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アメリカで家を建てた実体験から不動産テックを考える

こちらの続きになります。

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1.経緯のおさらい

さて、改めて家を建てるまでの時系列を記載してみたいと思います。

2015年7月‐渡米
2015年9月‐新築の家(F Houseとしておきましょう)を売買契約
2016年2月‐F Houseに入居
2017年10月‐住宅付き土地購入(D Houseとしておきます)
2017年2月‐D House工事開始
2018年8月‐F House売却、アパートに引っ越し
2019年1月‐D Houseに入居

まず、渡米して2か月で家を購入していますが、その理由はこちらに書いた通りです。ではなぜ、また家を探し始めたかというと、急遽、会社がダウンタウンへ移転することになり、通勤時間が1時間以上かかることになったので、通勤が楽な近い家に越したほうがいいと思ったからです(*1)。

2.家を建てる決断に至るまで

当初は普通に中古の家を買おうと思って探していたのですが、なかなか気に入る家に巡り合いませんでした。が、ある日、希望するエリアで、良さそうな新築がマーケットに出てきたので、早速、奥さんが内見に向かったのですが、いくつか気になるポイントがありました。それは①大きい道路に近い、②家の中が暗いという2点。それ以外はいいんだけどなーという感じでした。上記2点ともいかんともし難く(直しようがないし)、妥協するのも嫌だったので決めきれませんでした。
一方、我々が希望するエリアには、古い小さい家と新しくて大きい家が混在しており、古くて小さい家がどんどん大きい家に建て替わっていっている段階でした。そこで、自分たちもその小さい家を買って取り壊して、そこにカスタムホームを建てればいいのでは?というアイデアが沸いてきました。土地の売値の相場は大体わかっているので、あとはいくら位で上物を建てられるかということで、ビルダー探しをしてみることにしました。
それで、先ほどの家を建てたビルダーに連絡を取ってみて、これと同じ感じの家(+採光するために窓を追加)を建てるといくらになるかと話し合いをして、予算を出してもらいました。結果、予算にも収まりそうだし、中古を買うという方向からカスタムホーム用の土地(=小さい家)を買うという方向に切り替えて、土地を買ったわけです。

3.家を建てる際のペインポイント

では、家を建てる際のペインポイントを見ていきます。

3-1.ビルダー探し
まず、ビルダーを探すわけですが、アメリカにおけるカスタムホームのビルダーって、もはやプロジェクトマネジャーと化している実態があります。というのも、各ジャンル毎(例えば、取り壊し、整地、パイプなどなど)にサブコンがしっかりしてるので、ビルダーはサブコンをコントロールするのが仕事になるからです。なので、彼らの取り分もサブコンに支払った費用の15-20%位になるのが一般的です。
そうなると、大きい会社のビルダーはおらず(建売業者は別)、みんな家族経営とかそのレベルになってくるので、とにかく、会って話をしてみて決めるというアナログな作業が必要になってきます。我々も5社ほどのビルダーとあーでもないこーでもないと話をして、結局、最初のビルダーと契約することにしました。決め手は予算、期間、エリア内でどれ位手がけてるか(サブコンへの影響力がありそうか)、あとは信頼できそうか、でした。
最後のビルダーへの信頼性というのは非常に重要だと後程痛感することになります。

3-2.コンストラクションローン獲得
時系列を見てもらうとわかりますが、2017年10月に土地を購入して、2018年2月に工事開始するまで、4か月ほど空いています。この理由はコンストラクションローンの審査が難航したからです。
我々はこの時点で、F Houseを保有しており(無借金)、さらにD HouseもCashで買ったわけですが、コンストラクションローンの金額=コンストラクション費用総額は、私の給料から算定される借入可能額を考えるとちょっとアグレッシブでした(1千万位高い)。ただ、F Houseは工事期間中に売るので、コンストラクションローン全額をDraw Downすることはないので、まあなんとかなるか、と言ってくれた準大手の銀行と話を進めていたのですが、こちらに書いた通り、クレジットカードのポイントを狙って固定資産税をカードで払ったらFICOが悪化し、融資決裁がおりなくなってしまいました(正確に言うと、FICOが戻るまで待とうと言われたのですが、、待てるか!)。そこで、急遽別の銀行、今度は地銀をあたって、ローンを出してもらいました。
ここの教訓としては、コンストラクションローンは通常のMortgageより面倒なので、大手よりも地銀のほうが対応が早くてしっかりしている、ということです(15営業日でクロージングできると言われ、本当にできました。ただし、金利は準大手の銀行が3.5%程度だったのに対し、4%とちょっと高かったです)。

3-3.工事遅延
さて、ようやく建築開始にこぎつけたわけですが、もちろん計画は遅延します。アメリカでは計画が計画通りに行くことはないと覚悟しないといけません。
そもそも当初は10月に土地を決済、すぐにローンの審査が終わって工事開始すれば、8月までに入居というスケジュールでした。それが、ローンが4か月かかり、そしてなんやかやと結局入居できたのは、翌年1月ということになりました。私も工事が8月までに完了しないだろうと思っていたのですが、まさか1月までかかるとは思ってなかったので辛かったです笑。

3-4.建築中のビルダーとのやり取り
ビルダーとの契約ですが、一般的に2種類あって、固定金額で契約するのと実際のコスト+フィー(15-20%)という形式で契約するのがあります。どちらもPros/Consあるのですが、我々は前者で契約しました。
そうすると、やっぱりあーだこーだあるわけです。土地を整地するのに思ったよりコストがかかっただの、外壁をストーンからサイディングに変更したからその差額分をこっちに回そうと思ったらそれはできないだの、etc.。すでに工事は始まっちゃってるし、もめればもめるほど工事はストップするわ、もう胃が痛い毎日でした。
ここでビルダーへの信頼感が大事になります。我らのビルダーもそうは言っても悪い人たちではなかったので、最後までなんとか辿り着くことができました。

4.Techのソリューション

なし

いや、本当にどれか解決してくれるとありがたいですが、どれもローカルな事案すぎてスケールしないよなぁと思いました。テクノロジーが入り込む余地は今のところ考えられません。

5.最後に感想

カスタムホームは最高である。自分の思い通りの間取り・内装にできて快適すぎる。なんでみんな賃貸がいいとか思うのか不思議。住居が快適ということがもたらす幸福感・満足感は凄いものがあると思います。
あと、しばらくは引っ越しはご勘弁。

(*1)全然、本編と関係ないんですが一言。アメリカでこのようなオフィス移転があった場合、社員に対して何の補助もありません。例えば、オフィスが郊外からダウンタウンになったので、高速料金がかかるようになったのですが、もちろんそんなものは補助されません。さらに、ダウンタウンなので、駐車場代が月額100ドル位かかるようになったのですが、それも社員にとっては純粋な負担増です。嫌なら辞めろということなんでしょうが、日本で甘やかされていたせいか、世知辛く感じます(まだ日本を引きずってます笑)。