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元カレが結婚したらしい

元カレが結婚したらしい。全く未練はない。むしろ幸せになってほしいと願い続けていた。だけど、「結婚した」という事実が心をかき乱す。

いつか結婚しようね、そんな会話をしていた頃から別れて早数年。若かった頃の結婚しようねは社交辞令だったのかもしれない。でもどこかで本当に彼と一緒になる日を待ち望んでいた。お互いの共通点を勝手に運命だと思い込んで、彼しかいない、彼しかありえないと宗教のように信じ込んでいた。

でも別れてからはあっという間にその信仰も溶けた。一緒にならなくてよかった、あの人と結婚していたら、別れる原因となった喧嘩がまた繰り返されていただけだ。今度は、彼と結婚しなくて良かった宗教を信仰。

「元カレが結婚した」この事実は新しく入った宗教の信仰も揺るがした。おめでたい。幸せになってほしいと願っていた。はず。

未練もないし、元サヤに戻りたいなんて1mmも思わない。でも、なんだろう。急にどこか心の中に小さく隠れていた元カレの存在が、本当に消えてしまうのを感じた。深い傷じゃないし、小さい穴だし、消えてしまって構わないと思っていた。

本当に消えてしまうなんて。思ったよりも早い。台所のシンクの中でゆっくり溶けていた氷に、急にお湯をかけた感じ。まだ氷があった形跡は残ってる。でもいつかきっと乾いて、いつもどおりに戻るよね。そんなことをペヤングを湯切りながら考える。

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