
最強スイス vs. 最弱日本~その背景の考察~
日銀利上げ、1月優勢に
金融市場ではもっぱら12月18~19日の日銀金融政策決定会合への関心が集まっています。ここにきて堰を切ったように報道各社から利上げ見送り観測が相次いでいることに関し、日銀側の意図を勘繰る市場ムードも強まっているところです。その実態は知る由もありませんが、11月末の日経新聞による植田日銀総裁のインタビューが報じられて以降、追加利上げへの観測がにわかに増えているのは事実であり、確かにそこからけん制の意図を汲み取ろうとするのは分からなくはありません:
経済・金融情勢がオントラックに進んでいる以上、12月の追加利上げは可能だと筆者は考えますが、強いて言えば、これから流動性が薄くなる12月にわざわざチャレンジする必要は無いという考え方もあるでしょう。また、1月であれば展望レポートに合わせて理屈付けできるという様式美も保てます。
再び円安基調が強まっている中、増大するインフレリスクに対応するならば早い方が賢明という発想も合理的であり、そもそも7月はその理屈で利上げした経緯もあります。理屈から言えば、12月利上げは妥当でしょう。
しかし、日経報道後の図ったような見送り報道ラッシュを踏まえると1月メインシナリオと考えておくのが妥当なのでしょう。むしろ、1月会合前には3月会合との比較考量が争点化している可能性すらありそうです。
肉薄するスイスと日本の政策金利
ところで今回取り上げるテーマは日銀とスイス国立銀行(SNB)、ひいては円とスイスフランの対比です。今年に入り両行の政策金利は急接近していますが、為替動向は文字通り「最強 vs. 最弱」です。かねて本欄では口酸っぱく論じている点ですが、金利差だけで為替相場が語れないことをこの2つの主要通貨の近況は示唆していると思います。以下、簡単に解説します。
既報の通り、また、noteでも取り上げた通り、12月12日にはECB政策理事会の▲25bp利下げが大きく報じられました。しかし、同日にはスイス国立銀行(SNB)の▲50bp利下げも行われています:

今年3月に始まったSNBの利下げ局面は累計▲125bpに達し、現行の政策金利は2022年11月以来、2年ぶりの低水準となる+0.5%まで切り下がっています。つまり、最速で今週にも日銀とSNBの政策金利が並ぶことになります。年内にそうならずとも、少なくとも2025年中には話題になるでしょう。こうした両国の金融政策環境を踏まえた上で、為替市場に関する所感を示してみたいと思います。
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