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Resily株式会社に聞く、「OKR」から考える“従業員エンゲージメント”

DNXの投資先スタートアップが向き合う社会課題と、課題を克服するべく提供するソリューション、そしてそのソリューションを導入した企業にはどのような変化がうまれているのか。私たちDNXが投資を通じて応援したいと可能性を感じている投資先の数々。彼らの取り組みを紹介するべく、スタートアップCEOの生のプレゼンテーションをお届けしていきます。

OKRを切り口に考える「従業員エンゲージメント」

はじめの3回は、「従業員エンゲージメント」を切り口に、3つの投資先を紹介しています。

「従業員エンゲージメント」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
「働き方改革」であれば、馴染みがあるかもしれません。

ここ数年多くの企業が取り組んできた“働き方改革”。そのブームで様々な制度が導入され、働き方に変化が生まれた結果、企業は従業員のコミットやパフォーマンスの最大化が求められています。“従業員のエンゲージメント”を醸成するための取り組みは、いよいよブームではなく本質的に求められる時期に差し掛かっているようなのです。

そこで今回は、「OKR」をキーワードに、Resily株式会社が様々な企業の働く環境や人事政策の現状に触れながら向き合ってきた課題と取り組み事例を紹介しながら、“従業員のエンゲージメント”の実現へのアプローチについて話を聞きました。(本記事は、11月5日にBaseQにて開催したイベント「組織を強くする“従業員エンゲージメント」の登壇内容をベースに作成したものです)

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エンゲージメント向上は、業績にダイレクトに寄与

今回は、目標管理と従業員エンゲージメント、Resilyについてご紹介します。
まず、会社の紹介をさせてください。我々Resilyは、2017年に創業、SaaS型のOKRツールの開発と提供をしています。
我々が考える「エンゲージメント」は、「モチベーション」です。エンゲージメントを「自主的に会社に貢献する意欲」と言い換えると、内発的な動機付け「モチベーション」と言えるのではないかと思うのです。モチベーションという言葉を日本に輸入したリンクアンドモチベーションの調査によると、エンゲージメント向上は、売上伸長力にダイレクトに寄与すると示されています。さらに、グローバルな調査でもエンゲージメントが持続的に高い会社は、業績が3倍であるという結果が出ています。

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エンゲージメントを左右する五大要素の一つが「目標管理」

グローバルで言われている指標をすべて持ってきているわけではありませんが、タワーズ・ワトソンさんの調べによると、エンゲージメントを左右する要素として、日本ではストレスやワークロードの問題が一番目に上がり、次に、自分の会社が社会的にどのように認知されているか、社会的な意義があるかを気にされる方が多い傾向が挙げられます。また、直属の上司とのコミュニケーションが、持続可能なエンゲージメントと相関があるとも言われています。我々が向き合っている目標管理は、日本で見ると4番目、グローバルで見ると3番目にあたります。

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今回は、目標管理が影響を及ぼすエンゲージメントの範囲について見ていきましょう。

「企業の目的(Mission, Vision, Value)」と、「事業戦略」、そこから落とし込まれたプロジェクトの「個別Issue」、自分の強みが生かされているかどうか、目標に対してアサインメントが適切なのかという「人Issue」までが、目標管理がカバーする範囲です。さらにその下層には、人間関係などジェネラルなコミュニケーションIssueがあり、ピラミッドの上から下まで組織全体の方向性があっていれば、従業員のエンゲージメントも上がると考えられます。

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OKRは、まさにこのミッション・事業戦略・個別Issue部分における、認識のズレを修正する透明性の高い目標管理ツールであると我々は定義しています。これだけだと抽象度が高いので具体例とともに、OKRとはどういうものかを紹介できればと思います。

インテルをV字回復に導いたOKR

OKRは、インテルから始まりました。

インテルの成長曲線を見てみると、一見順調に推移しているように見えるのですが、赤くポイントしている1979年に存続の危機を迎えます。インテルの市場シェアが1977年からどんどん縮小、30%から20%、12%、そして1979年の6%に。ここからのV字回復に寄与したコミュニケーションの仕組み、認識のズレを修正させていく仕組みがOKRでした。

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インテルがどうやってこの危機を挽回したか。簡単にいうと、強みにフォーカスしたのです。インテルは当時、チップやメモリだけでなく、それに付随するソフトウェアが強みとしていました。チップが採用されないとソフトウェアも採用されず、売上が立たなくなるのですが、当時、より高性能なチップが米国のベンチャー企業や日本企業の追い上げで出てきたのです。

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そうした状況を打破するためにインテルが決めたのは、「16bitマイクロチップ市場で勝つ」ということ。チップの領域で勝つと決め、「なぜやるのか」にフォーカスし、動き方を決め、迅速に会社の中に伝達、フォーカスポイントにリソースを注ぎました

そのために役立ったのが、OKRでした。
オブジェクティブ(何を目指すのか:「16bitマイクロチップ市場で勝つ」)、そのためのキーリザルト(何が達成されれば実現できるか)、ここに対してどんな結果を目指すかを全社に公開し、トップマネジメントも営業もマーケティンググローバルも、このOKRを達成するために動く。目標に対して、各部門が何をやるかを整理する。その内容にそれぞれコミットし続けて、定期的にズレが生じていないかをウォッチ、ズレた時にはOKRを見直して修正し、会社としての優先事項を明確にして、再びみんなの認識のズレが起こらないようにアクションする。

結果的にインテルは、一時6%まで下がった市場シェアを7年後に85%までに回復することに成功しました。これがOKRの起源です。

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会社存続のためには、会社を横断して一つの目標にフォーカスしないと存続できないという判断があり、そのコミュニケーションのプロセスとしてOKRが機能しました。

目標管理は、人事評価のツールであり、業績改善の手段にもなる

ここで、昨今のOKRの業界動向についてご紹介したいと思います。
昨年2018年に、OKRに関する書籍が立て続けに出版されました。我々Resilyも2020年に電子書籍・書籍を出版予定です。さらに、検索エンジンのランキングを見てみると、OKRという言葉のインタレストが「SFA」という単語と同数以上まで上がってきています。確実にOKRの認知度が上がってきていると言えます。

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目標管理には「人事評価」と、インテルの事例のような「業績改善」の側面があります。我々はその二つを兼ね備えたポジションとして、評価だけでなくて会社全体のアクションを一つの方向に向かわせる、チーム全体の中で個人にどう動いてもらうかという情報の蓄積も重要であると考えています。OKRはまさに、組織の大きな目標に対してチームがどのように動くべきか、その中で個人がどうアクションするべきか、組織から個人にまで順番に情報を蓄積していくという特徴を持っています。

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OKRの大きな強みは、達成目標、優先課題の認識に対する不一致を改善すること。マネージャーの目線から見ると、目標設定しただけでメンバーみんなアクションしてくれていない、一緒に目標設定したのに、自分で優先順位づけして自走してくれていない、チームとしてこう動いていきたいのにわかってくれない、フィードバックの背景を理解してくれない、といったことが「あるある」でしょう。またメンバーからすると、マネージャーがなんでそんなことを言っているのかわからないというのも「あるある」だと思います。

これはすべて、達成目標とか優先課題とかに関する認識の不一致なのではないかと思います。この認識の不一致が重なると、前述の通り業績に悪影響を及ぼしかねません。特に業績改善は、一つの部門で実現できることはほとんどなく、複数の部門が関わる一つの大きなビジネスプロセスを組織横断的に介入する必要があります。逆にいうと1on1で目標設定したり、それがチームに共有されなかったり、評価のための目標設定になると、チーム内の方向性など組織のズレを生んでしまう。だからこそ、業績改善のためには目標管理の改善が必要だというのが我々の仮説です。

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Resilyでは、まず事業部のOKRを設定し、続いて各事業部も設定。さらに部門やチームごとにも入力し、それらを全て関連づけて見える化、ズレも明確に可視化されます。その上で、常にズレを透明化する。認識のズレがなくなると、立場や役割を超えて会社が一つのチームになり、一つの方向に向かって力を注げるような世界を実現できると考えています。

国内でも続々と活用が進むOKR

OKRはインテルに始まり、Googleに使われ、現在では世界中の名だたる企業が使っています。BMWなどの製造業でも使わるようになっています。日本では、我々のお客様に、Sansanやメルカリなど大手ITベンチャーで広まり始めているほか、大手企業など業種業態を問わずご活用いただいており、あまねく様々な企業にご活用いただけるサービスだと自負しています。

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OKRいかがでしたでしょうか。
我々Resilyのプロダクトづくりの軸となっている考え方は「情報の構造化」です。社内には様々な情報が流通しているとおもいます。どの情報を見れば意思決定ができるか、迷うこともあるかもしれません。この情報の洪水を構造化してあげて、ポジションごとに適切に切り出してあげることを、構造化された情報をインプットするから情報のズレがなくなるというコンセプトにしています。
OKRに沿って情報を構造化することで、我々は課題解決、認識のズレを修正していきたい。そんなプロダクトを我々は開発しています。

この新たな評価の仕組みを取り入れてみたい、トライしたいという企業様、ぜひ気軽にお問い合わせください。


Resily株式会社
https://resily.com


(写真・稲田雅彦 文・上野なつみ)

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