鏡の国のアリス 第2章

第2章 生きた花の庭

「あの丘のてっぺんまで行けば、お庭がずっと遠くまで見渡せるよね」とアリスはひとりごとを言った。「そこまでまっすぐに続いている道があるし―きっと―あれ、まっすぐに行けない―」(その道を何メートルが進むと、なぜか急な角を曲がってしまう)「でも、ずっと歩いていれば、いつかは着くでしょ。それにしても、この道、変な曲がり方をするのね! 道じゃなくてワインの栓抜きみたい! 次の角を曲がれば丘に着くかな―違う、そうじゃない! これじゃおうちに戻っちゃう! しょうがないな、ほかの道をためしてみよう」
 アリスは言ったとおり、ほかの道をいくつもためしたのだが、どの道でも行ったり来たり。何度も角を曲がることになった。そして、結局はうちに戻って来てしまう。何度ためしてもおなじだ。一度は、角をちょっと速く曲がりすぎたので、止まることができずにうちにぶつかってしまった。
「文句を言ってもだめね」アリスはそう言って、うちを見上げた。まるで、うちが自分に議論でもふっかけてきたみたいに。「まだ、うちには入らないからね。うちに入ったら、また鏡を通り抜けて―もとの部屋に戻らなくちゃいけない― そうしたら、私の冒険がおしまいになっちゃう!」

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