もし売れば

東京と成田空港を結ぶ鉄道を経営する京成電鉄は、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの大株主です。

京成電鉄株の1.6%を保有する英投資ファンドのパリサー・キャピタルが、京成電鉄に対してオリエンタルランドの株を売却して、持ち株比率を22.15%から15%未満まで引き下げるように提案しているという記事をヤフーニュースで見ました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e545bf8e1698ccf17b9a3c61e0ef2bbd94f45a

詳細はヤフーニュースを見ていただきたいですが、何故こんな提案がファンドから出たかと言えば、現在の京成電鉄が持つオリエンタルランド株はバランスシートで時価評価されておらず、今の京成電鉄の企業価値が43%も割安に評価されているとパリサーは断言しているからのようです。

もし京成電鉄のオリエンタルランド持ち分が15%未満になれば、持ち分は時価で資産に計上されて京成電鉄の資産は3倍以上になり、株価上昇にもつながるとパリサーは提案しているとヤフーニュースは伝えています。

もしパリサーの提案どうりに京成電鉄が、オリエンタルランドの持ち分を15%未満になるまで売却したら、京成電鉄の決算はどんな数値になるのでしょう。

グーグルでそんな記事があるか探してみましたが、今のところそんな記事は見つかりませんでした。

そこで会計を知らない素人なりに、京成電鉄が2023年12月までにオリエンタルランドの持ち分株が15%未満になるように、8%分を売却したとしたら京成電鉄の4−12月期決算はどうなるか計算してみました。

京成電鉄がオリエンタルランド株8%分を売却したと仮定した時の時価総額ですが、今週末のオリエンタルランドの時価総額は9兆6661億円なので、区切りよく9兆円にします。

9兆円の8%は7200億円です。
これは売却益でしょう。
売却益について法人税がどれくらいかかるかChatGPTに聞くと、次のように答えてくれました。

売却益 × 法人税率 = 法人税額 7200億円 × 0.20 = 1440億円

ChatGPT

2023年12月末日のオリエンタルランドの株価は今週末とあまり差はないので、京成電鉄の持ち分が22.15%から14.15%に減ったとして、第3四半期決算日の京成電鉄のオリエンタルランド株持ち分評価額を,ヤフーニュースにあるように時価での表示で1兆3677億円とします。

今期第3四半期の京成電鉄の資産に計上されてる投資有価証券の額は2234億円なので1兆3677億円との差は1兆1443億円です。

この差額は評価益でしょう。評価益に法人税はかかるのかChatGPTに聞くと、次のように課税対象になる場合もあれば、課税対象外になることもあると答えてくれました。

一般的に、株式などの金融資産の評価益が発生した場合、法人税が課税されることがあります。ただし、会社が株式を事業活動の一環として保有している場合、例えば他社との戦略的な関係や業務連携のために保有している場合、その評価益は通常、法人税の対象外となることがあります。ただし、これらの場合でも、税法や会計基準によって異なるため、具体的な状況によって異なる可能性があります。

ChatGPT

今回の仮定では法人税はかからないと計算してみます。

では、素人が「京成電鉄がパリサーの提案どうりにオリエンタルランドの株を2023年末日までに売却した」と仮定した4−12月期決算の適当な計算です。

営業収益           2226億円
営業利益            238億円
税金等調整前4半期純利益 1兆8881億円
純利益          1兆7362億円 

京成電鉄 資産合計
現在の実数値       
1兆0040億円 
オリエンタルランド株8%分売却したと仮定後の数値             2兆7362億円 

私の計算では資産が3倍以上にはなりませんでしたが、これは素人の計算なのでどこか間違ってるのでしょう。

6月1日追記;ネットの記事を見たり、京成電鉄の2024年3月期の決算を見たりして間違いがあるところがわかった分だけ訂正します。

株式の売却益について、売却額から取得額を引くことに気がついてませんでした。

京成電鉄は24年3月に所有していたオリエンタルランド株のうち1640万株を売却したと、ヤフーニュースで報道されました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3ba4d83ae61ff9c32552405213abd3ec90932

ニュースでは、その時点での売却額が801億円で、24年3月期の決算短信では売却益が708億円になってるので、OLC発行株式の約8%にあたる1億4500万株の取得費は842億円くらいでしょう。

そして株式の売却益は特別利益として税引前利益に加算され、それから法人税が課税されるので、先に売却額から税額を引くのは間違いでした。

またgeminiに聞くと、バランスシート上の投資先株式の所有額が時価計算して増えても、それは評価替えといって、損益計算書の計算項目ではないようです。

そこで計算し直しです。 
税金等調整前4半期純利益 6811億円 
geminiに純利益はいくらか問うと 

例:一般法人の場合税引き前利益:6811億円
法人税率:23.2%
法人住民税割:5%
事業税:4.7%


純利益 = 6811億円 × (1 - 0.232 - 0.05 - 0.047) = 5122.37億円

4. 注意点

上記はあくまでも概算であり、実際の純利益は、会社の状況や適用される税制によって異なる場合があります。正確な純利益を知りたい場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

gemini

かなり間違ってましたが、2023年12月末時点での決算で純利益が営業収益を倍以上に上回るすごい決算にはなったと思います。

ここまで追記で、以下は2月17日の文章の続きです。

ですが、もし京成電鉄がパリサーの提案どうりにオリエンタルランドの株を売却すれば、すごい数字の決算にはなると思います。

投資先の会社の時価総額が大きく上がるのは経営者にとって嬉しいことのはずです。

しかし、保有先の会社の評価額が投資先の会社より低すぎると株主に判断されれば、不満を持った株主が経営者に厳しい提案を出すこともあるというわけですね。

投資先の会社の時価総額が上がっても、経営者は安穏とはできないということでしょう。

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