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デジタルマーケティングの進化に伴うアスキングの役割とは?

皆さんこんにちは。電通マクロミルインサイト(以下DMI)太田香織です。今回は「これから求められるアスキングの価値・役割」についてご紹介いたします。

消費者行動の潮流

皆さんは「アスキング(Asking)」という言葉をご存じでしょうか?

「アスキング」とは、マーケティングリサーチの文脈の中で、生活者に質問を行い得られる回答データのことです。

2010年頃のマーケティングリサーチでは、消費者の意識・行動は全てアスキングによって、つまり「記憶(知覚)」の中の行動を聞き出すことでデータを集めていました。

その後スマートフォンの普及により、テレビの視聴、購買、立ち寄り地点、サイト来訪・回遊、つぶやきなど全てが「履歴」として「アクチュアル(Actual)」データに残り、過去の行動・接触履歴と突合することができるようになりました。

不確かな記憶に頼らない、過去の詳密な事実との因果関係分析の結果、現在ではアクチュアルデータをマーケティング計画のKGIとして設定することが主流となったのです。

例えば、広告接触回数と認知率をデータから取得することで、何回以上オンエアすれば覚えてもらえるか?何回以上は意味がないのか等、詳細な分析をすることができます。

《「アクチュアル(Actual)」データで測定可能な消費者意識・行動》
・サイトアクセス
・TV視聴
・立寄移動行動
・購買
・TOPIC反応、関心
・個人興味反応


アスキング(Asking)vsアクチュアル(Actual)データの特性比較

下記の表は、それぞれのデータの定義、データ単位、主なテーマ、有効期限、強み、弱み、機会、脅威をまとめたものです。

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アスキング(Asking)の価値・役割の変化とは?

アスキングデータは不要になるのでしょうか?下記は「マーケティングリサーチで得られる情報の将来における重要度」についての調査です。

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出典:日本マーケティング協会 
「マーケティングリサーチの現状 2017年度 調査報告」 2017年回答調査発注社108社

こちらの結果からも、ビッグデータやSNSの分析も含めたマーケティングリサーチが必要とされていることがわかります。

接触、購入、継続購入、アップセル、クロスセル(※)、ロイヤル顧客化についてはアクチュアルデータで規模の測定は可能です。

しかし消費者の関心、購入意欲についてのReason whyはアスキングデータをとってみないとわかりません。

例えば、接触してから購買までの間、どんなふうに関心をもったのかは人に聞いてみないとわからないのです。

すなわち、アクチュアルデータで測定される指標の根拠や要因の解明の比重が、アスキングデータの役割として大きくなります。

このように消費者の理解なくして設計されたツールは使えません。ゆえに近年のマーケティングリサーチには、アクチュアルデータとアスキングデータの統合分析が重要となります。

※アップセル:
顧客により高額な商品を購入してもらい企業の売上をアップさせるマーケティング手法
※クロスセル:
別の商品やサービスをセットで購入してもらうことで、単価を上げる手法

DMIのリサーチプランナーが心がけていること

指標測定ではなく要因解明が求められるなら、前提となるアクチュアルデータによる評価の現状理解までが必要です。

リサーチプランナー(以下RP)には大きく4つの対応が求められます。

①担当クライアント、ブランドのマーケティング課題の前提理解
・STP分析や4P分析を用いて本質的にマーケティング課題を理解する
・担当クライアントが提案する課題解決の方向性を理解する

②「調査仕様」ではなく「調査課題」の企画提案
・DMPなどを活用したアクチュアルデータなどの既存データ、その他データソースによるブランドの現状・顧客構造の理解
・アスキング調査等で明らかにする調査課題の設定

③アスキングに限定しない様々な解明方法のメニュー提案
・アスキング以外のデータベースのバリエーション・テーマカバレッジ(網羅率)・分析可能規模の理解
・統合分析に必要な自社パネル構造・設定方法の理解

④アスキングにおける分析設計力
・アクチュアルデータを説明できるアスキング調査項目、選択肢スケール(規模)のノウハウ理解
・ターゲットペルソナ・購買ファネル・ジャーニーなどの、アクチュアルとの統合分析を前提に考えたフレーム作成に必要な質問設計

以上が「デジタルマーケティングの進化に伴うアスキングの役割とは?」になります。いかがでしたか?RPとして我々にお手伝いできることがあればお声がけください。以下のフォームより問い合わせできます。