烏百花 蛍の章:阿部智里:セカンドシーズン前のお楽しみ

「烏百花 蛍の章」(117/2020年)

八咫烏シリーズの外伝集です、それもほぼ恋愛に特化してる優れもの。この作品は本編必読なのでご注意ください。ある意味、本編のネタバラシなので、ネタが分からず読んでも、多々意味不明かと思いますので。

ただ、本編を読むつもりで、敢えてここから物語に没入するという読み方も素敵かもしれません。最高に贅沢かも。『烏に単は似合わない』にはじまり、『烏は主を選ばない』、『黄金(きん)の烏』、『空棺の烏』、『玉依姫』、そして『弥栄の烏』の6作を本作を読んでから一気読みしたら、より楽しめるかもしれません。今から出来ないので逆に羨ましいです。

「しのぶひと」「すみのさくら」「まつばちりて」「ふゆきにおもう」「ゆきやのせみ」「わらうひと」、どれもアノ登場人物の本編でのアノ活躍の裏に隠された真実の姿を描いてくれています。個人的には浜木綿のことがよく分かって興味深かったです。苦労人、ということ以上に、何か大きな志、それは野望かもしれませんが、それに向かっていくパワーを感じました。

お気に入りは、澄尾の男気炸裂の「わらうひと」。色々と複雑な思考回路の男女が集う物語の中に在って、唯一といっていいストレートな人物の本音を知ることが出来る作品。これは純愛なのか?それとも一周まわってただの面倒な奴なのか!

「ゆきやのせみ」は作者から女性読者へのプレゼントでしょうか。もし、舞台化された暁には、間違いなく人気ナンバーワンでしょう。もしくは、コンセプトカフェか何かで「蝉パンケーキ」とか「蝉クレープ」とか販売して欲しいですね。

八咫烏シリーズも遂にセカンドシーズンに突入したようです。文庫になるまでのお楽しみです。


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