糖尿病と診断された方に一番最初に伝えたいこと

糖尿病と診断された方に一番最初に伝えたいことをシンプルにまとめてみました。

細かい部分は省いて大まかなところを伝えるように、それぞれの項目は140文字程度で、合計1800文字以内とスマートフォンでも読みやすい長さにしています。 

1. 糖尿病はこんな病気

耐糖能低下 → 高血糖が続く → 合併症(眼・腎臓・神経など) 

血糖値を下げる能力(耐糖能)が低下することで、高血糖状態が続いてしまう病気です

血糖値が高いだけでは、無症状なことが多いですが、高血糖の状態が続くと合併症を引き起こします。この合併症を減らすために、糖尿病は定期的な診察と治療が必要です。


2. 耐糖能って何?

耐糖能 = インスリンの分泌能 × インスリンの効き具合

耐糖能は血糖値を下げる能力です。 これには血糖値を下げるホルモン(インスリン)の分泌能と効き具合という2つの要素があります。 

インスリンは膵臓から分泌され、肝臓や筋肉などに働き血糖値を下げます。これらの機能が低下すると血糖値が高くなります。


3.なぜ耐糖能が低下するの?

原因はいろいろありますが、一番大きいものは加齢です。

耐糖能は身体能力の一つです。 他の身体能力と同様に、人によって能力に差があり、年とともに衰えます。 

若い頃は暴飲暴食運動不足でも、健康診断正常だった方、それはつまり加齢により耐糖能が低下したのです。


4. どうすれば血糖値は改善するの?

方法は2つ
①耐糖能への負担を減らす ② 耐糖能を改善する

①耐糖能への負担を減らす
耐糖能への負担を減らすというのは食事療法のことです。

血糖値の改善だけであれば糖質を制限すればよいのですが、糖質制限は血糖値以外の健康への影響は分かっていないのが現状です。

今までの食生活や食事の好みにも配慮した、続けていける食事を探していくことが大事です。


②耐糖能を改善する方法は4つ
・不良な血糖値を改善する
・減量
・運動習慣
・筋トレ

血糖値が高い状態が続くとインスリンの効き具合が低下します。 そのため高血糖の程度が強い場合には、耐糖能の改善を目的にインスリンや薬を使って血糖値を下げることがあります。 

肥満もインスリンの効き具合を低下させます。減量により耐糖能の改善が期待できます。

血糖は筋肉内にも取り込まれます。 筋トレによる筋肉量の増量や、習慣的な運動は血糖を筋肉に取り込みやすくします。


5. どのタイミングで薬やインスリンを使うのか?

食事と運動だけでは目標のHbA1cに達成できなさそうなときに考慮します。

目標のHbA1cとしては、合併症予防のためにはHbA1c 7%未満が推奨されますが、低血糖を避けるためや、緩やかに改善していきたいこともあるため、実際はそれぞれの状態に合わせて設定します。 


6. 糖尿病の薬やインスリンは辞めれるの?

食事と耐糖能の改善により辞めれる人もいます。

血糖コントロールの状態や食生活が今後も続けられそうか? などを見ながら、薬やインスリンを減らしていきます。 

薬やインスリンを減らす時や辞める時は、少しデリケートな対応になるので、いつもより受診間隔を短く設定しています。 自己判断で中止しないようにしましょう。


7. 糖尿病の合併症にはどんなものがあるの?

小さな血管:眼、腎、末梢神経
大きな血管:脳の血管、心臓の血管、足の血管
免疫力低下:歯周病、足の壊死
その他  :骨粗鬆症、認知症

糖尿病は血管をもろくしたり、免疫力を衰えさせたりと、身体の広い範囲に影響を与えます。 そのため糖尿病だけでなく、多方面からの治療アプローチが必要です。


[まとめ] 糖尿病はこんな病気

耐糖能低下 → 高血糖が続く → 様々な合併症

合併症を減らすことが糖尿病治療の目的です。
この目的のために、医療者は食事や運動の提案をしたり、必要であれば薬の調節を行っていきます。また合併症の早期発見に努めています。

定期的な通院を通して、診ること、提案すること、調節することを意識しています。 

まずは定期的な通院をしましょう。


名古屋糖尿病内科クリニック
糖尿病専門医 平井博之


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