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【映画イラスト】を小2の甥とAIイラストツール"Midjourney"で描いてみた

AIの作成した絵がコンクールでも優勝してしまう、そんな時代に、いま注目を集めているMidjourney(ミッドジャーニー)という、入力したキーワードや文章に合った画像を自動生成してくれるツールを使って、自分の好きな映画の1場面を再現しようという試みです。

8歳の甥っ子にも、どのようにAIに指示を出せばイメージ通りのイラストになるのかを一緒に考えてもらいました。小学生の作るイラストの完成度もご紹介したいと思います。

Midjourneyとは?

テキストの説明文から画像を作成する独自の人工知能プログラム。Web上に存在する画像と文章の組み合わせを大量に学習し、画像生成の際に与えられたキーワードや文章の意味を解釈できるようになり、その結果、意味に適合する画像を生成する事ができる、ということだそうです。

そして、Midjourneyへの指示は英語で行います。複雑な内容で文章を構築してしまうと、意図していない意味でAIが解釈してしまう可能性もあるため、明確で分かりやすい文章を作る必要があります。どのように依頼を出すかが、イラスト生成ツールにおける腕の見せ所です。

『アバター』写真提供:アマナイメージズ

例えば『アバター』をイメージしての「カラフルな人型種族が、見たこともない生き物と楽しそうに触れ合う様子」という指示内容は、複雑過ぎますし、複数通りの解釈ができてしまいます。仕上がりが『マスク』のジム・キャリーになってしまう可能性もあるという事です。

映画『マスク』より

『七人の侍』を描いてみた

初心者なので、指示しやすく表現しやすいデザインであるという事と、Midjourneyのもつビッグデータの中に関連データがありそうな(≒有名な)映画を題材として選ぶことが必須と考えました。そこで…

『七人の侍』(C)1954 TOHO CO., LTD.

「七人の侍が刀を持って、並び立つ」
この情景なら、指示内容とAIの解釈に齟齬が生まれにくいのではないかと予想したのです。黒澤明監督の『七人の侍』。このあまりにも有名なキービジュアルを再現できるように進めていきたいと思います。そんなこんなで、私の作った文章がこちら。

8k, Realistic, photorealistic, japan, seven samurai, painting, samurai,
Akira Kurosawa, village, Japanese sword,
Seven samurai are standing on a hill with swords

8kは「8k画質で」
Realistic, photorealisticは「写実的に」

他にも「日本」「日本刀」「村」「黒澤明」「七人の侍」などのキーワードと、文章での説明がより正確に解釈してもらえるコツだという事なので、「七人の侍が日本刀を持って丘の上に立っている」という説明文も付け加えてみました。さぁ、どんな画像が出来上がるのか、はてさて。

Midjourney

…凄く、何とも言えないのができました。両親と一緒に映画を観てて、濡れ場シーンがあった時のような、何とも言えない気持ちです。

ここからの選択肢は3つ。①全部やり直し、②生成された4枚の中から1枚選び似たものを再度4枚生成する、③1枚選んで高画質で生成する。ここでは左下の画像がまだイメージに近い感じがするので、②の方法で似た4枚を更に生成していきます。できたのがこちら。

Midjourney

ってか、敵も自動的に描いてくれるんやな…「敵」に関するキーワードは指示に盛り込んでいませんが、それでも自動的に描かれるのは、Midjourneyの持つ「Seven Samurai」関連データに、野武士と戦う様子のものがあって、それと関連付けてくれているからではないでしょうか。多分。

再生成した4枚から、左下の画像を最終稿として生成します。こちらが完成品です。

『七人の侍』 by Midjourney

左から3番目だけ志村喬さんっぽい感じがしますが、あとはどれが三船敏郎さんだったり千秋実さんなのかは分かりませんし、丘の上にお墓っぽいのがありつつ主役7人全員が揃っているので時系列も謎ですが、なんとなくカッコ良いのでヨシ、という事にしましょう。

(あとから気付いたけど”白黒で”って指示したらもっと「七人の侍」ぽかったかも。)

『エクソシスト』を描いてみた

映画『エクソシスト』より

続いては母によるリクエスト。謎のチョイス。というのも、母が中学校3年生の時に、自分でお金を払って初めて映画館へ行って観たのが『エクソシスト』だったそうです。まさか『エクソシスト』も、自分が思春期の女の子の”初めて”になるとは思っていなかったでしょう。荷が重い。

1974年、公開当時の日本には第一次オカルトブームが到来しており、『エクソシスト』に続いて『悪魔のいけにえ』『キャリー』『オーメン』など現代も愛され続けるホラーの傑作たちが、立て続けに公開されていた時代でもありました。なのでウチのオカンが、オカルトホラーに染まった特殊な思春期を過去に持つ"悪魔祓い系女子"だった訳ではありません。

という事で、悪魔に取り憑かれた少女と戦う神父さんを描いてもらうために、私の作成した文章と生成された画像がこちら。

8k, Realistic, photorealistic, A male exorcist fights a girl possessed by a demon in a dark room, cross, holy water, horror, catholic

『エクソシスト』by Midjourney

どっちかと言うと『死霊館のシスター』って感じです。

『マトリックス』を描いてみた

『マトリックス』は、個人的にはイージーな題材として、前の2つが失敗した時の控えとして考えていたものです。だって、ビルの屋上で、黒のロングコート着て、サングラスかけて二丁拳銃だったら、それはもうネオだし。失敗のしようが無いし。行けるっしょ~って言いながら書いた内容はこんな感じ。

8k, Realistic, photorealistic, photograph, futuristic, matrix, science fiction, roof of tall building, A man put on sunglasses, black long coat, double pistols

『マトリックス』 by Midjourney

紹介します。『マトリックス』改め『モータルコンバット』です。

小学生の甥っ子が『リメンバー・ミー』にチャレンジ

(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

AIが何ぞや?という事もなかなか理解が難しい、小学2年生の甥っ子と初めての共同作業です。何度も何度も観ていて大好きだという『リメンバー・ミー』のイラストに挑戦。どんな条件で依頼するのかは甥っ子に決めてもらい、それを私が英訳していきます。

  • 骸骨が白いアコースティックギターを弾いている

  • 死後の世界

  • 服はボロボロ、麦わら帽子

  • ピクサー

  • 夜空で花火が上がっている

  • 一面にマリーゴールドが咲いている

この条件でできた画像がこちら。

『リメンバー・ミー』 by Midjourney

かなりイメージと違う…でも無料プラン内で作成できる制限枚数まで、まだ余裕がある…!という事で「どの要素を減らして、どんな要素を新たに加えるとより自分のイメージ近付くか」を意識しながら、再度トライです。

<甥と私のPDCA>
マリーゴールドの主張強くね?

→マリーゴールド要素を削除

空が暗すぎじゃね?
→”Night Sky”を”Blue Sky”に
→”花火”の指示もあるので”晴天”にはならないと予想

映画の設定がメキシコの”死者の日”じゃね?
→”Day of the Dead in Mexico”を追加

”死者の日”要素は甥っ子の母(=私の義姉)のナイス助言あってこそですが、これは良い改善が期待できそうです。やり直しの結果がこちら。

『リメンバー・ミー』 by Midjourney

かなり近付きました…!やっぱり「死者の日」の効果はバツグンだ。右下の画像は、数年前まで放送されていた金曜ロードショーのオープニングを思い出しました。(私だけでしょうか?)

昔の「金曜ロードショー」オープニング

甥っ子さんは、右上と左下がお気に召したようなので、それぞれ似た4枚ずつを作成。その中から一番を決めてもらい、完成品としました。

甥っ子作:
『リメンバー・ミー』 by Midjourney

どうでしょう?この画像を見せられて「何の映画?」と問われた際には『リメンバー・ミー』を鑑賞したことある方なら、正解できそうなくらいの再現度になったのではないでしょうか。

おわりに

8歳の甥にとっては、イメージしていたものと違うものが出来上がってしまうと、退屈してすぐ飽きちゃうかな…と思っていましたが、「コンピューターで絵描くの難しいね!」と言いながら、小一時間の作業にも飽きずに楽しんでいてくれたようでした。

AIであるとは認識していないかもですが、パソコンへどのように命令を出すかの難しさが分かった甥っ子さん。

彼が大人になる頃には、技術も進歩しているだろうし、どんな社会になっているのでしょうか。楽しみです。


Midjourneyは無料プランで25枚まで無料で生成できます。興味を持たれた方はぜひ試してみて下さい。

▼Midjourney

▼使用にあたって参考にしたページ

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