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新規米国投資|Macrometa

弊社DNX Venturesは、アプリ開発者向けエッジコンピューティングサービスを提供する。Macrometa社(以下、Macrometa)へ投資を実行したことをご報告致します。

エッジコンピューティングにおける静的なデータの扱いに関しては、これまで多くの研究がなされ多くの問題が解決されてきました。しかし、ここ数年、エッジ領域でのデータ作成・保存・計算・分析量は劇的に増加しており、現在その市場は100億ドル以上、年平均成長率は30%にまで拡大しています。エッジ領域では、インタラクション・映像配信・顧客データなどが、途切れることなく、且つミリ秒単位でリアルタイムに取り込み、保存・分析・対応をしなければならないといったことが、サイバーセキュリティ、アドテクノロジー、IoT、ゲーム、Eコマースなどの多数の業界で求められています。

問題点:

中央集権型のクラウドやオンプレミスは、コスト、性能、開発の観点から言うと、エッジコンピューティングやリアルタイムデータ処理のような分散型アーキテクチャには適していません。なぜなら分散型のシステムは、ステートフル(*1)で一貫性のあるデータ処理を行いながら、数百個にのぼるエッジ領域で実行しなければならず、グローバル規模でのエッジコンピューティング対応ができるクラウドネイティブなアプリ/API バックエンドを構築する必要があり、その複雑さと運用にかかるコストが爆発的に増大してしまうからです。また、企業の立場からすれば、単一のグローバルクラウドプロバイダーとそのクラウドツールに縛られたくないという事情もあります。

*1 ステートフル:システムが現在の状態を表すデータなどを保持しており、その内容を処理に反映させる方式。同じ入力に対する出力が常に同じとは限らず、内部の状態次第で変わることがある。

チーム:

これらは、データベース、データウェアハウス(そして現在のデータレイク)の黎明期から続く、よくあるコンピュータシステムの課題です。私たちはMacrometaがまさに上記問題点の解決に取り組んでいることに惹かれたとともに、それ以上にクラウドとエッジについて鍛え抜かれた経営陣・ボードメンバーの面々とご一緒できることにとてもワクワクしています。

MacrometaのCEOであるChetan Venkatesh(チェタン・ベンケタッシュ)氏は、Atlantis Computing社(VDI(Virtual Desktop Infrastructure)とクラウドサービス)の創業者/最高技術責任者(CTO)でした。Atlantis Computing社は、年商0から2500万ドル以上、従業員数200人以上と、非常に短期間で規模を拡大しました。しかし、プロダクト、機能開発における市場適応が上手くいかず、残念ながら大きな成果を上げるには至りませんでした。MacrometaのCTOであるDurga Gokina(ドゥルガー・ゴーキナ)氏もAtlantis Computing社に関わっていました。

このパンデミックの間、私はChetanとサンフランシスコベイエリアの州立公園に何度も足を運び、散歩やハイキングをしながら長らく話し合いました。そして彼が学んだ教訓、彼の極端とも言える謙虚さ、新しい考え方に対する彼のオープンさに最も感銘を受けました。時に、起業家は過去の痛手から及び腰になってしまい、その能力を最大限に解き放せないことがありますが、Chetanはそうではありませんでした。彼もDurgaも、常にオープンに、そして十二分に各自の能力を生かすと言う姿勢を、Macrometaの企業文化、雇用、Go-to-Market戦略に、そして何よりも顧客の製品に対する満足感を保証する為に取り入れています。

取締役会新メンバー:

Macrometaには、さらに業界の猛者2人が参加しています。Rob Fry(ロブ・フライ)氏はNetflix社のベテラン、現在はArmorblox社のCTOです。Robは、セキュリティ、パフォーマンス、運用、世界中で何億人ものユーザーに同時にサービスを提供するプラットフォームを構築するために必要な人材と組織に関する、クラウド・ネイティブ・アーキテクチャの変革の可能性についてディープな経験を持っています。

そしてもう1名は、Auth0社とXNOR.ai社(Appleが買収)のCEOを務めていたJon Gelsey(ジョン・ゲルシー)氏。この二人が当社の取締役会に参加してくれることになりました。JonはAuth0社でユニコーンをゼロから作り上げることと、ID、認証、アクセス管理のための全く新しいカテゴリーを作り上げることの両方を成し遂げたユニークな経歴の人物です。彼はAuth0社とXNOR.ai社でCEOとして多忙の身でありながら、その間に開発者中心の販売とマーケティング方法論を発明、構築したといっても過言ではありません。

その製品:

Macrometaは、顧客のクラウドネイティブ・データスタックを、100以上のクラウド・リージョンで動作する、フォールトトレラント(*2)で低遅延のステートフルなデータファブリック(*3)に変換します。CDN(Content Delivery Network)と同様に、Macrometaは、NoSQLデータベースとプロキシキャッシュ、イベントストリーム処理などのためのAPIとSDKの統合開発キットを、シンプルなサーバーレスで開発者志向のUXにより提供します。企業はMacrometaの製品を通じて、マルチクラウド、クラウドとエッジ、CDN、オンプレミス、パブリッククラウドと、広範囲に渡るクラウドネイティブアプリ/APIの開発と配信のスケール化、簡素化、最適化を行うことができます。

*2 フォールトトレラント:システムの一部に問題が生じても全体が機能停止するということなく動作し続けるシステム
*3 データファブリック:クラウドとオンプレミス全体でデータ管理を簡易化、統合すること



Macrometaでは、営業、ソリューション・アーキテクチャー、製品管理、エンジニアリング(C++、Python、Java、JavaScript)各部門で人材募集中です。是非こちらをご覧ください。


TechCrunch Japanでも翻訳記事を取り上げていただきました。
合わせて是非ご覧ください!



(文・Q Motiwala / 翻訳・高橋 龍子 / 編集・上野なつみ)

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