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新規投資ご報告|米国Mitiga

弊社DNX Venturesは、情報セキュリティ対策においてフルクラウドおよびハイブリッドクラウド環境に適用するインシデントレスポンスを提供するMitiga社(以下Mitiga)へ、シードラウンドにて投資を実行したことをご報告致します。本ラウンドへは、DNXがリードをとり、Clearsky Security、Glilot Capital、Flint Capital、Rain Capitalらと共に投資致しました。

資金調達に関してはBusiness Insider等の複数メディアにも取り上げられました(英語記事)。


クラウド化で需要高まるサイバーセキュリティインシデント対策

クラウドファーストのトレンドが加速しているにも関わらず、企業のITチームにおいてはサイバーセキュリティインシデントへの準備が、全くと言っていいほどできていないのが現状です。Mitigaは、「インシデントは発生するもの」という前提で、インシデント発生前の対策から準備、ソリューションを提供します。


従来のインシデントレスポンスはクラウド環境では通用しない

IBMの「Cost of a Data Study」によると、インシデント発生により、企業平均で392万ドル(約420億円)もの損失が全世界で生じています。同調査では、米国におけるデータ侵害の損失は819万ドル(約880億円)という桁外れな額であり、過去14年間で130%も増加していることが判明しています。実際、2020年のセキュリティサービスは、合計で約400億ドル(4兆2800億円)の市場となっています。

なぜデータ侵害への対応にはこんなにもコストがかかるのでしょうか。その理由の1つとして、ほとんどの組織でセキュリティインシデントへの対応に時間がかかりすぎることが挙げられます。往々にして組織ではクラウド環境を常に最新の状態に保つ、セキュリティアナリストの人材が不足しているため、インシデントが発生すると外部から専門家を雇ってセキュリティ侵害を調査しています。つまりほとんどの場合、インシデントが発生した後でないと詳細を知ることができないのです。 

そのため、潜在的問題を判断し、規制上の影響を考慮し、被害対策のPRプランを立てる、取締役会での説明を行う、将来のインシデントに備えた緩和策を立てる、といった被害対策が必要となり、平均279日といった膨大な時間がかかっています。Mitigaのソリューションは、この279日ある対策ボリュームを、僅か数日程度のボリュームまで縮小することが可能なのです。

Mitigaって?

Mitigaは、従来のインシデントレスポンスソリューションを、現在のフルクラウドおよびハイブリッドクラウド環境に適合するように改革した、インシデントレスポンスを提供。インシデントレスポンス技術で最小限にインシデント対応の時間を縮小しながら、チームがもつ深い専門性による従来のコンサルティングで補う、ハイブリットで効率的なインシデントレスポンスソリューションを実現しています。

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新たに再考されたインシデントレスポンスの技術を通じたインシデント対策を提供、組織における手作業を自動化し、クラウドインフラを完全に可視化することで、インシデント判断を可能にし、事故が発生する前から緩和策を実施します。

既に、Mitigaのソリューションは、銀行、Eコマース、製薬、政府機関に提供されており、他の業界への更なる拡大を目指しています。

Mitigaの共同設立者であるTal Modes、Ofer Maor、Ariel Parnesの3人が率いるチームは、このインシデントレスポンスの分野における問題に深く精通しています。DNXはこの素晴らしいチームと共に、インシデント対策という困難な問題の解決に向けて取り組んでいけることを大変光栄に思っています。


世界的に増加するインシデントレスポンスの大規模な需要 

クラウドやアプリケーションの利用拡大に伴い、インシデントレスポンスの需要は世界中で高まっており、その需要と供給のギャップは拡大する一方です。

サイバー攻撃に曝されている点では日本も例外ではありません。最近、Twitterが米国でサイバー攻撃に遭いましたが、日本でも大手防衛・インフラ企業のデータベースが漏洩し、自衛隊の機密情報が海外のハッカーに流出するという事件が発生したのは記憶に新しいところです。防衛省では、サイバー攻撃対策要員として2020年末までにその人数を220人から290人に増やす計画を発表していますが、その数は米国の6000人、中国の10万人、北朝鮮の7000人と比べるとあまりにも微々たる数字です。

セキュリティ分野の専門家の不足、セキュリティプロトコルへの影響、増加し続けるセキュリティインシデントの発生確率と実際の数......。これらは世界的な問題であり、Mitigaはその解決に向けた第一歩を力強く踏み出したところです。


(文・ナツキ・ズィヒニオール 翻訳・高橋 龍子)


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