
2025年円相場見通しのポイント~日銀:円金利編&リスクシナリオ考察~
日銀の政策軌道は・・・
前回は米金利を主軸とした2025年の円相場への影響を議論しました:
今回は日銀、円金利編となります。25日には年内最後となる植田総裁の情報発信の機会がありましたが、特筆するような内容ではありませんでした:
2025年、日銀の政策軌道をどう検討すべきでしょうか。既報の通り、12月19日に開催された日銀金融政策決定会合は3会合連続で政策金利を0.25%で据え置きました:
今のところ7月・10月の展望レポートで想定された通りの経済・金融情勢が確認されており、田村審議委員が+25bpの利上げ提案を行ったことは首肯できる動きだったと筆者は思います。それでも現状維持に至った背景として植田日銀総裁は「賃金と物価の好循環の強まりを確認する上で、春闘などもう少し情報が必要と考えた。米国など海外経済の見通しも不透明で、米国政権の経済政策に対する不確実性もある」と回答しています。
つまり、「2025年の春闘」および「第二次トランプ政権にまつわる不透明感」がある以上、決断はできないという説明でした。しかし、率直に言って、これら2つの不透明感が1月24日の次回会合で払拭されている可能性は高くないと思われます。金融市場における追加利上げの織り込みは「12月or 1月」から「1月or 3月」へシフトしており、上述の2つの不透明感だけに照らすのであれば3月の合理性は高いようにも感じます。
この辺りは過去のnoteでも確認した議論です:
しかし、本格的に2025年の展望を検討する上では、より色々な情報を加味する必要があります。特に日本の企業部門の賃上げ余力や自然利子率の現状、そこから導き出される中立金利のイメージくらいは最低限、確認しておきたいと思います。以下、簡単に整理したいと思います。
なお、今回は最後にFRB/日銀について示した筆者のメインシナリオが外れる場合、どのようなリスクシナリオが考えられそうかという点に関しても体操として付けておきたいと思います:
賃上げ原資とGDPデフレーター
植田総裁は賃金動向に関し、必ずしも集中回答日を意味しないとも述べているため、3月決め打ちは危険だと筆者は思っています。現状、金融市場の織り込みは本稿執筆時点で1月で50%弱、3月までいけば80%強と後者が優勢なのですが、1月の可能性は全く払拭できないと思います。
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