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好きな監督に会いに行ってみた

東中野のポレポレ坐にて「KANGEKI 間隙」vol.1があり、自主映画『きえてたまるか』『席のむこう』の2本を観てきました。

お目当ては『席のむこう』です。そして、この映画を撮影された杉田協士さんのアフタートークです。

どちらもめちゃくちゃ良かったです。情緒……。楽しくて、でも不安定で、切なくて、ギリギリのところの感情をせめてくるような映画でした。どちらかだけでも面白いけれど、2本同時上映がお互いを引き立てるような感じになっていて最高でした。12月1日(日)も上映あるので、是非!!!

『きえてたまるか』
2019年|29分
監督・脚本・撮影・編集:清水啓吾|脚本・撮影・録音:宇治田 峻|撮影・録音:北浦光記|録音:宇治田 優
出演:石川雅子、長野紀深香、武井 the Skywalker、清水啓吾
「ファーストアルバム」と書かれた一枚の自主制作CD。今の私たちの音楽が、いつか誰かに届いてくれたら…そこには誰も知らない作り手の物語があった。はみだしていく気持ち、形に残らず消えていく時間を、自主映画ならではの親密なエモーションで包み込む。
PFFアワード2019で審査員特別賞に輝き、プレゼンターの山下敦弘(映画監督)をはじめ、多くの映画人が激賞した青春映画。友人4人と後輩の曲作りを手伝っていた清水啓吾が、その思い出を残すため、曲が出来上がるまでの過程を映画で表現。彼らの物語はスクリーンではね返り、別の誰かの物語へと生まれ変わる。

めちゃくちゃ青臭い映画でした。でもそれがいい。多分、映画の作りとしては荒い。音声だったり、シーンの捉え方だったり。

主人公の女の子が「自分はなんでこんなことしてるんだろう……」と悩むところとか分かる!!! 清水監督の気持ちを代弁しているシーンでもある。

上映後、映画に詳しい方(お名前忘れましたが、教育される立場の方)が「清水監督はもうこれ以上の映画は撮れない」というようなことを仰ってましたが、私もそう思いました。清水監督はこれから東京で映画を本格的に勉強するらしいんですが、清水監督の芯となる部分は続けていってほしいなと思いました。粗削りでグッとくる映画、すごく良かったです。


『席のむこう』
2018年|24分
監督・脚本:丹野幸一郎|撮影:杉田協士
出演:福原直樹、池田友紀、佐藤蒼、加藤駿平、山口新奈、村上太一、猪祐輔、髙橋麻由、池田結音、紫原友美、篠崎珠美、神田美咲、土屋友加里、石川萌、星有紗、小倉芽生、曽根有希奈、渡慶次清佳、柴田暁輝、佐藤健太郎、山本隆夫、中西玲
高校生の早智は、昔好きだった進から念願のライブに誘われる。友だちから誘われたとだけ伝えられていた恋人の京太は、進から呼び出され、京太より前から早智が好きだったことを告げられる。気持ちのやり場を見つけられずにいる京太に、仲間のひとり、美波がふいに悩みを打ち明ける。
監督は高校教員の丹野幸一郎。出演は当時現役の高校生たち。撮影は同校で非常勤講師を務めていた映画監督の杉田協士。やがて離れ離れになる人たちが、それぞれの夏休みを持ち寄って共に作った24分の物語のなか、再びめぐりあう。そこに流れている宝物のような時間。かけがえのないぬくもり。

高校の英語教師の丹野先生が脚本、監督。この話、教員としてよく書けたなあと思いました。多分、普通は他の教員からストップかかりそうです。私も以前、脚本を書いた時に、職員会議で注意を受けたことがあります笑 ハハハ……

そんなことはさておき、静かで光あふれる映画でした。

杉田監督の『ひかりの歌』という光の短歌を元に作られた映画を今年の初めに見たのですが、言葉を多く使わず、人物や風景を切り取る感性がとても素敵でした。カット割り、テンポ感が独特のフェティシズムを感じさせます。今回の『席のむこう』も冒頭の窓辺のシーンは光がとても美しく、このシーンだけで良い映画だなと分かるくらいです(私は映画の始まりでわくわくしたり、うっとりしたりするのが好き。そして、こういう映画は自分の中ではとても良い映画)。他のシーンでも杉田監督は光の捉え方が上手い。

日常のありふれた風景や見慣れた場所も、見る人や撮る人によって、全然違って見えていて、杉田監督のカメラと人の距離感が私は好きです。

私も以前、生徒とショートショートショートくらいの短い映像を撮ったことがあるのですが、とても楽しかったです。その時撮ったカメラは性能が低くて、編集もPowerDirectorで行なったんですが、今また機会があったら撮ってみたいなあと思いました。丹野先生が羨ましくなりました笑

アフタートークでは『席のむこう』は誰がつけたタイトルなのか(私は杉田監督だと思っていました。そういうセンスしてると思う)、タイトルの意味は何なのかなどを語ってくれていました。細かい感想など、もっと聞いていたかったです。

お話を聞いて、やっぱり監督の考え方、感性、見えている世界の捉え方が映画をつくっているのだと思いました。帰り際に自由に歓談して帰っていいですよと言われたので、杉田監督に感想を伝えて帰りたかったのですが、なんだかいろいろ言葉にならない思いで、そそそっと会場を出てしまいました。無念。

2020年1月18日(土)、杉田監督の『ひとつの歌』がアテネ・フランセ文化センターで上映されるので観に行きたいです。


元気になれます!