業務の実態」(参照 2022-08-23)

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