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株式会社チームスピリット に聞く、「勤怠管理」から考える“従業員エンゲージメント”

DNXの投資先スタートアップが向き合う社会課題と、課題を克服するべく提供するソリューション、そしてそのソリューションを導入した企業にはどのような変化がうまれているのか。私たちDNXが投資を通じて応援したいと、つよく可能性を感じている投資先の数々。彼らの取り組みを紹介するべく、スタートアップCEOの生のプレゼンテーションをお届けしています。

勤怠管理から考える「従業員エンゲージメント」

今月は「従業員エンゲージメント」を切り口に、3つの投資先を紹介しています。

「従業員エンゲージメント」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
「働き方改革」であれば、馴染みがあるかもしれません。

ここ数年多くの企業が取り組んできた“働き方改革”。そのブームで様々な制度が導入され、働き方に変化が生まれた結果、企業は従業員のコミットやパフォーマンスの最大化が求められています。“従業員のエンゲージメント”を醸成するための取り組みは、いよいよブームではなく本質的に求められる時期に差し掛かっているようなのです。

そこで今回は、「勤怠管理」をキーワードに、株式会社チームスピリットが様々な企業の働く環境や人事政策の現状に触れながら向き合ってきた課題と取り組み事例を紹介しながら、“従業員のエンゲージメント”の実現へのアプローチについて話を聞きました。

本記事は、2019年11月5日にBaseQにて開催したイベント「組織を強くする“従業員エンゲージメント」の登壇内容をベースに作成したものです)

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申請業務を軽減し、クリエイティブな仕事や休暇に充てる

チームスピリットの宮原と申します。今回は、会社の概要、従業員エンゲージメントの動向、弊社のお客様の動向について弊社のソリューションを交えてご紹介します。

チームスピリットはサービス開始して約7年半が経過、ご採用企業様が約1200社、約20万ユーザーにご利用いただいているサービスです。

我々の提供しているサービスの全体像はこちらです。

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真ん中の青い部分が、我々が提供しているサービスのコア、勤怠管理、就業管理、工数管理、経費精算です。様々なサービスがありますが、いずれも基本的には「全従業員が日々行う申請」にかかるシステムを一つにまとめ、申請にかかる時間を極力減らすというサービスです。
みなさんも交通費精算の申請や休暇申請など、日々色々な申請を行っていらっしゃると思います。それらの業務はいずれも大事な業務ですが、弊社としては、そうした売上や利益に直接貢献しない業務の時間を極力減らすことによって、よりクリエイティブな時間、あるいは休暇に使っていただきたいと考えています。

もうひとつ、レポートとダッシュボードという機能があり、働いた時間など従業員に関わる情報が全てリアルタイムにわかるようになっています。過重労働環境や無駄な仕事が多い状況、あるいは経費精算のために残業をしているといった状況があるとすれば、それは従業員のモチベーションを下げてしまうはず。レポートやダッシュボードを使用することでリアルタイムに働き方を見て、働きすぎている人がいないか、有給が取れていない人がいないか、コア業務に時間を使えているかなどをマネジメントすることができます。

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チームスピリット利用企業は、規模も業界も様々

上記は、弊社のサービスをご利用いただいている企業様の一部です。利用企業様の従業員数をみると、数名の規模から1万人を越えるような規模の会社まで幅広く、また業種も、金融や製造、サービス業、小売業など、あらゆる産業で使っていただいています。
もうひとつの特徴は、マザーズに上場されている会社での採用率も非常に高いということ。現在マザーズの上場企業の7社に1社がサービスを利用中、内部統制などコンプライアンスの強化のニーズが非常に強いことからご利用いただいています。


極端に低い日本のエンゲージメント

本題の「従業員エンゲージメントの動向」に触れていきたいと思います。

こちらの資料、皆様どこかですでにお目にかかったことがあるかもしれませんが、米国のGALLUPが毎年行っているエンゲージメント調査の国別の結果です。

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米国は従業員の30%、3人に1人はきちんとエンゲージできています。一方日本はエンゲージできている従業員の割合は6%、エンゲージできていない層は23%というデータが出ています。さらに別の資料を見てみますと、若干古いデータですが、2016年までの3ヶ年累計で、139ヶ国中132位というのが日本の状況です。

「リーダーシップ」や「環境」、「制度」の側面で従業員エンゲージメントを醸成
こうした状況の中、エンゲージメントを高めるために何があったらいいだろうと我々も考えています。従業員エンゲージメントを高めたり低めたりする要素、またエンゲージメントが高まった結果どうなるかというアウトプットを整理してみました。

当然会社によって違いがあると思いますが、一般的には「ミッション・ビジョン」、つまりその会社が果たす使命や役割に共感できるかどうかがエンゲージメントに関わってくる。そして2つ目に、マネージャーやリーダーが示す目標に対してリーダーときちんとコミュニケーションができるかという「リーダーシップ」が大きな要素であると考えられます。3つ目に「環境」。働く場所を見直される企業様も増えていますし、どんなにおしゃれなオフィスで働いていても、本来自分がやりたい仕事ができる環境か、働く時間が長いなど働きにくい環境になっていないかも非常に大きな要素です。最後に、「制度」。就業規則や働く時間、評価制度、あるいは社内に存在しているルールが従業員エンゲージメントを上下する要因になりうるのではないかと考えています。

実際に従業員エンゲージメントが上がり下がりすると、生産性やその会社の成長、離職率や新規採用数などに大きな影響が出てくることになります。

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我々チームスピリットのサービスでは、月にいくら売上を上げたのかなどの「成果指標」と「作業工数」のデータを取り、働いている時間、残業時間、欠勤日数、遅刻の回数など、モチベーションに影響する様々な要素をリアルタイムでモニタリングし、ダッシュボード上で直接従業員とコミュニケーションを行うことができます。例えば、メンバーに対してちょっと働きすぎだから休みましょう、とか、もう少しこういう仕事に時間を使ってみたらどうとか。
そんなふうに、エンゲージメントを左右する要素のうち、「リーダーシップ」や「環境」、「制度」の整備において、我々がお役に立てる部分があるのではないかと考えています。


TeamSpiritの導入で労働生産性の向上を実現

昨今、あらゆる企業で「生産性を高めよう」という動きが非常に高まっています。この「労働生産性」というのは、分母を「労働投入量」が、分子を「成果や付加価値」が構成しています。弊社チームスピリットはこの「労働投入量」の一部である勤怠管理や経費精算といった業務時間を極力短くすべくサービス開発に取り組んでいます。実際、年に一度実施しているお客様満足度調査では、平均約40%もの作業時間が削減されているとの結果が出ています。
さらに、チームスピリットを使うと、どの仕事にどれだけの時間が投下されているかを、個人、部門、会社全体などで、リアルタイムで見ることができます。残業時間や有給取得状況、各部門のどこに負担がかかっているかなどを見ていくなかで、生産性の高い職場環境を実現するために本来時間を使うべきではない仕事があれば、その仕事をやめたり、あるいはアウトソースするといった手が打てるようになります。さらには、会社の業績に影響がない仕事や取り組みを辞めるという意思決定をされるケースも非常に増えてきています。こうした取り組みや改善が、結果的には本人のエンゲージメントをさらに高めていく事に繋がるのではないかと考えられています。

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やりたいと仕事や、やるべき仕事にフォーカスできるように

最後に二つほど活用事例を紹介させてください。

一つは、カオナビ様。「ぎゅっと働いてぱっと帰る」というコンセプト。

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カオナビ様の課題は、今年上場されたこともあり、社員数が急増し、それに伴い事務処理作業が増えたこと。そして上場にあたって内部統制の強化が必要になったこと。結果として、我々のソリューションを採用いただいて、従業員がやりたいと思っている仕事や、やるべき仕事にフォーカスすることができるようになりました。月間の平均残業時間10分や、プライベートの時間あるいは副業等に時間をさけられるようになったというフィードバックもあり、本当に素晴らしい成果を出していらっしゃいます。

またUSEN -NEXT GROUP様は、約5000名ほどの企業規模、「かっこよく働こう」がコンセプト。売上1兆円の目標を掲げ、事業構造の改革を進めていらっしゃいます。一方では、経営統合により新しい社員が増えています。そこで、弊社のソリューションを使い、働き方や働いた時間などをリアルタイムで見える化し、制度を最適化することでセルフマネージメントが行えるようにしました。見える化によって、互いに知らなかった社員同士に活発なコミュニケーションが生まれたという成果も出ています。


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最後に、「従業員エンゲージメントジャーニー」と名付けてみました。
スタートライン、現状から、目標を設定し、会社の状況や働いた時間、働いている内容や内訳をモニタリングし、対策を実行していく。それをくり返してようやく、最終的にゴールに到達していくことができるのではないかと思います。



株式会社チームスピリット
https://www.teamspirit.com/ja-jp/


(写真・稲田雅彦 文・上野なつみ)

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