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混沌と秩序を統合した組織をデザインするためには?~シンビオティックエンタープライズ(共生型企業)を知って~

以前、成人発達理論で知られる加藤洋平さんから「現在のマネジメント理論やフレームワークは発達段階4から作られている」と聞いていたが、ようやく発達段階5レベルのマネジメント手法に出会うことができた。

それは「シンビオティックエンタープライズ」というもので、ティール組織やホラクラシーで欠けているピースが程よく補完されており、一定の前提条件が揃えば、機能するマネジメント手法として実際の企業に実装できるものになっているからだ。

今までは人材開発や組織開発の領域とされることが多かった

・主体性が足りない
・2:6:2に分かれてしまう
・部下が育たない
・部署間連携がうまくいかない
・ビジョンが無い
・評価が納得いかない

などの問題も「シンビオティックエンタープライズ」では一切起こりえないことがわかった。

ここでは「シンビオティックエンタープライズ」が機能するであろう前提条件について整理してみたい。おおよそ3つほどあると思う。

前提条件①:発達段階5以上のメンバー

この論点は個人と組織の2つの観点から触れていきたい。
まずは個人の観点から。

シンビオティックエンタープライズは、ホラクラシーの考え方が色濃く反映されている。ホラクラシーは権力の徹底的な分散を志向するので、シンビオティックエンタープライズでも、個人の権力は徹底的に取り除かれる。

一方で、発達段階5未満では、個人の権力を奮いたくなる意識構造が内在されており、権力を差し出すことには大きな痛みを伴う。
よって、権力の分散をスムーズにしていくために発達段階5以上のメンバーが集まることが望まれる。

とはいえ、発達段階5以上の人は全人口の中で1%未満と言われている。
メンバー全員を発達段階5以上で揃えることは現実的ではないかもしれない。
その際には、発達段階5以上への発達をサポートする仕組みを持つことが重要だろう。

続いて組織の観点。

ティール組織を目指して組織の自由度を高めた途端に業績が停滞したり、後退したりする話をしばしば耳にする。
それは、「自由」という名の「無秩序」に組織が陥ってしまうからだ。

「シンビオティックエンタープライズ」は決して「自由な組織」ではない。

シンビオティックエンタープライズは、ホラクラシーの影響が色濃いと書いたが、シンビオティックエンタープライズも組織運営(ホラクラシー的に表現すると、仕事管理のニュアンスが強い)のルールが明確に決まっていて、誰であれそのルールを厳格に守ることが求められる。

実はここが個人の発達と矛盾を招きかねないポイントになってくる。

発達段階が上がってくると、ルールや決まりを守ることへの意味合いが感じにくくなる傾向があり、特に発達段階4になると、自分独自の価値観やルールに従って動きたくなる。こういう人たちにとっては、ルールが厳格に決められた組織は極めて居心地が悪い。

発達段階4の人たちにとっては「シンビオティックエンタープライズ」は今の組織より不自由に感じるだろう。
旧来の組織では権力を巧みに用いることにより、自由を手に入れることが、ある意味容易だからだ。

この点からも発達段階5以上にならないと、「シンビオティックエンタープライズ」は現実的に機能はせず、どこかのタイミングで窮屈になり、旧来型の組織に戻るだろう。

前提条件②:経済合理性を超える意味合いをひとり一人が見出す(Purposeの探求)

今回のワークショップで学びたかったことの一つは「実際に旧来型の組織からシンビオティックエンタープライズに向けて動き出すには、何をどのような順番で進めることが多いのか?」であった。

僕自身、クライアントからこのような組織に変えていきたいと依頼を受けていて、喫緊の課題意識であった。

そして、ステップ0として示された要素が「Purposeを見出す」であった。
これはワークショップの中で「シンビオティックエンタープライズ」についての理解が深まるにつれ、理由がよくわかった。

一言で言うと「経済合理性(効率的な会社にしたい、より利益が上がる会社にしたい)だけでシンビオティックエンタープライズ」を目指すのは人間の性として、割に合わないからだ。
だからこそ経済的動機(外発的動機)に加え「なぜ自分はこの組織にいるのか?」に対する答え(内発的動機)を育んでいく必要がある。

これも個人の観点と組織の観点がある。

個人の観点からは、権力が分散されるので、多くの場合CEOや経営陣、重要な人物だからと言って、高い給与を得るということが起こりにくい。
もちろん一定の給与格差はあるだろうが、個人が儲けたいのであれば、旧来型組織の方が稼ぐことは容易だろう。とすると、例えば「給与が低かったとしてもその組織に関わる意義は何か?」に対する答えを持っていないと、継続的にその組織に関わることは難しいのではないか。

次に組織の観点。この形態でスケールするには、一定の時間と技術を要すると思う。

ファシリテーターのクリティアーネも、「この形態が大企業でワークするかは未知数だ」と話していた。
もし可能になったにせよ、ひとり一人が丁寧に対話を繰り返していく必要がある。
その対話の中軸となる要素(立ち戻るもの)の一つが「Purpose」となる。

まとめると、経済合理性だけではシンビオティックエンタープライズに居続けることは難しく、そういった意味でもPurposeを探求していくことが求められる。よって、個人も組織もPurposeを探求していくことが必要だ、という流れである。

前提条件③:極めて高い心理的安全性**

ひとり一人の発達を志向していく、仕事をしていく上での規律を重視していくとなると、厳しいと感じられるコミュニケーションは増えていく。
そもそも自分が感じた違和感を表明していくこと、そして、その違和感に対して適切に対応していく(対応しないことも含め)ためには、「何を言っても自分は安全である」という心理的安全性が担保されている必要がある。

これは「エンゲージメントが高い」とか「みんなが仲が良い」というレベルを遥かに超えていて、仕事以前の人間的な繋がりが前提として無いと、現実的には機能しないと思われる。(もしくは仕事への評価と人間的評価を完全に切り分けて扱うことのできる認知能力)

これらの前提条件があり、適切な方法論のもとで運営され始めて「シンビオティックエンタープライズ」への道がスタートする。

これは何も難しいと言いたいわけではなく、むしろこれらの条件が揃っていけば、これまでは到底無理だと思われていた組織をつくることが可能になると考えている。

しかも難易度が高いだけであって、不可能ではない。いまあるテクノロジーでも十分に実現ができる。

今年はこの学びを一つの軸にしながら、組織への実装のトライ&エラーを積み重ねていきたい。

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「Humanization」をテーマに活動しています。人や組織の変容に関わりながら、それらを司る意識の進化についての学習と自己変容の実践を綴っています。

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